ODA(政府開発援助)

令和7年8月25日

オファー型協力とは

 令和5年6月に改定した開発協力大綱で新たに打ち出した施策です。外交政策上、戦略的に取り組むべき分野において、ODAに加えてその他の公的資金(OOF)や民間資金も含む形で、日本の強みを活かした魅力的な協力メニューを途上国に積極的に提案し、相手国との対話や、社会に変化をもたらす新しい価値を共に生み出す「共創」を通じて開発目標を達成することを目指します。
 途上国の開発課題の解決と同時に、日本の課題解決と経済成長にもつなげることを目指すものです。

オファー型協力の特長

  • 戦略性」:日本の経済成長を含む中長期の国益に資する分野を重点的に扱います。対象国を選定し、資源と人材を集中的に投下します。
  • 迅速性・機動性」:相手国政府との間で協力メニュー等を予め作成し合意すること等により、迅速かつ機動的な案件形成・実施を進めます。
  • パートナーとの連携」:ODA以外の公的資金(OOF)の関与を強化、民間資金の動員を促し、官民の資金のシナジー効果を生み出します。

戦略文書の公表

  1. 外交政策を踏まえて資源と人材を集中的に投入し、戦略的に取り組む分野を選定し、その内容を戦略文書として公表しました(令和5年9月)。
  2. 同戦略文書公表以降、世界中で自然災害が頻発化・激甚化する傾向が見られると同時に、持続可能な国際保健分野の取り組みの必要性と重要性の高まりを含む国際情勢や外交課題の変化を踏まえて、同戦略文書を改定し戦略分野として「防災」を追記し、「気候変動への対応・GX・防災」とするとともに、新たな分野として「保健」を追加しました(令和7年8月14日)(オファー型協力に係る戦略文書の改定)。
  3. 「対象国」を選定し、(1)開発協力目標、(2)開発シナリオ、(3)協力メニュー(ODA案件の組み合わせ・可能な限り資源投入量の目処)を相手国に提案します。
  4. 様々なパートナーと連携しながら機動的にODAを投入し、総合的な開発効果を最大化することを目指します。

戦略文書の概要

  • 世界が直面する複合的危機への対応のため、我が国が戦略的に取り組むべき分野は下記のとおりです(国際情勢の変化や相手国からの要請等を総合的に踏まえ、適時更新する可能性あり)。
  • 気候変動への対応・GX・防災:アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の実現等を通じ、脱炭素化やクリーン・エネルギーへの移行を支援します。仙台防災枠組みも踏まえ、災害リスクの軽減や事前防災投資を推進します。対象国との共創の中で我が国の技術も活用します
  • 経済強靭化:重要資源の国際供給網や産業の多角化への支援等を通じ、世界経済の安定と成長、そして我が国経済への裨益につながる好循環を確保することを目指します。
  • デジタル化の促進・DX:経済発展と社会課題の解決を両立する安全性の高いデジタルネットワークを構築することを目指します。協力を通じ、我が国の知・技術の強化にも貢献します
  • 保健:健康安全保障のための予防、備え及び対応への官民による戦略的投資を促進することを目指します。我が国の企業を含めた国際的な医療・保健用品の供給体制・サプライチェーンの安定性と公平性を推進します。保健財政と保健人材確保の持続可能性を高めるべくバイ・マルチの連携を進め、我が国の知見を活かした協力の拡大と定着化を図りつつ、対象国と共にユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を目指します。

事例

カンボジア『デジタル経済社会の発展支援』

(概要)デジタル経済社会の発展を支援する国立データセンター整備等を実施します。デジタル基盤を高度化するとともに、サイバーセキュリティ向上に取り組みます。

モザンビーク『サプライチェーン強靭化のためのカーボデルガード州安定化』

(概要)カーボデルガード州の治安維持体制の強化及び復興により、同州の安定化を図り、液化天然ガス(LNG)プロジェクトの安定的な操業と日本を含む国際市場へのアクセスを改善することで、モザンビークの公正かつ持続的な開発及び質の高い成長を支援すると同時に、サプライチェーンの強靱化を促進します。また、エネルギー危機の中で重要性を増しているLNGの我が国への安定供給を促進することで、将来的な日本のLNGサプライチェーンの多様化にモザンビークを組み込んでいくことを目指します。

フィジー『フィジー及び大洋州地域の防災・早期警戒体制強化』

(概要)フィジー及び大洋州地域の防災・早期警戒体制を強化することにより、当該地域全体の災害リスクの削減と災害対処能力を強化し、気候変動や自然災害に対して持続可能かつ強靭な社会の構築を促進することを目指します。

ラオス『ラオス及び周辺諸国の脱炭素化に向けたクリーン電力活用促進 ラオスをASEAN再エネのバッテリーへ』

(概要)グリーン水素・グリーンアンモニア製造等の可能性も念頭に、ラオス国内の電力供給の安定化に向けた協力を推進し、ASEAN域内への電力輸出拡大に貢献することを目指します。

