気候変動

緑の気候基金

(Green Climate Fund: GCF)

令和元年5月17日

英語版 (English)

概要

1 緑の気候基金とは

  • 緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)は,開発途上国の温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援するため,気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に基づく資金供与の制度の運営を委託された基金です。
  • 2010年に開催された国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)にて設立が決定され,2011年のCOP17で委託機関として指定されました。
  • 2015年5月,日本が拠出を確定したことにより,GCFは支援を開始できることになりました。

2 GCFの組織

(1)理事会(Board)

  • GCFの最高意思決定機関。年3回開催され,COPに対して責任を負っています。24名の理事及び24名理事代理で構成され,先進国及び途上国から半数ずつ選出されます。任期は3年。日本は,理事及び理事代理の席を確保しています。意思決定は,原則,コンセンサスによります。
  • GCF理事会の構成
    【理事】
    先進国12名:英国(共同議長),日本,米国,仏,独,スウェーデン,カナダ,ノルウェー,イタリア,豪州,オランダ,スイス
    途上国12名:スーダン(共同議長),サウジアラビア,イラン,中国,タンザニア,セネガル,リベリア,セーシェル,ニカラグア,ブラジル,メキシコ,アルメニア
    【理事代理】
    先進国12名:英国,日本,米国,仏,独,スウェーデン,ベルギー,オーストリア,スペイン,ニュージーランド,デンマーク
    途上国12名:エジプト,フィリピン,韓国,パキスタン,南ア,ガボン,アンゴラ,キューバ,ウルグアイ,チリ,エクアドル,空席1

(2)事務局(Secretariat)

  • GCFの通常業務を行っています。事務局は,韓国仁川市ソンドに置かれています。
  • 事務局長の下には,国別計画部,緩和・適応部,民間部門ファシリティ部,支援サービス部(財務,人事等)及び対外関係部が置かれています。

(3)事務局長(Executive Director)

  • 本年2月に開催された第22回理事会において,ヤニック・グレマレック氏(前UN Women事務局次長)が事務局長に選出されました。

GCFの活動

1 資金の動員

  • これまでに,47の政府(うち9か国は途上国)及び都市・地域(パリ市,ベルギー・フランダース政府等)が拠出を表明し,拠出表明総額は約103億ドルに達しています。
  • 日本は,GCFに対して15億ドルの拠出を決定しています。
  • 主要国の拠出表明額
    米国:30,日本:15,英国:12,フランス:10,ドイツ:10,スウェーデン:5.8,その他:20(億円)
    2019年5月現在

2 資金供与の方法

  • 資金は,緩和及び適応への支援に50:50の割合で配分されることを目指しています。
  • 小島嶼開発途上国(SIDS)や後発開発途上国(LDC)等の気候変動による影響に脆弱な国が重視されており,適応への支援の半分は脆弱国に配分することを目指しています。
  • 国際機関,地域機関,国家機関等が認証機関(Accredited Entity)として認定された上で,個別案件を事務局に申請します。

3 認証機関の認定

  • 認証機関(Accredited Entity:AE)とは,GCFへの資金のアクセスを認められた国及び準国家の機関・地域機関・国際機関,民間機関のことを指します。官民のあらゆる機関が認証機関申請を行うことが可能です。認証機関の性質によって,ダイレクト・アクセス機関(国及び準国家の機関・地域機関),インターナショナル・アクセス機関(国際機関・地域機関)に大別されます。
  • 認証機関になるためには,GCFの受託者原則・基準,環境・社会配慮,ジェンダー政策等に合致していることが必要であり,理事会での承認を得る必要があります。
  • 2019年3月末現在,84機関が認証機関となっており,日本の機関では,国際協力機構(JICA)及び三菱UFJ銀行が認証機関として承認されています。

4 案件採択のプロセス

 以下のプロセスを経てGCFが資金を供与する案件が採択,実施されます。

  1. 認証機関が,案件のプロポーザル(提案書)を作成し,事務局へ提出します。これより前に,任意でコンセプト・ノートを作成して事務局からフィードバックや助言を得ることも可能です。
  2. 事務局によるプロポーザルの審査が行われます。
  3. 事務局による審査を通過すると,独立技術審査パネル(independent Technical Advisory Panel:iTAP)において技術面での審査が行われます。
  4. iTAPでの審査を経て,理事会での審議に付されます。理事会でプロポーザルが承認されると,法務手続等,案件の実施にむけた手続きが始まります。

5 案件審査基準

 GCFによる資金支援を決定する際には,以下6つの点が考慮されます。

  • (1)インパクト:対象となる支援プロジェクトがGCFの目的や成果分野を達成するために貢献する潜在性があるか。
  • (2)パラダイムシフト:支援活動が当該プロジェクトや投資を超えて影響をもたらすか。
  • (3)持続可能な開発の潜在性:より幅広い利益と優先事項があるか。
  • (4)被支援国のニーズ:受益国と受益者の脆弱性と資金ニーズがあるか。
  • (5)カントリー・オーナーシップ:受益国によるオーナーシップと当該プロジェクトの実施能力があるか。
  • (6)効率性及び効果:対象となるプロジェクトが経済面・資金面で健全であるか。

