昭和62年版外交青書の刊行にあたって
外務大臣に就任して以来この1年間,私は多くの外国要人と接し,我が国の国際的地位の向上及び世界各国からの日本に対する関心と期待の高まりをひしひしと感じてまいりました。
我が国を取り巻く現下の国際環境には厳しいものがあり,日本の国際的役割と責任も著しく増大しております。このような状況の下,我が国は,今まさに歴史的転換期を迎えているとの認識に立って,責任ある国家として,世界の平和と繁栄に積極的に貢献していかねばなりません。また,我が国が,国際社会の中で孤立することなく,引き続き繁栄していくためには,異なる文化に対して寛容かつ謙虚な姿勢を保つとともに,より世界に開かれた日本を目指すことが肝要であります。
外交の果たす役割がますます重大になってきている今日,私は,今後とも日々,誠心誠意,地道な努力を傾ける考えでありますが,より積極的な外交を展開するためには,国民各位の御理解と御協力が不可欠であります。
その意味で,この外交青書が,日本外交に対する皆様の御理解を得る一助となれば幸いです。
昭和62年7月
外務大臣 倉 成 正
本書は,世界の情勢と我が国が行った外交活動の概要について1986年4月から87年3月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は9章から成り,さらに資料,付表,及び年表を収録している。
即ち,第1章において我が外交の基本課題について述べ,第2章で1986年の世界の動きと我が国が行った主要な外交活動を概観し,第3章において各国の情勢及び我が国とこれら諸国との関係について述べている。さらに第4章から第9章までは,我が国の関係する重要な国際的問題について事項別に説明している。
第2章 1986年の世界の主な動きと我が国の主要な外交活動
第3章 各国の情勢及び我が国との関係
第4章 国際経済関係
第5章 経済協力の現況
第6章 国連における活動とその他の国際協力
第7章 文化交流及び報道・広報活動
第8章 邦人の海外渡航と外国人の入国
第9章 その他の活動