第8章 邦人の海外渡航と外国人の入国
第1節 概要
我が国の海外渡航者数は年々増加する一方であり,86年には550万人を突破し,史上最高であった。在留邦人数も50万人を越す勢いである。これら邦人の渡航先,滞在先は,世界のあらゆる国に広がっている。外務省としては,こうした邦人の海外への発展に対応して,在留邦人の重要関心事である子女教育,医療等について諸施策の充実に努めるとともに,在留者及び旅行者の保護・援助に最善をつくしている。こういう努力の一環として,昭和62年度外務省予算において,海外での緊急事態に際し邦人を保護するための通信連絡網の整備等に約3億5千万円の経費を計上した。また,邦人が世界各地で頻発しているテロ事件の犠牲とならぬよう,テロ抑止のための国際協力を積極的に推進している。さらに,海外渡航者の増大に対応して,従来より旅券発給業務のOA化をはじめ事務の合理化を推進している。
1年間に我が国を訪れる外国人の数は今や202万人に達している。外務省としては,かかる人的交流の拡大に対応し,査証制度の効率的かつ適正な運用に努めている。
また,87年3月より海外移住審議会において,総理大臣の諮問に基づき,総合的海外移住政策の観点から,国際化の進展に伴い急増している海外居住者の安全確保,子女教育,医療等の諸問題についての対応策の検討を行っている。