ODA(政府開発援助)

2021(令和3年)年3月19日発行
令和3年3月19日

気候変動分野での
日本の途上国支援の取組

(画像1)SDGsロゴマーク(ゴール13) SDGsロゴマーク(ゴール13)
「気候変動に具体的な対策を」
(画像2)SDGs17の目標 SDGs17の目標

国際協力局気候変動課

 2020年10月、菅総理大臣は2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロとする、2050年カーボンニュートラル別ウィンドウで開くの実現を目指すことを宣言しました。今回は、注目の集まる気候変動分野について、途上国支援の観点から、世界的な潮流及び日本のこれまでの取組と今後の展望についてご紹介します。

 持続可能な開発目標(SDGs)において、気候変動は目標13として定められています。その地球規模課題としての性質上、全ての国が気候変動対策にそれぞれ取り組むことが必要である一方で、多くの開発途上国は、自国の経済開発にも同時に取り組まねばならないことから、自国の限られた資金や能力だけでは十分な施策を実施できないというのも現状です。

 国際社会で一致して気候変動対策に取り組むために、先進国は、支援を必要とする開発途上国に2020年に全体で年間1000億ドルの気候変動に関する資金支援を実施するという目標(「1000億ドル目標」)を表明するなど、積極的に支援を行っています。日本も、2015年には、2020年に官民合わせて約1.3兆円の気候変動に関する途上国支援を実施することを内容とする「美しい星への行動2.0(Action for Cool Earth: ACE2.0」を表明し、目標達成に向けて着実に取り組んでいます。

日本の優れたテクノロジーを活かして
途上国の温室効果ガスを削減!

(写真1)太陽光パネル JCMプロジェクトの支援により建設された製塩工場に隣接する太陽光パネル(ケニアの「製塩工場における太陽光発電プロジェクト」)
(写真2)製塩工場の様子 設置された太陽光発電システムにより発電された電力で運転されている製塩工場(ケニアの「製塩工場における太陽光発電プロジェクト」)(Photo by GEC

 また、途上国における気候変動対策支援の一つとして、「二国間クレジット制度(JCM=Joint Crediting Mechanism)」を推進しています。JCMとは、日本が開発途上国で削減した温室効果ガスの削減分を「クレジット」として、日本の温室効果ガス削減量に算入する仕組みです。日本は優れた脱炭素技術や製品、システム、サービス、インフラを開発途上国に提供しており、開発途上国における温室効果ガスの排出削減・吸収に貢献しています。JCMはこうした日本の貢献を定量的に評価し、その成果を二国間で分け合うことを可能にしています。

(画像3)二国間クレジット(JCM)制度の図解 二国間クレジット(JCM)の仕組み

 日本は、2011年から開発途上国とJCMに関する協議を行ってきており、これまでにモンゴル・バングラデシュ・エチオピア・ケニア・モルディブ・ベトナム・ラオス・インドネシア・コスタリカ・パラオ・カンボジア・メキシコ・サウジアラビア・チリ・ミャンマー・タイ・フィリピンの計17か国とJCMを構築しています。

 例えば最近の事例として、ケニアでは、製塩工場における太陽光発電プロジェクトを支援し、これによって、製塩工場で使用される電力のうち通常系統電力と停電の際に使用されるディーゼル自家発電のほぼ全量にあたる電力消費を代替することが可能となり、CO2排出削減につながりました。この結果、発行が決定されたクレジットの量は合計974トンで、日本はそのうち488トンのクレジットを獲得しました。

(写真3)発電機 廃棄物処分場で回収したメダンガスを用いた発電機(メキシコの「メタンガス回収・1.2メガワット発電設備の導入プロジェクト」)
(写真4)テキーラ製造工場の様子 テキーラ製造工場へ、省エネ蒸留システムの導入(メキシコの「テキーラ工場における貫流ボイラーの導入と熱量転換」プロジェクト)(Photo by Suntory Spirits Ltd.

 さらに日本は、世界最大の多国間気候基金である「緑の気候基金(GCF=Green Climate Fund」を通じた途上国支援も行っています。これは2010年のCOP16で採択されたカンクン合意において設立が決定された、開発途上国の温室効果ガス削減・吸収と気候変動適応に関する活動を支援する多国間気候基金です。日本は同基金に最大30億ドルの拠出を表明しており、同基金の第2位のドナー国として、気候変動の影響に脆弱な国々への支援に力を入れています。また、2017年には、JICA及び三菱UFJ銀行が日本の機関として初めて、GCFの「認証機関(Accredited Entity)」として認定され、GCFの資金を活用した、気候変動対策事業の案件形成・実施が可能になりました。GCFは、これまで117か国を対象に158の事業案件(総額72億ドル)を承認しており(2021年2月末現在)、事業の効果として、12億トンの温室効果ガスの削減と4.1億人の適応策への裨益が見込まれています。

 今後、2021年11月に延期されたCOP26では、JCMにも関連するパリ協定6条市場メカニズム(排出削減成果の国際移転に関するメカニズム)に関する実施指針の採択や、現在の1000億ドル目標に次ぐ、2025年以降の新たな資金目標が論点となる見込みで、途上国支援の観点からも非常に重要な局面を迎えます。日本は、引き続き気候変動分野における途上国支援に積極的に取り組み、国際社会をリードしていきます。

未来へ向かう、コロナ時代の国際協力
「2020年版 開発協力白書」公表のお知らせ

(写真1)2020年版開発協力白書の表紙写真

外務省 国際協力局 開発協力企画室

 外務省では、毎年、日本の開発分野での取組や開発協力の実績などをまとめた開発協力白書を発行しており、この度「2020年版開発協力白書 日本の国際協力」を公表しました。今回の白書の見どころは以下のとおりです。

  • 新型コロナウイルス感染症に関する「特集」を組み、かつてないスピードで実施した保健・医療支援や、ワクチンへの公平なアクセス確保への日本の貢献などを紹介しています。
  • コラム記事でも、コロナ禍の現場で活躍する国際機関日本人職員や日本の中小企業の活躍などを紹介しています。
  • 「参加型白書」を目指し、一般の方が撮影した写真の特集や、SNSなどを利用して公募したコラムも掲載しています。

 是非ご覧ください!

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