ODA(政府開発援助)

2015年10月21日発行
平成27年10月23日

ミャンマー初の経済特区,始動

原稿執筆:在ミャンマー日本国大使館 大井 菜緒 三等書記官

2011年3月の民政移管後,テイン・セイン大統領は,政治・経済・社会の様々な分野における改革を進めています。
日本政府は,ミャンマーの改革プロセスを後押しすべく,これまでの4年間で様々な分野における支援を実施してきています。日本のミャンマーに対する経済協力は,日本による二国間の経済協力の中でも最大規模のものとなっています(参考リンク:日本のミャンマー支援(PDF)別ウィンドウで開く)。

日本の支援は,ミャンマー国民の生活向上や,国民和解の促進を後押しするのみならず,ミャンマーにおける日系企業の活動支援も同時に目指したプロジェクトが多くあります。その中でも象徴的なプロジェクトとして,日本とミャンマーの官民がチームを組んで取り組み,ミャンマー初の経済特区(SEZ)開発となったティラワ経済特区が,2015年9月に開業しました。

  • ティラワSEZ正門前でテープカット
  • 開業式典にて挨拶する麻生副総理

9月23日に執り行われたティラワ経済特区開業式典には,日本から麻生太郎副総理兼財務大臣,高木陽介経済産業副大臣,城内実外務副大臣,笹川陽平日本政府代表といった政府関係者に加え,渡邉秀央日ミャンマー協会会長,白浜一良公明党顧問といった日ミャンマー関係に長年携わってきた関係者が,ミャンマー連邦共和国政府からは,ニャン・トゥン副大統領を始めとし,関係閣僚などが出席しました。
式典においては,麻生副総理,ニャン・トゥン副大統領,高木経済産業副大臣,セッ・アウン・ティラワSEZ管理委員長などが挨拶の中で開業に至るまでの関係者の尽力を称え,今後の更なる日ミャンマー官民連携の強化,発展を祈念しました。

本経済特区は,2013年11月に起工式が行われた後,世界中を見渡しても異例の速さの,2年弱という期間で開業したことになります。
10月9日現在,開業済みの第一期開発地区(クラスA)については,日本や欧米,アジア各国総勢47社と予約契約が結ばれて,5万人以上の雇用が創出されると見込まれており,本プロジェクトに関し,日本のみならず,国際的な関心が高いことが窺われます。

23日には,開業式典に引き続き,ティラワ経済特区の第二期開発(ゾーンB開発)に向けた,MOU(了解覚書)の締結が行われました。これは,同日に開業した400ヘクタールに及ぶ第一期開発地区(クラスA)の契約状況を踏まえ,更に500ヘクタールから700ヘクタールの開発を第二期開発エリアとして検討する,というものです。
今回開業したクラスAのみで見ても,ティラワ経済特区の開発による地元雇用創出は5~6万人分にも及ぶと期待されており,今回MOUが締結されたゾーンBも加わり,ミャンマー国民とミャンマー経済に一層寄与する一大プロジェクトとなっています。

  • ティラワSEZゾーンB開発に向けたMOUの署名式
  • ティラワSEZ進出日系企業の工場で,従業員から説明を受ける
    麻生副総理,ニャン・トゥン副大統領,城内外務副大臣ほか関係者

開業式は終えましたが,ティラワ経済特区はこれから各契約企業の工場が完成し,本格稼働を迎えます。また,従来から当国への進出に際して障害とされてきたインフラや投資に関する諸問題を解決してこそ,ティラワ経済特区に進出した企業の活躍が可能となります。
我が国は,ティラワ経済特区において,電力インフラなどの整備に開発協力を通じた支援を行っています。また,ミャンマー側も,ティラワ経済特区やミャンマー経済全体における投資環境の整備に力を注いでいます。
2014年10月に邦銀3行を含む外国銀行9行に対して,ミャンマーにおける支店開設許可を付与したほか,日本の損保会社3社に対して,ティラワ経済特区における営業免許を付与しています。
開業式典では,ニャン・トゥン副大統領から,申請手続きの円滑化や透明性の確保といった改革を通じ,ティラワ経済特区への投資を検討する企業にとって,更にフレンドリーな投資環境の整備を引き続き行っていく旨表明されました。

このプロジェクトを通じてミャンマーの高いポテンシャルを具現化するため,我が国は,これまでの日ミャンマーの絆に立脚し,引き続き全力を挙げてミャンマーに対する支援を行っていきます。

速やかな援助の実施で,「災害に強いミャンマー」造りを支援

原稿執筆:在ミャンマー日本国大使館 大井 菜緒 三等書記官

ミャンマーは5月から9月にかけ,毎年雨期を迎えます。
インフラ整備のまだまだ遅れている当国では,例年,道路が冠水し移動に苦労するなど,雨期にまつわる苦労話がよく聞かれます。しかし,年によっては豪雨やサイクロンにより甚大な被害が発生することもあります。本年7月16日以降の豪雨及び,7月29日に上陸したサイクロン・コーメンの影響により,ミャンマーのほぼ全土において大規模な洪水被害が発生しました。

