外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

6 西部アフリカ地域

(1)ガーナ

2021年から2期目を務めるアクフォ=アド政権は、投資促進や産業の多角化を進めたほか、債務状況を含む国内経済の立て直しに力を入れた。

日本は、野口記念医学研究所を通じた感染症対策を含む幅広い分野で同国を引き続き後押ししている。

1月、深澤外務大臣政務官が同国を訪問し、ボチュウェイ外務・地域統合相を表敬した。

8月に東京で開催されたTICAD閣僚会合には同外務・地域統合相が参加し、上川外務大臣とのアフリカ女性閣僚ワーキング・ランチに出席するとともに、同大臣と外相会談を実施した。

12月、大統領選挙が実施され、元大統領のマハマ氏が大統領に選出された。投票は大きな混乱なく平和裡に実施され、同国における民主主義の成熟を印象付けた。

(2)カーボベルデ

カーボベルデは民主主義が定着しており、高い政治的安定を誇っている。

1月に辻󠄀外務副大臣が訪日中のヴィエイラ外務・協力閣外相と会談を行い、双方はTICADや国連の場を通じて、地域及びグローバルな課題において共に協力することを確認した。

また、8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には、ソアレシュ外務・協力・地域統合相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。

(3)ガンビア

ガンビアは、民主主義や法の支配などの基本的価値と原則に基づく改革を推進している。一方、農業依存型の脆(ぜい)弱な経済構造及び深刻な貧困などの社会課題を抱えている。

日本は同国の食糧供給の安定化に貢献するため、8月、無償資金協力「食糧援助」に関する書簡の署名・交換を行った。

(4)ギニア

ギニアでは、2021年9月に発足した暫定政府により、民政移管プロセスが進行中である。同国は豊富な水資源と肥沃な土地を有し、また、ボーキサイトや鉄などを産出する鉱物資源大国である。

日本は、ギニアと長年にわたり友好関係を築いており、同国の持続可能な開発を後押しするため、4月には同国の経済インフラ整備支援8月には食糧援助のための無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。

12月、コートジボワールで開催された第3回日・アフリカ官民経済フォーラムの機会に、松本外務大臣政務官は、ナベ計画・国際協力相と会談した。

(5)ギニアビサウ

ギニアビサウは、水産資源や鉱物資源などに恵まれた豊かな土地をいかし、貧困と政情不安からの脱却を目指している。日本はギニアビサウに対し、食糧支援などを実施している。

8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には、カルロス・ピント・ペレイラ外務・国際協力・共同体相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。12月には、コートジボワールで開催された第3回日・アフリカ官民経済フォーラムの機会に、松本外務大臣政務官は、サンブ経済・計画・地域統合担当相と会談した。

(6)コートジボワール

2月、深澤外務大臣政務官は、AU総会の機会を捉えたエチオピア訪問中、コネ国民教育・識字相と懇談を行った。

4月、上川外務大臣がコートジボワールを訪問し、ウワタラ大統領への表敬及びアドム外務・アフリカ統合・在外自国民相との会談を行ったほか、日本の支援で建設や改修を行ったコートジボワール国内最大規模の病院であるココディ大学病院の新母子保健棟の視察や、同国の女性リーダーとの面会を行った。

ココディ大学病院新母子保健棟を視察する上川外務大臣(4月29日、コートジボワール・アビジャン)
ココディ大学病院新母子保健棟を視察する上川外務大臣(4月29日、コートジボワール・アビジャン)

6月、高村正大(ひろ)外務大臣政務官は、訪日したトゥーレ動物・水産資源相と会談を行った。

8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には、アドム外相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。

12月には、コートジボワールで第3回日・アフリカ官民経済フォーラムが開催され、アフリカ諸国の経済閣僚や日本とアフリカの多くの民間企業が集まる中、松本外務大臣政務官が参加し登壇した。また、同政務官はアドム外相と会談したほか、日本の支援で建設した安倍晋三/日本・コートジボワール友好交差点やココディ大学病院の新母子保健棟、そして、フェリックス・ウフエ=ボワニ大学の日本語教育・日本研究振興センター(ジャパン・コーナー)などの視察を行った。

同国では2025年10月に大統領選挙が予定されている。日本は、10月、同選挙を支援するため、無償資金協力「選挙に関連した紛争予防並びに女性及び社会的弱者の政治参加促進計画(UNDP連携)」に関する書簡の署名・交換を行った。

(7)シエラレオネ

2023年に再選されたビオ大統領は、食料安全保障、人材育成、若者支援や技術促進などを内政の優先分野に据えている。

3月、ニューヨークで行われた国連安保理閣僚級会合の機会に、アルガリ外務・国際協力副相による上川外務大臣への表敬が行われた。

日本は同国との間で、5月には同国の農業生産性向上支援、また8月には食糧援助のための無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。

また、8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には同副相が参加し、上川外務大臣とのアフリカ女性閣僚ワーキング・ランチに出席し、辻󠄀外務副大臣が同外務・国際協力副相と会談を行った。

(8)セネガル

3月に実施された大統領選挙の結果、ファイ大統領が野党候補として初当選した。投票は大きな混乱なく平和裡に実施され、同国における民主主義の成熟を印象付けた。

1月には、カ経済・計画・協力相が訪日し、上川外務大臣との間で会談を行うとともに、水産分野における無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。

