ODA(政府開発援助)
持続可能な開発のための2030アジェンダの策定
ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限である2015年が迫る中,現行MDGsの達成に向けた取組を加速させる一方で,2015年より先の国際開発目標(ポスト2015年開発アジェンダ)の策定に向けた国際社会での議論が行われ,2015年9月25日に持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)が,ニューヨーク国連本部で開催された国連サミットで正式に採択されました。
我が国は,人間の安全保障の理念に立脚し,真に効果的な枠組みが策定されるよう,様々な形で国際社会の議論を主導してきました。引き続き,国際機関と連携しつつ,我が国として貢献していく考えです。
国連における取組
1 ポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベルパネル
潘基文国連事務総長は,ポスト2015年開発アジェンダに関する諮問グループとして,ハイレベルパネルを立ち上げ,2012年7月31日にメンバーを発表しました。キャメロン英首相,ユドヨノ・インドネシア大統領,ジョンソン=サーリーフ・リベリア大統領を3共同議長とし,国連加盟国政府,民間セクター,学識者,市民社会活動家らから,地理的な及び男女のバランスに適切な配慮をして27名が選ばれました。
メンバーは個人の資格でパネルに参加して,ポスト2015年開発アジェンダのビジョンや方向性につき議論し,2013年5月末に事務局長に報告書が提出されました。
2 国連タスクチーム
国連の内部では,2011年の冬から,開発に関連する国連の全機関を含み,また世界銀行も加わる形で,ポスト2015年開発アジェンダについて検討するタスクチームが立ち上がっています。タスクチームは,国連開発計画(UNDP)と国連経済社会局(DESA)が主導しており,2012年5月には,タスクチームの報告書(PDF)も発表されています。
3 各種コンサルテーション
UNDPが主導して,100以上の国別コンサルテーションや,11のテーマ別コンサルテーションを世界各地で行い,多様な関係者からの意見をとりまとめようとしています。
第1回目のテーマ別コンサルテーションは,成長と雇用に関する会合で,外務省,JICA,UNDP及びILOの共催により,2012年5月に東京で開催されました。政府関係者のみならず,学識者,市民社会団体,経済団体や労働組合からの参加者が,活発に意見交換を行いました。
4 持続可能な開発目標(SDGs)のポスト2015年開発目標への統合
2012年6月に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)において,MDGsを補完するものとして,持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)を設定することについて議論されました。
リオ+20で決定されたのは,次の2点です。
- (1)30か国によるオープン・ワーキング・グループ(OWG)を設置し議論すること
- (2)SDGsは,ポスト2015年開発アジェンダに整合的なものとして統合されるべきこと
持続可能性は,ポスト2015年開発アジェンダにおいて重要な要素になると考えられています。
持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループと持続可能な開発のためのファイナンシングに関する政府間委員会が2013年に立ち上がり,2014年夏に報告書が発出されました。
我が国の取組
1 MDGsフォローアップ会合の開催
2011年6月2~3日に,東京においてMDGsフォローアップ会合を開催し,ポスト2015年開発アジェンダに関する国際的な議論をキックオフしました。
2 ポスト2015年開発目標に関するコンタクト・グループの主催
約20か国の政府関係者,主要国際機関,研究機関,市民社会団体,民間セクターの大使・局長級の政策担当者が,非公式に政策対話を行う場としてコンタクト・グループを立ち上げ,活発な意見交換を行っています。
議論の結果は,議長ノートとしてとりまとめ,ポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベルパネルにインプットしました。
- 2011年12月 第1回会合(於:NY)
- 2012年2月 第2回会合(於:メキシコシティー)
- 2012年5月 第3回会合(於:東京)
- 2012年9月 第4回会合(於:NY)
- →第4回会合までの議論をまとめた暫定議長ノート(要約版)(英語)(PDF)を発表
- 2012年12月 第5回会合(於:イスタンブール)
- 2013年3月 第6回会合(於:NY)
3 第67回国連総会におけるサイドイベントの開催
2012年9月25日(NY現地時間),国連総会の機会に,我が国が主導して,ポスト2015年開発目標に関するサイドイベントを開催しました。市民社会,研究機関,若者,民間セクターの代表が,ハイレベルパネルのメンバーと自由な対話を行い,500名以上の参加がありました。議論の土台として,コンタクト・グループの暫定議長ノート(要約版)が活用され,サイドイベントの議論の内容は,同日午後に開催されたハイレベルパネル第1回会合でも反映されました。
4 IMF・世銀年次総会東京会合における公式セミナーの開催
2012年10月には,IMF・世銀年次総会東京会合の機会に,外務省,JICA及び世銀グループの共催で,ポスト2015年開発目標に関する公式セミナー(Program of Seminars)を開催しました(動画)。ジョンソン=サーリーフ大統領や,キム世銀新総裁,クラークUNDP総裁らとともに,我が国からは田中明彦JICA理事長が参加し,約500名の聴衆を得て,活発な議論を行いました。
5 第68回国連総会におけるサイドイベントの開催
2013年9月25日,国連総会の機会に,サイドイベント「ポスト2015年:保健と開発」を主催しました。本サイドイベントでは,ポスト2015年開発アジェンダにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:全ての人が基礎的保健医療サービスを受けられること)の有用性につき議論を行いました。岸田外務大臣が議長を務め,冒頭セッションでは安倍総理,クラークUNDP総裁,キム世銀総裁が挨拶を行いました。多くの発言者が,人間の安全保障と保健分野における日本のリーダーシップに対する賛辞を述べていました。