ODA(政府開発援助)

日本の取組
令和3年5月6日

農業開発分野における日本の取組

 日本は、2015年2月に閣議決定された「開発協力大綱」において、開発途上国の「質の高い成長」を通じた貧困撲滅や持続可能で強靱な国際社会の構築を重点課題とし、フードバリューチェーンの構築を含む農林水産業の育成や食料安全保障及び栄養等の地球規模課題の解決に必要な取組を行うこととしています。
 この中で、短期的には、食料不足に直面している開発途上国に対して食料援助を行うとともに、中長期的には、飢餓等の食料問題の原因の除去及び予防の観点から、農業生産の前提となる品種開発や農業の生産性向上に必要な政策の立案支援、灌漑施設や農道等のインフラ整備、生産技術の普及・住民組織の強化等の支援のほか、農村地域における農産物加工、市場流通や食品販売の振興等のフードバリューチェーン全体を視野に入れた支援も行っています。

国際機関との連携

国際農業研究グループ(CGIAR)との連携

 CGIARは、開発途上国における食料増産、農林水産業の持続可能な生産性改善を目的とし、国際的な農業研究、開発、政策提言、人材育成等を実施する国際機関です。本部はフランスに所在していますが、世界各地に15の研究センターが所在しています。
 我が国を含む多くの国、国際機関、民間財団等が参加しており、気候変動、栄養改善、環境問題、生物多様性、農業、林業、水産業分野において世界最大の研究ネットワークを持ち、豊富な研究実績や技術を保有しています。日本人研究者約50名が所属しています。
 世界の人口増加等に伴って、食料需要が急増し、2050年までに60%の食料増産が必要となる中で(FAO/OECD推計)、国際農業研究・開発は、地球規模の食料の安定的供給の確保に必要な農業生産性を革新的に向上させるために最も重要な手段であり、我が国の有する知見・経験を組み合わせて促進することにより、SDGsの達成に効果的に貢献することが可能です。
 具体的には、世界のコメ需要の増大に対応するため、邦人研究者等がアジア稲とアフリカ稲の交配によるネリカ米の品種開発・栽培指導等を実施してきました。
 TICAD7において、日本の取組として「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」を通じ2030年までにサブサハラアフリカでのコメ生産量倍増(2千8百万トンから5千6百万トン)の次期目標が打ち出されており、わが国としては、CGIARを通じて、コメ生産量の拡大に向けた研究を推進しています。

  • 近年では、
    • ナイジェリアにおける営農指導や日本の技術を活用したコールドチェーンの確立による野菜などの生鮮食料のロス削減を目的とした事業
    • コートジボワールにおける日本伝統のスリミ加工技術の導入による漁村生活基盤の再構築を目的とした事業
    • ガーナにおける離乳期の子供の栄養サプリメントの供給や栄養教育指導による子供の栄養改善・成長促進を目的とした事業
    等を実施しています。

国際農業開発基金(IFAD)との連携

 IFADは、開発途上国の農業開発のために緩和された条件で資金を提供することを目的とする国連の専門機関で、本部はローマに所在します。
 我が国を含む170か国以上が加盟しており、特にSDGsのゴール1(貧困撲滅)及びゴール2(飢餓撲滅)の達成に資する農業技術や生産性の改善、農村金融サービス支援、気候変動対策、農村事業者支援、バリューチェーン開発等を中心とした分野について、主として融資をアジア、アフリカを中心とした国に行っています。
 わが国は、IFADを通じてJICAが中心に立ち上げた「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」及び「食と栄養のアフリカイニシアティブ(IFNA)」に参加し、稲作に関するアジア-アフリカ協力推進のための調査等に対する資金支援を行っているほか、「市場志向型農業振興(SHEP)」も含めアフリカにおける3イニシアティブに係る取組を支援しています。
 わが国としては、IFADは今後も上記イニシアティブを中心に、バリューチェーン開発、各国政府の能力強化や南南協力推進において、IFADと積極的に連携していきます。

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