ODA(政府開発援助)

農業開発

分野をめぐる国際潮流

平成28年7月19日

概況

 世界の栄養不足人口は,1990-1992年と比べ2億1,600万人減少して約7億9,500万人となり,このうち約7億8,000万人は開発途上地域の人々である。また,栄養不足人口の割合を1990年の水準から半減させるというミレニアム開発目標(MDGs)のターゲット1cを開発途上国129か国中72か国が達成し,開発途上地域全体では23.3%から12.9%に低下したものの,目標にわずかに届かなかった。
 経済成長が栄養不足を低減するための成功の鍵となるが,それは包括的であり,貧困層の生活を改善するための機会を提供する必要がある。小規模家族農家の生産性向上及び収入の増加が進展の鍵である。
(出典:国連食糧農業機関(FAO)『The State of Food Insecurity in the World 2015』)

 世界人口の急速な増加やそれに伴う食料需要の増大に伴い,2050年までに60%の食料増産が必要と推定される中,貧困や飢餓の撲滅,食料安全保障や栄養,持続可能な農林水産業の促進への取組等は,依然として最大の地球規模課題の一つとなっています。開発分野における国際社会共通の目標である「ミレニアム開発目標(MDGs)」では,目標1で「極度の貧困と飢餓の撲滅」を2015年末までに達成することが掲げられたほか,MDGsの後継枠組である「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く)」においても,目標1で「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困の解消」,目標2で「飢餓の終焉,食料安全保障と栄養の改善,持続可能な農林水産業の促進」を2030年末までに達成することが掲げられるなど,本分野への国際的な関心が高まっています。また,世界銀行の分析では,農林水産業への投資による貧困削減効果(GDP改善率)は,他の分野の投資と比較し,約2~3倍の高い効果があるとしており,経済的にも重要な政策効果を発揮しています。

 また,国際的な議論の場においても様々な議論・取組が行われています。たとえば,G8においても,2002年のカナキス・サミット以降,特に貧困・飢餓が深刻なアフリカ地域を中心とし,G8独自の新たなイニシアティブの策定やその実施に向けた行動計画の策定・フォローアップ活動等の取組がなされています。この中で,2009年7月のラクイラ・サミットでは,食料安全保障に関する拡大会合において,「世界の食料安全保障に関する『ラクイラ』共同声明“ラクイラ食料安全保障イニシアティブ(AFSI) ”」が発出され,中長期的な観点から,持続可能な農業開発のために3年間で200億ドル(各国積み上げ後は220億ドル)の資金を動員することが表明されました。また,2012年5月のキャンプデービッド・サミットでは,「食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス」を立ち上げ,アフリカ農業における民間投資の増大や技術革新を取り入れて農業を変革させることとしています。2015年6月のエルマウ・サミットでは,2030年までに開発途上国における5億人を飢餓と栄養不良から救い出すことを目指し,(1)ダイナミックな農村社会の改革に向けて,(2)責任ある投資と持続可能な農業,(3)栄養,(4)紛争・危機の際の食料安全保障及び栄養の4つの柱に焦点を当てた「食料安全保障及び栄養に関するより広範な開発アプローチ」を発表しました。2016年にG7議長国を務める日本としても,飢餓及び栄養不良の削減を念頭に置いた対応が求められています。

 さらに,G20においても,食料安全保障や農林水産分野への取組は重点課題として位置付けられています。2010年のソウル・サミットでは,食料安全保障を含めた「開発に関する複数年行動計画」,2011年のカンヌサミットで開催された農業大臣会合では,持続可能な農業生産と生産性の向上及び市場透明性向上の取組等を含む「食料価格乱高下及び農業に関する行動計画」が採択されたほか,2014年のブリスベンサミットでは,G20が長期的に統合された持続可能なフードシステムの取組を行うための基盤となる「食料安全保障・栄養フレームワーク」が採択されました。

 このほか,APECやASEAN,我が国が主導するアフリカ開発会議(TICAD)等,特定の地域に焦点をあてた国際的な議論の場においても,本分野に関する活発な議論が行われています。

関連国際会議等

G7/G8

G20

APEC

食料サミット


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