6 案件採択実績

  • これまでに,合計102件の案件が理事会で採択されています。これには,我が国が重視する島嶼国案件や防災案件も含まれています。
  • 102件のうち,適応分野の案件は46件,緩和分野の案件は32件,適応・緩和の両方に資する分野横断の案件は24件あります。また,支援額におけるそれぞれの割合は,適応24%,緩和44%,分野横断32%となっています。

7 GCFの資金へのアクセス向上の取り組み

(1)レディネス支援

  • レディネス支援とは,NAMA(国の適切な削減行動),NAP(国別適応計画),NAPA(国別適応行動計画)等の途上国の戦略や計画の策定・強化といったレディネスや準備活動,技術支援に対して資金を供与するプログラムを指します。
  • 全ての途上国がこのプログラムにアクセスすることが可能です。また,レディネス支援のうち最低50%は脆弱国(小島嶼開発途上国,後発開発途上国,アフリカ諸国)に配分されることになっています。
  • 1か国が1年で利用できるレディネスのための資金は100万ドルで,そのうち,30万ドルを上限に途上国各国の国家指定機関(National Designated Authority:NDA)またはフォーカルポイント(注:GCFとの間で窓口となっている各国の機関や人物)の支援に利用することが可能です。
  • 支援対象となる具体的な活動は,以下のとおりです。
    • NDAまたはフォーカルポイントの能力強化
    • 国家計画の策定等戦略的な枠組みの構築
    • 認証及びダイレクト・アクセス認証機関への支援
    • 情報・知見の共有
    • NAPその他の適応計画プロセスの策定

(2)プロジェクト準備ファシリティ(PPF)

  • PPFは,案件形成を支援するためのプログラムです。全ての認証機関による案件形成,特にダイレクト・アクセス機関による案件及び極小案件(1000万ドルまで)・小規模案件(5000万ドルまで)を支援します。なお,支援額は,1件につき最大150万ドルまでです。
  • PPFで支援対象となる活動は,以下のとおりです。
    • 実現可能性調査及び立案
    • 経済・社会・ジェンダー面での調査
    • リスク評価
    • 指標の特定
    • 契約に関する事前サービス
    • 助言サービス
    • その他案件準備に必要な活動

(3)案件採択プロセスの簡素化

  • 第13回理事会(2016年6月)において,低・ゼロリスクの極小案件及び小規模案件については,簡素化された案件採択プロセス(SAP)を適用することを決定しました。第18回理事会(2017年10月)にてSAPのパイロット・スキームの実施を決定し,第19回理事会(2018年2月)には初のSAP適用案件が承認されました。

8 民間資金活用の取り組み

(1)民間セクターファシリティ(PSF)

 民間部門の緩和・適応活動に対する直接または間接的な資金供給を行う役割を担います。事務局の部署の一つとして設置されています。特に,途上国において,現地の中小企業・地元金融機関等の民間部門の参加を促進します。
 初期動員期間において,(ア)零細中小企業支援のパイロット・プログラムに2億ドル,(イ)大規模な資金動員のためのパイロット・プログラムに5億ドルを配分することが決定されています。
 また,民間企業の参加を呼びかける提案募集(Request for Proposal:RFP)を実施し,これまでに350件のコンセプト・ノートを受領しています。

(2)民間セクター諮問グループ(Private Sector Advisory Group:PSAG)

  • PSAGは,第5回理事会(2013年10月)において,民間部門のGCFへの関与方法等について理事会に助言を行うための諮問機関として設置されました。
  • 理事会メンバーから途上国・先進国各2名,民間セクターから途上国・先進国各4名まで,市民社会から2名までで構成されており,日本出身のメンバーも含まれています。
  • PSAGは,以下の内容等の助言を行います。
    • 民間気候資金動員のための民間セクターの関与
    • GCFの政策・手続き
    • アフリカ地域及び適応分野における民間セクターの関与
    • 現地の中小企業・地元金融機関等の現地アクターの参加
    • SIDS及びLDCにおける民間セクターの関与

我が国のGCFへの貢献

  • 我が国は,2014年11月のG20サミットにて,安倍総理から15億ドルの拠出を表明しました。
  • 2015年5月,「緑の気候基金への拠出及びこれに伴う措置に関する法律」(平成27年法律第24号)が成立しました。これを踏まえ,我が国とGCF事務局は,日本政府からGCFに15億ドルを拠出するための取決めに署名を行いました。これによって,GCFへの各国拠出総額が,GCFの稼働に必要な条件とされた拠出表明総額の50%に達し,GCFは支援を開始できることとなりました。
  • 我が国は,GCFの最高意思決定機関である理事会に,理事及び理事代理の席を有し,GCFの運営に積極的に貢献しています。
  • 現在,GCF事務局に勤務する日本人職員は5名です。より多くの日本人職員がGCF事務局に採用されるよう,2018年6月21日に,GCF事務局及び上智大学との共催で「GCFキャリアセミナー」を実施しました。

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