ODA(政府開発援助)

2021(令和3年)年5月14日発行
令和3年5月14日

ナミビアの教育環境改善に向けた支援

(画像1)ナミビア

在ナミビア日本大使館

ナミビアと日本の関係について

 ナミビアは1990年に南アフリカの白人政権によるアパルトヘイト(人種隔離)体制から独立して誕生しました。以来、代々この土地で暮らしている様々な民族の統合を理念とした民主主義体制により、比較的安定した政治状況が続いています。一方で、経済はいまだ発展途上であり、月に39米ドル以下で生活する貧困層が人口の約17%を占め、失業率も30%を超えています。貧富の格差が大きいため、1人当りの国民総所得が比較的高いことから、国全体としては「高中所得国」として分類されており、国際社会からの支援を受けにくいという問題を抱えています。

 そうした状況の中、日本は、ナミビアの独立以来、持続的かつ包摂的な経済・社会発展の実現に向けた支援のため、産業基盤強化、農業開発による貧困削減・生計向上を主要な柱として様々な支援を行ってきました。天然の良港や、周辺諸国へ通じる国際回廊を有する好立地を生かした物流立国への支援や、小規模農業従事者である低所得層が多く居住する北部地域における農業開発支援別ウィンドウで開くは、ナミビア政府や農業従事者から高く評価され、感謝されてきました。また、持続的成長に不可欠な人材育成のため、様々な分野において各種研修等の技術協力を実施しています。

 さらに、干ばつ・洪水や、新型コロナウイルス等の感染症の流行といった緊急事態に対するナミビア政府の対応能力が限られる中、日本は、食糧援助や新型コロナウイルス対策としての二国間での保健医療関連機材の供与国際機関と連携した人道支援別ウィンドウで開く等を行っています。

ナミビアの学校教室建設を支援 教室不足を解消し、学習環境を整える

(写真1)新校舎の様子 ングウェゼ小学校の新校舎
(写真2)教室内の様子 きれいに整備されたングウェゼ小学校の新教室

 今回は、日本の幅広い支援の中でも、ナミビアの人的資源開発にとって重要な教育分野に焦点を当て、ナミビアの小・中学校の教育環境を整える支援についてご紹介します。ナミビアにおける格差解消の機会向上に不可欠な教育分野では、人口増加に対する教育施設の整備が追い付いていません。そのため、多くの学校では、生徒数に対して教室数が不足する状況となっています。

 そこで在ナミビア日本大使館は、小・中学校の教室建設支援を「草の根・人間の安全保障無償資金協力」(草の根無償)の重点分野として、これまで計59校に支援を行ってきました。ザンベジ州カティマ・ムリロ都市地区ングウェゼ小学校と、東カバンゴ州ルンドゥ都市地区カイソシ小中併設学校への支援では、完成した校舎に日本国旗や、日本・ナミビア両国の国旗が描かれ、学校関係者や児童・生徒たちの日本に対する感謝の気持ちが伝わってきます。また、どの学校でも、校舎引渡し式では、子どもたちが出身民族に固有の伝統的な節・拍子で、日本国民への感謝を表す躍動的な踊りを披露してくれます。カイソシ小中併設学校への校舎引渡し式にご出席いただいたナミビアのニーポンドカ教育・芸術・文化大臣からは、官・民の関係者すべてが協力して教育分野を支援するために同省が推進している枠組み「ナミビア教育の友特別イニシアチブ」を踏まえ、日本は「ナミビアの教育の友」であると、感謝の言葉をいただきました。

(写真3)新校舎の様子 カイソシ小中併設学校の新校舎
(写真4)教室内の様子 きれいに整備されたカイソシ小中併設学校の新教室
(写真5)踊っている子どもたちの様子 カイソシ小中併設学校の新しい校舎の前で、感謝の意を込め、伝統的な踊りを披露する子どもたち

