5 中部アフリカ地域
(1)ガボン
2023年8月に発足した暫定政権は、4月に国民対話を、また、11月に新憲法案の国民投票を、それぞれ平和裡かつ透明性を持って実施し、2025年に実施予定の大統領選挙に向け、民政移管プロセスを着実に進めている。日本は、7月に無償資金協力「透明性のある、実効的かつ包摂的な司法セクター推進計画(UNDP連携)」に関する書簡の署名・交換を行うなど、ガボンの司法分野の能力強化などを通じて同国の民政移管を後押ししている。
(2)カメルーン
カメルーンでは、ポール・ビヤ大統領による長期政権が維持されている。同国政府は、英語圏地域問題の解決に向けた取組を継続している。
3月、日本は、無償資金協力「先端技術向上による国内産品の持続可能性促進及び国際競争力強化計画(UNIDO連携)」に関する書簡の署名・交換を行った。
8月に東京で開催されたTICAD閣僚会合には、ンベラ・ンベラ外相が参加し、上川外務大臣と外相会談を行った。
(3)コンゴ民主共和国
1月に、チセケディ大統領の2期目の任期が始まった。同月の大統領就任式には、深澤外務大臣政務官が総理特使として出席し、同大統領との懇談を行った。
日本は、運輸交通や電力などの分野におけるインフラ支援を含め、同国の社会経済発展に向けた協力を進めている。
東部地域では、武装勢力の活動により、国内避難民が発生するとともに、人権・人道状況の悪化が深刻化しており、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)が展開している。日本は、「地域の警察モデル」の再構築を通じた支援を行っている。
8月に東京で開催されたTICAD閣僚会合には、カザディ外務・国際協力・仏語圏大臣付国際協力・仏語圏担当相が参加し、辻󠄀外務副大臣と会談を行った。
2023年秋頃からエムポックスの感染が拡大し、2024年8月に世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を発出した。コンゴ民主共和国政府からの要請を受けて、9月、日本は同国政府との間でワクチンなどの贈与に関する書簡の署名・交換を行った。
(4)コンゴ共和国
広大なコンゴ盆地を擁する同国は、森林保全を含めた気候変動課題に積極的に取り組んでいる。
食料安全保障への対策が急務となっていることから、日本は同国に対し、国連世界食糧計画(WFP)を通じた食糧援助を継続的に行っている。

(5)サントメ・プリンシペ
豊かな自然環境に恵まれたサントメ・プリンシペでは、エコツーリズムなどの環境分野に力を入れており、12月には後発開発途上国(LDC)(8)から卒業した。日本政府は食糧援助を継続的に実施しており、これら食糧援助により積み立てられた見返り資金(9)は、同国の経済社会開発を促進する目的で活用されている。
(6)赤道ギニア
赤道ギニアは、オビアン・ンゲマ大統領の長期政権が維持されている。日本は初めての在マラボ名誉領事として、フランシスコ・エソノ氏を任命した。
2月、深澤外務大臣政務官は、AU総会の機会を捉えたエチオピア訪問中、オヨノ・エソノ・アンゲ外務・国際協力・ディアスポラ相と会談を行った。
8月に東京で開催されたTICAD閣僚会合にはエブナ・アンデメ国際機関担当国務長官が参加し、深澤外務大臣政務官と会談を行った。
(7)チャド
チャドでは、5月に大統領選挙が実施され、マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ暫定大統領が大統領に就任した。また、12月、同国の民政移管の重要なプロセスである国民議会選挙が実施された。
2月、深澤外務大臣政務官は、AU総会の機会を捉えたエチオピア訪問中、アナディフ外相と会談を行った。
8月に東京で開催されたTICAD閣僚会合には、アブドゥラマン・クラマラー外相が参加し、上川外務大臣との会談を実施した。
日本は、同国がサヘル地域やチャド湖地域の平和と安定において果たす役割を重要視しており、引き続き食糧援助のほか、スーダン難民を始めとする周辺国からの難民・避難民の受入れにより負担が増しているホストコミュニティ(受入れ地域)のための支援などを実施している。
(8)中央アフリカ
中央アフリカにおいては、多数の反政府武装勢力が存在しており、国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)が展開している。治安・人道状況は改善傾向にあるものの、引き続き多数の国内避難民が存在している。
日本は、9月に無償資金協力「食糧援助(WFP連携)」に関する書簡の署名・交換を行った。
8月に東京で開催されたTICAD閣僚会合には、シルビー・バイポ=テモン外務・フランス語圏・在外国民相が参加し、上川外務大臣とのアフリカ女性閣僚ワーキング・ランチに出席するとともに、同大臣と外相会談を行った。12月には、松本尚外務大臣政務官がコートジボワールで開催された第3回日・アフリカ官民経済フォーラムに出席し、アコロザ貿易・産業担当相と会談した。


(8) LDC:Least Developed Country
(9) 被援助国政府は、日本政府が援助資金(外貨)を供与することにより生じる内貨の余剰のうち一定額を内貨立ての銀行口座に積み立てることとしている(見返り資金)。被援助国政府は、在外公館を通じて日本政府と使途につき協議の上、見返り資金を経済・社会開発に資する事業や物資の調達などに使用することができる。