気候変動

(Green Climate Fund: GCF)

令和3年7月6日

概要

1 緑の気候基金とは

  • 緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)は、開発途上国の温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援するため、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に基づく資金供与の制度の運営を委託された基金です。
  • 2010年に開催された国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)にて設立が決定され、2011年のCOP17で委託機関として指定されました。
  • 2015年5月、日本が拠出を確定したことにより、活動開始に必要な資金が集まったとみなされたため、GCFは活動を開始しました。

2 GCFの組織

(1)理事会(Board)

  • GCFの最高意思決定機関。年3回開催され、COPに対して責任を負っています。24名の理事及び24名の理事代理で構成され、先進国及び途上国から半数ずつ選出されます(任期は3年。)。日本は、理事及び理事代理の席を確保しています。意思決定は、原則コンセンサスによりますが、2019年7月の第23回理事会で、コンセンサスが成立しない場合は多数決を用いることが決定されました。
  • GCF理事会の構成(2021年3月時点)
    【理事】
    先進国12名:仏(共同議長)、英国、独、日本、スウェーデン、米国、ノルウェー、伊、カナダ、スペイン、デンマーク、フィンランド
    途上国12名:メキシコ(共同議長)、スーダン、中国、サウジアラビア、韓国、タンザニア、セネガル、リベリア、モーリシャス、ドミニカ(共)、アルゼンチン、アルバニア
    【理事代理】
    先進国12名:英国、仏、独、日本、スウェーデン、米国、ノルウェー、オーストリア、ベルギー、ニュージーランド、オランダ、スイス
    途上国12名:パキスタン、エジプト、フィリピン、イラン、南ア、ガボン、ブータン、アンティグア・バーブーダ、キューバ、ブラジル、チリ、バハマ

(2)事務局(Secretariat)

  • GCFの通常業務を行っています。事務局は、韓国仁川市松島(ソンド)に置かれています。
  • 事務局長の下には、国別計画部、緩和・適応部、民間セクターファシリティ部、支援サービス部(財務、資金動員、人事等)及び対外関係部が置かれています。

(3)事務局長(Executive Director)

  • 2019年2月、第22回理事会において、ヤニック・グレマレック(Dr. Yannick Glemarec)氏がGCF事務局長に選出され、同年4月に就任しました。

GCFの活動

1 資金の動員

(1)初期拠出(2015~2018年)

  • GCF設立時の初期拠出では、 43か国の政府(うち9か国は途上国)及び都市・地域(パリ市、ベルギー・フランダース政府等)が拠出を表明し、拠出表明総額は約103億ドルに達しました。
  • 日本は、初期拠出において、15億米ドルの拠出を行いました。

(2)第1次増資(2020~2023年)

  • GCF第1次増資では、これまでに日本を含む31か国・2地方政府が総額約100億米ドルの拠出を表明しました。
  • 日本は、2019年10月の第1次増資ハイレベル・プレッジング会合で、国会の承認が得られれば、GCFの活動状況に応じて、最大15億米ドルを拠出する意向である旨表明しました。
  • 主要国の拠出表明額(2021年3月現在)
  初期拠出 第1次増資
12億ドル(7.2億ポンド) 18.5億ドル(14.4億ポンド)
10億ドル(7.7億ユーロ) 17.4億ドル(15.5億ユーロ)
10億ドル(7.5億ユーロ) 17億ドル(15億ユーロ)
スウェーデン 5.8億ドル(40億クローネ) 8.5億ドル(80億クローネ)
30億ドル(うち10億ドル拠出) 拠出せず
日本 15億ドル 最大15億ドル
その他諸国 計20億ドル 計23.6億ドル
プレッジ総額 約103億ドル
(拠出は約83億ドル)
約100億ドル

2 資金供与の方法

  • 資金は、緩和及び適応への支援に50:50の割合で配分されることを目指しています。
  • 小島嶼開発途上国(SIDS)、後発開発途上国(LDC)及びアフリカ等の気候変動による影響に特に脆弱な国が重視されており、適応への支援の半分はこれらの脆弱国に配分することを目指しています。
  • 国際機関、地域機関、国家機関等が認証機関(Accredited Entity)として認定された上で、個別案件を事務局に申請します。

3 認証機関の認定

  • 認証機関(Accredited Entity:AE)とは、GCFへの資金のアクセスを認められた国及び準国家の機関・地域機関・国際機関、民間機関のことを指します。官民のあらゆる機関が認証機関申請を行うことが可能です。認証機関の性質によって、ダイレクト・アクセス機関(開発途上国における国・地域及び準国家の機関・地域機関等)、インターナショナル・アクセス機関(先進国における国際機関・地域機関及び国の機関等)に大別されます。
  • 認証機関になるためには、GCFの受託者原則・基準、環境・社会配慮、ジェンダー政策等に合致していることが必要であり、理事会での承認を得る必要があります。
  • これまでに113機関が認証機関となっており、日本の機関では、国際協力機構(JICA)及び三菱UFJ銀行(MUFG)が2017年に、三井住友銀行(SMBC)が2021年に認証機関として承認されました。

4 案件採択のプロセス

 以下のプロセスを経てGCFが資金を供与する案件が採択、実施されます。

  • (1)認証機関が、案件のプロポーザル(提案書)を作成し、事務局へ提出します。これより前に、任意でコンセプト・ノートを作成して事務局からフィードバックや助言を得ることも可能です。
  • (2)事務局によるプロポーザルの審査が行われます。
  • (3)事務局による審査を通過すると、独立技術審査パネル(independent Technical Advisory Panel:iTAP)において技術面での審査が行われます。
  • (4)iTAPでの審査を経て、理事会での審議に付されます。理事会でプロポーザルが承認されると、法務手続等、案件の実施に向けた手続が始まります。