素敵な教室をありがとう! 子どもたちや先生から感謝の声が届く

(写真6)木陰に立つ児童たち 新校舎建設支援前、教室に入れず屋外で授業を受ける児童たちの様子

 エロンゴ州ダウレス地区オマチェテ小学校も、教室数の不足に悩まされている学校の1つでした。近年、同地区で新しい鉱脈の発掘が進められるようになったのに伴い、鉱業分野の職を求める人が流入した結果として児童数が増加し、教室数が追い付かなくなっていました。そのため、通常ナミビアでは小学校の授業は午前中のみですが、同校はやむを得ず授業を午前・午後の2部制とし、教室を使用する児童を分散させました。しかし、午後の部の授業を受ける児童は、午前中教室の外で待機している必要があり、また一部の教室では、午後の部の授業の1時間目が午前の部の最終授業と重なってしまい、児童たちは屋外の木陰での授業を余儀なくされていました。

(写真7)壁に書かれた日本国旗とFrom the People of Japanの文字 日本国旗が描かれたオマチェテ小学校の新しい校舎
(写真8)原田大使(左)と州教育局長(右) 新校舎のテープカットを行う原田大使と州教育局長

 ナミビアでは季節が夏と冬にはっきり分かれているため、児童たちは寒暑に耐えながら教室の外で午後まで待たされるなど、屋外での授業は大きな負担になっていました。また、片道5キロメートルの距離を徒歩で通学している児童もおり、日の短い冬場には、午後の部の授業を終えて帰宅する頃には日が沈んでしまうため、暗い夜道を歩いて帰宅しなくてはならず、安全面でも問題がありました。

 そこで、こういった状況を背景に同校からの支援要請を受け、在ナミビア日本大使館は、平成30年度「草の根・人間の安全保障無償資金協力」(草の根無償)により、2教室と倉庫からなる新校舎の建設支援を実施し、令和2年11月、完成した校舎の引渡し式を行いました。ナミビアは南半球に位置し、11月は盛夏に当たります。照り付ける日差しの下、原田大使以下、式典に訪れた大使館代表は児童たちによる伝統的な歌と踊りによる歓迎を受けました。また、児童の保護者がたまの晴れの日にと、おのおの艶やかな伝統服をまとって参列していたのも印象的でした。州教育局長以下、ナミビア側出席者からは、日本政府・日本国民に対し、新校舎建設により授業の2部制が解消されたことへの感謝の言葉が寄せられました。

(写真9)児童たち(左)関係者の皆さん(右) 新校舎の引渡し式で、日本への感謝の意を込めて民族衣装をまとって参加してくださった関係者の皆さんと児童たちの様子

 さらに、引渡し式から半年ほどたち、実際に新しい教室を使い始めた子どもたちや先生、保護者から届いた言葉をご紹介します。

 「この支援のおかげで木の下での授業や午後の授業を行わなくてよくなりました。自分だけの教室が持ててとても嬉しく思います。(午後の授業があった)以前とは違い、午後に生徒に補習ができるようになりました。供与頂いた教室での仕事はとても快適で、壁にポスターを飾り、机や椅子の配置を工夫するなどして、良い結果に繋がる学習環境を作りました。日本からの寛大な支援への感謝は忘れません。これからも教室を大事に使い続けることを約束します」(教師)。

 「素敵な教室をどうもありがとうございます。教室には床板や大きな窓があって、汚れもなく、とてもきれいです。木の下での授業がなくなり、教室が持つことができて、とても嬉しいです」(児童)。

 「教室の供与は学校にとって大きな助けとなりました。支援により午後の授業はなくなりました。以前は、午後のとても暑い時間帯に生徒は授業を受けなければならず、集中力が続かないことがあり、学習に悪影響が出ていました。また、冬場は暗くなるのが早いため、徒歩で歩いて帰宅する子どもが心配でしたが、今は子どもが安全に帰宅することができ、私たち保護者も嬉しく思います」(保護者)。

 これらメッセージをいただき、次世代を担う人材育成が急務であるナミビアにとって、教育環境の改善は重要であり、同分野での支援ニーズが高いことを再認識する機会となりました。在ナミビア日本大使館は、これからも「ナミビアの教育の友」として、一人でも多くの子どもたちを笑顔にできるように取組を続けていきます。

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