第5節 海外移住

1. 移住の概況

86年の海外移住者(永住目的の海外渡航者)数は約2,800人で,その移住先別の比率は北米,中南米,その他でそれぞれ約58%,30%,12%となっており,近年の動向に大きな変化はみられない。なお,戦後(86年まで)の年別移住者の累計は約25万人。また,海外に在住する移住者及び日系人の総数は170万人前後と推定されている。

2. 海外移住審議会

87年3月,内閣総理大臣より海外移住審議会(海外移住政策に関する政府の諮問機関)に対し,急速に増加しつつある我が国民の海外居住に伴って生ずる諸問題への対応策について諮問が行われた。これは,既移住者に対する援護の問題等に加え,近年における我が国の経済・社会の国際化の進展に伴い増加している海外居住者の安全確保,子女教育,医療,あるいは国際感覚の向上等の諸問題についての対応策について意見を求めたもので,審議会はこれを受けて今後作業部会を設け具体的な施策の方向につき検討していくこととなった。

3. 移住施策

(1) 国際協力事業団(JICA)の業務

JICAは,(イ)移住希望者に対する相談・あっせん,(ロ)既移住者に対する営農普及,医療,子弟の教育・研修・道路等生活環境整備・事業資金の融資等の支援,(ハ)現地定住と現地社会への協力に関心を有する海外開発青年の派遣などの業務を行っており,これらJICA移住業務のため外務省は86年度21億5,750万円の交付金,12億5,000万円の出資金を支出した。

(2) その他

都道府県による県費留学生受け入れ,海外知識普及,農業研修生派米協会による我が国農業青年の米国への2年間の派遣,日本海外移住家族会連合会による海外移住者子弟の本邦研修,日系人訪日団の受入れ等の事業に対し補助を行った。

 

 

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