5 案件審査基準

 GCFによる資金支援を決定する際には、以下6つの点が考慮されます。

  • (1)インパクト:対象となる支援プロジェクトがGCFの目的や成果分野を達成するために貢献する潜在性があるか。
  • (2)パラダイムシフト:支援活動が当該プロジェクトや投資を超えて影響をもたらすか。
  • (3)持続可能な開発の潜在性:より幅広い利益と優先事項があるか。
  • (4)被支援国のニーズ:受益国と受益者の脆弱性と資金ニーズがあるか。
  • (5)カントリー・オーナーシップ:受益国によるオーナーシップと当該プロジェクトの実施能力があるか。
  • (6)効率性及び効果:対象となるプロジェクトが経済面・資金面で健全であるか。

6 案件採択実績

  • これまでに合計177件の案件が理事会で採択されており、これにより、約18億トンのCO2排出量削減と約5億人の裨益が見込まれています。採択案件には、我が国が重視する島嶼国案件や防災案件も含まれています。
  • また、日本の認証機関では、これまでに三菱UFG銀行(MUFG)による案件2件(チリにおける太陽光・揚水水力発電(2019年7月)、サブサハラ・南米7か国における持続可能な民間森林事業支援(2020年3月))、JICAの2案件(東ティモールの森林地帯コミュニティ支援(2021年3月)、モルディブの気候変動に強じんな島づくり支援(2021年7月))が採択されています。
  • 177件のうち、適応分野の案件は74件、緩和分野の案件は57件、適応・緩和の両方に資する分野横断の案件は46件です。また、支援額におけるそれぞれの割合は、適応21%、緩和49%、分野横断30%となっています。

7 GCFの資金へのアクセス向上の取組

(1)レディネス支援

  • レディネス支援とは、NAMA(国の適切な削減行動)、NAP(国別適応計画)、NAPA(国別適応行動計画)等の途上国の戦略や計画の策定・強化といったレディネスや準備活動、技術支援に対して資金を供与するプログラムを指します。
  • 全ての途上国がこのプログラムにアクセスすることが可能です。また、レディネス支援のうち最低50%は脆弱国(小島嶼開発途上国、後発開発途上国、アフリカ諸国)に配分されることになっています。
  • 1か国が1年で利用できるレディネスのための資金は100万ドルであり、3年間で300万ドルを上限に、複数年の申請も可能です。
  • 支援対象となる具体的な活動は、以下のとおりです。
    • NDAまたはフォーカルポイントの能力強化
    • 国家計画の策定等戦略的な枠組みの構築
    • 認証及びダイレクト・アクセス認証機関への支援
    • 情報・知見の共有
    • NAPその他の適応計画プロセスの策定

(2)プロジェクト準備ファシリティ(PPF)

  • PPFは、案件形成を支援するためのプログラムです。全ての認証機関による案件形成、特にダイレクト・アクセス機関による案件及び極小案件(1000万ドルまで)・小規模案件(5000万ドルまで)を支援します。なお、支援額は、1件につき最大150万ドルまでです。
  • PPFで支援対象となる活動は、以下のとおりです。
    • 実現可能性調査及び立案
    • 経済・社会・ジェンダー面での調査
    • リスク評価
    • 指標の特定
    • 契約に関する事前サービス
    • 助言サービス
    • その他案件準備に必要な活動

(3)案件採択プロセスの簡素化

  • 第13回理事会(2016年6月)において、低・ゼロリスクの極小案件及び小規模案件については、簡素化された案件採択プロセス(SAP)を適用することを決定しました。第18回理事会(2017年10月)にてSAPのパイロット・スキームの実施を決定し、第19回理事会(2018年2月)には初のSAP適用案件が承認されました。

8 民間資金活用の取組

(1)民間セクターファシリティ(PSF)

 民間部門の緩和・適応活動に対する直接又は間接的な資金供給を行う役割を担います。事務局の部署として設置されています。特に、途上国において、現地の中小企業・地元金融機関等の民間部門の参加を促進します。
 初期拠出期間において、ア 零細中小企業支援のパイロット・プログラムに2億ドル、イ 大規模な資金動員のためのパイロット・プログラムに5億ドルを配分することが決定されています。
 また、民間企業の参加を呼びかける提案募集(Request for Proposal: RFP)を実施し、350件のコンセプト・ノートを受領、そのうち5件が実現しています(2021年4月時点)。

(2)民間セクター諮問グループ(Private Sector Advisory Group:PSAG)

  • PSAGは、民間部門のGCFへの関与方法等について理事会に助言を行うための諮問機関です。
  • 理事会メンバーから途上国・先進国各2名、民間セクターから途上国・先進国各4名まで、市民社会から2名までで構成されており、日本もメンバーに含まれています。
  • PSAGは、以下の内容等の助言を行います。
    • 民間気候資金動員のための民間セクターの関与
    • GCFの政策・手続
    • アフリカ地域及び適応分野における民間セクターの関与
    • 現地の中小企業・地元金融機関等の現地アクターの参加
    • SIDS及びLDCにおける民間セクターの関与

我が国のGCFへの貢献

  • 我が国は、初期拠出(2015-2018年)において、15億米ドルを拠出しました。さらに、2019年10月25日の第1次増資ハイレベル・プレッジング会合では、国会の承認が得られれば、GCFの活動状況に応じて、最大15億米ドルを拠出する意向である旨表明しました。日本の累積拠出順位は、英国に次いで第2位です。
  • 我が国は、主要拠出国として、GCFの最高意思決定機関である理事会に、理事及び理事代理の席を有し、基金の運営に積極的に貢献しています。
  • 現在、GCF事務局に勤務する日本人職員は6名です。

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