ブラジル『日伯共創で描く環境と食料の新たなエコシステムの構築』

(概要)日本の衛星・デジタル技術を活用した違法森林伐採の監視・予測を実施し、森林を保全・回復します。また、日本・ブラジル両国の民間企業、研究機関の技術を活用し、劣化牧野を回復することで、食料生産性の向上を図り、世界の食糧供給の安定化に貢献します。

モザンビーク、マラウイ、ザンビア『ナカラ回廊開発によるグローバル・サプライチェーンの強靱化』

(概要)ナカラ回廊地域の輸送インフラ整備・強化及び産業振興を図り、域内の連結性強化によりナカラ回廊の鉱物資源等の輸送ルートとしての価値を高め、同地域への投資促進や雇用創出により持続的な発展を実現することを通じて、我が国の各種資源に係るグローバル・サプライチェーンを強靱化することを目指します。

ナイジェリア『スタートアップ支援による社会課題の解決と経済強靱化』

(概要)ナイジェリアのものづくりや社会課題解決に携わるスタートアップ(SU)への資金供給を通じ、イノベーションによる社会課題の解決と新規産業創出による産業多角化を図り、経済強靱性を高め、日本とナイジェリアとの間で相互に相乗効果が発揮されることを目指します。

よくある御質問

Q:オファー型協力は誰から誰へ「オファー」する協力ですか?
A:日本政府から相手国政府へ、開発目標に関する共通認識を基礎に、開発シナリオと協力メニュー案をオファーする協力です。

Q:オファー型協力はこれまでのODAと何が違うのですか?
A:これまでも開発課題の解決に向けて異なるODAスキームを組み合わせたり、質の高い成長、質の高いインフラ投資のためにODAとその他の公的資金(OOF)を組み合わせるなどした協力は行ってきました。他方で、オファー型協力のアプローチは、ODAを中核としつつ途上国の開発課題解決に資する他省庁の様々な支援スキームや民間自身の活動とも組み合わせ、最終的には民間資金を呼び込み、民間投資につなげることまで視野にいれたものであり、さらに総合的な提案力を高めるものです。

Q:優先的にオファー型協力を実施する等の重点国はありますか?
A:予め重点国を決めているわけではありません。我が国と先方政府の間で開発目標を共有し、開発効果が高いオファー型協力の協力パッケージに合意することができる国が対象国となり得ます。オファー型協力は戦略的な観点から、特定の相手国に対して一定の期間にわたって協力を実施するもので、相対的に規模の小さい国への支援であっても、周辺地域への広域的な効果や、重点分野における新規性・戦略性に鑑みて優先的に検討することもあり得ます。

Q:オファー型協力の具体的なパッケージは、誰が中心となって形成するのでしょうか?
A:相手国に対して効果的な協力の提案を行うにあたり、国別開発協力方針を主導し、相手国・地域の開発政策・課題や外交政策について把握していることから、協力パッケージ形成の初期段階では外務省やJICA(在外公館及び現地事務所を含む)がリードすることが通例です。一方、協力パッケージ内の個別案件の実施に当たっては重点分野に精通している関係省庁を始めとした様々なアクターが重要な役割を果たします。

Q:オファ-型協力には特別の追加的予算があるのでしょうか?それとも別枠の予算があるのでしょうか?
A:オファー型協力に含まれるODA案件については、既存のODAスキーム(無償資金協力、技術協力及び有償資金協力等)の予算を財源に案件を実施します。

Q:オファー型協力の重点分野に必ずしも合致しない分野で官民連携案件を行いたい場合、どうすればよいですか?
A:オファー型協力については、戦略性や、一定の選択と集中の観点から重点分野を決定していますが、重点分野のいずれかに関連していれば検討自体は可能です。一方で、戦略性、日本への裨益の観点が一層重要になります。なお、すべてのODA、官民連携案件を「オファー型協力」として実施する必要は必ずしもありません。これまでも、相手国の経済社会開発を主眼として、日本側の強みを生かして官民が連携して相手国に提案するアプローチがとられてきており、その重要性は今後も変わりません。

Q:オファー型協力に関して提案・参画したいのですが、どこにコンタクトすればよいでしょうか?
A:対象国/地域が特定されている案件に関する御提案等は、当該国または地域を所管するJICA地域部/外務省国別開発協力課や現地JICA事務所・大使館までお願いいたします。国/地域が具体的でないコンセプトの段階では、外務省開発協力連携室やJICA企画部総合企画課において相談を受け付けています。個別国におけるODA案件、ビジネス案件、NGOによる活動等に関する詳細情報は現地のJICA事務所または大使館までお尋ねください。

Q:オファー型協力のアイディアを構想した場合、その後の個別のODA案件の調達・入札には参画できないおそれはありませんか?
A:オファー型協力のアイディアを構想したことをもって、直ちに利益相反などの理由でその後の個別のODA案件に参加できなくなるということはありません。個別のODA案件の調達・入札ルールに関するお問い合わせはJICA地域部/現地事務所へ御連絡ください。

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