2月、深澤外務大臣政務官は、AU総会の機会を捉えたエチオピア訪問中、ファル外務・在外自国民相と会談を行った。

7月、日本は同国との間で、人材育成、保健、地雷除去及び食糧援助に関する4件の無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。同月、海上自衛隊の練習艦「かしま」及び練習艦「しまかぜ」が同国のダカール港に寄港するとともに、セネガル海軍と親善訓練を実施した。

8月に東京で行ったTICAD閣僚会合には、ファル・アフリカ統合・外相が参加し、上川外務大臣とのアフリカ女性閣僚ワーキング・ランチに出席するとともに、同大臣と会談を行った。

(9)トーゴ

トーゴでは、国内総生産(GDP)の約4割を農業が占め、労働人口の約7割が同分野に従事している。

5月、日本は同国との間で、農業土木関連機材(トラクター、ブルドーザーなど)を供与する無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の署名・交換を行った。また、8月には、日本の政府米による食糧援助を実施する無償資金協力に関する書簡の署名・交換を行った。

8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には、ドュセ外務・地域統合・在外国民相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。

(10)ナイジェリア

8月、物価高騰を背景に全国規模で抗議活動が発生したものの、9月には国内精製のガソリンの国内への供給が開始されるなど、持続的な経済成長に向けた改革の取組が進められた。

日本は、テロなどの脅威にさらされている北東部3州におけるコミュニティ支援やガバナンス強化、基礎的保健サービスへのアクセス向上への協力などを行っている。

4月、上川外務大臣がナイジェリアを訪問し、トゥガー外相との間で二国間会談を行うとともに、国連機関女性幹部や女性避難民との女性・平和・安全保障(WPS)に関する意見交換などを行った。

8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には、トゥガー外相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。双方は、経済分野におけるパートナーシップ強化で一致した。

日・ナイジェリア外相会談(8月23日、東京)
日・ナイジェリア外相会談(8月23日、東京)

(11)ニジェール

2023年7月の軍事的政権奪取を受け、日本は、ニジェールにおける憲法秩序の早期回復に向けた取組を求める一方、人道状況改善のため、国際機関を通じた支援などを行っている。

(12)ブルキナファソ

2022年1月及び同年9月に発生した軍事的政権奪取の後、暫定政府が発足し、民政移管に向けて取り組んでいる。地方でテロや襲撃が頻発するなど、治安の悪化が深刻であり、多数の国内避難民が発生している。

日本は、人道状況改善に貢献するため、10月に無償資金協力「食糧援助」に関する書簡の署名・交換を行った。特に、日本の政府米による食糧援助を行うことを通じて、国内避難民への支援に関する協力も進めている。

(13)ベナン

サヘル地域のテロ組織の南下によりベナン北部の治安対策の強化が喫緊の課題になっている。

日本は、インフラ整備、産業振興及び国民の生活環境改善を通じて、二国間関係を深化させている。また、ベナンの電力分野での協力を通じ、同国のグリーン成長の取組を後押ししている。

7月にはワダニ経済・財務相が訪日し、辻󠄀外務副大臣と会談を行った。

8月に東京で行われたTICAD閣僚会合にはアジャディ・バカリ外相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。

(14)マリ

2020年8月及び2021年5月に発生した軍事的政権奪取を経て、暫定政府が発足し、民政移管に向けて取り組んでいる。国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)(10)の撤退後も、北部及び東部を中心に、テロや襲撃、衝突などが頻発しており、治安及び人道状況が深刻化している。

日本は、マリの平和と安定及び持続的成長を後押しするため、教育、食料安全保障などの分野において協力を実施している。

(15)リベリア

1月、ボアカイ大統領が就任した。同月の大統領就任式には、総理特使として深澤外務大臣政務官が出席し、同大統領及びグリスビー大統領府担当相への表敬を行った。

8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には、ニャンティ外相が参加し、上川外務大臣と会談を行った。

日本は、質の高いインフラ整備などを通じた開発課題への取組を後押ししてきている。また、9月、同国に対する無償資金協力「食糧援助」の書簡の署名・交換が行われた

(16)モーリタニア

モーリタニアは、政治・治安情勢が深刻化するサヘル地域にあって、2011年以降テロが発生しておらず、比較的安定した政権運営を続けている。

6月には大統領選挙が行われ、ガズワニ大統領が再選された。

日本は食糧援助などの支援を継続的に行ってきており、長年協力してきた水産分野に加え、農業分野への協力を行い、同国の発展を後押ししている。

同国は、2024年のAU議長国を務めた。4月、イタリア訪問中の上川外務大臣は、メルズーグ外務・アフリカ協力・在外モーリタニア人相と二国間会談を実施した。また、8月に東京で行われたTICAD閣僚会合には同外相が共同議長として参加し、上川外務大臣と会談を行った。12月には、コートジボワールで開催された第3回日・アフリカ官民経済フォーラムの機会に、松本外務大臣政務官が、ンゲノレ経済・財務大臣付予算担当相と会談した。

(10) MINUSMA:United Nations Multidimensional Integrated Stabilization Mission in Mali

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