ミャンマーでの自然災害といえば,2008年5月に甚大な被害をもたらしたサイクロン・ナルギスの例があります。当時の被害は国連国際防災戦略事務所(UNISDR)によれば死者・行方不明者は合計で13万8,000人以上,経済的損失は40億米ドルに上りました。
ミャンマー政府によれば今回の洪水被害もこれに次ぐ規模であり,死者数は合計132名,避難者160万人以上,損壊家屋数約50万戸等(10月4日付),甚大な被害が発生した他,学校・医療機関の損壊,農作物に対する被害など,社会的・経済的に甚大な損失が発生しています。

  • 広範な地域が洪水の被害を受けました
    (撮影場所:ザガイン地域,写真提供:ミャンマー政府)

日本政府は今回の洪水被害に対し,外国ドナーの中で最も早く緊急援助物資の供与を決定しました。8月5日には毛布,スリーピングパッドやプラスチックシート合計1,800万円相当が,日本政府を代表し樋口駐ミャンマー日本大使及び稲田JICAミャンマー事務所次長から,ミャンマー政府を代表しス・ス・フライン社会福祉・救済復興副大臣へ引き渡されました。

  • ヤンゴン国際空港に到着した日本の緊急援助物資
  • 物資の引渡式を行う樋口駐ミャンマー日本国大使とス・ス・フライン社会福祉・救済復興副大臣

今回特に被害が大きかったチン州,ラカイン州,ザガイン地域,マグウェ地域の2州2地域については,7月31日にミャンマー政府によって非常事態宣言が発出されました。
これら2州2地域に加え,被害が甚大であったエーヤワディ地域を中心に,日本政府は,学校などの洪水被害からの復旧に,約50億円の支援を表明しました。
ミャンマーにおいては,従来から遠隔地や外国人の入域制限等の特殊事情をもつ地域については,食糧や水・衛生・保健,シェルター整備・維持,教育といった分野に対する支援を,国際機関やNGOを通じて行っています。

今回も,我が国は2回に分け260万米ドル相当及び1,000万米ドルを目処とした支援を,各国際機関やNGOを通じて実施しました。

  • WFPを通じた食糧支援を受け取る被災者(写真提供:WFPミャンマー事務所)

このような状況において,多くのミャンマーの方々は,被害を受けた地域のために募金活動や,救援物資の寄付などを自発的に行っていました。元々ミャンマーは伝統的に仏教の寄進文化により,米国に次ぐ寄付大国として知られています。まだ一人当たりGDPが1,000米ドル台と決して裕福な人ばかりでない中,自然災害で苦しんでいる人たちを出来ることで助けたい,という人々の気持ちには心を打たれます。

我が国は,定期的に自然災害に見舞われながらも,このように互いに助け合う文化のあるミャンマー社会において,発生した災害に対応するだけでなく,将来の災害の被害を軽減するための支援を行っています。その観点では,洪水被害が発生する前から実施しているODAプロジェクトも,今回の災害からの復興に役立てられています。
例えば,元々はミャンマーにおいて道路の整備状況が未だ悪い地域の交通網整備のため供与された道路建機が,洪水及びそれに伴う地滑りの被害を受けた地域の道路復旧などにも活用されています。また,将来的な減災の視点を取り入れ,防災設備も備え,災害時に活用できる学校校舎の整備や,国際機関やNGOを通じた防災教育支援も行っています。

従来から多くの災害に見舞われ,昨年は仙台での国連世界防災会議を主催した日本には,将来襲うであろう自然災害に強いミャンマーを作るため活用できるアイディアが沢山あります。日本政府としては,日本の十八番である防災・減災の視点から,現在のみならず,将来のミャンマーの方々にとっても意義のある支援を行っていきます。

「グローバルフェスタJAPAN2015」開催報告

原稿執筆:国際協力局政策課広報班

10月3日(土曜日)及び4日(日曜日),東京のお台場センタープロムナードにて「グローバルフェスタJAPAN2015」が開催されました。

25回目を迎えた今回のグローバルフェスタは,日比谷公園からお台場に会場を移しての開催。両日とも晴天に恵まれ,2日間で約10万1,300人にお越しいただき,大盛況のうちに終了することができました。学生等の若い方や家族連れが多く集まる「お台場」で開催したことにより,普段「国際協力」に接する機会の少ない方にもお越しいただき,来場者の裾野を広げることができたと思います。
今回のグローバルフェスタでは,「Share the Happiness! お台場から広げよう!幸せいっぱい国際協力の輪」のテーマの下,国際協力に関わる団体(NGO,国際機関,在京大使館,企業など)274団体による展示,ステージイベント,ワークショップ,スタンプラリーなどの参加型企画が行われました。

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オープニングセレモニーでは,ファッションデザイナーの山本寛斎さん,山本寛斎さんのプロデュースによる色彩豊かな衣装とヘアメイクに身を包んだ歌手のMay J.さん,日本人とガーナ人の両親を持つボーカリストの矢野ディビットさんによる開会宣言が行われ,続く「May J.スペシャルトークショー&ライブ」にてMay J.さんの歌声が会場を沸かせました。

メインステージでは,「林修先生と知ろう!学ぼう!国際協力」というテーマで,テレビでおなじみの林先生と一緒に,今年9月に国連で採択された「2030アジェンダ」や今年で50周年を迎える青年海外協力隊,そして,一人一人ができる国際協力等について,国際協力をあまり知らない方や,初めてグローバルフェスタを訪れた方にも,分かりやすく学べるステージが開催されました。その他,アンダーグラフさん・カズンさんによる「ひとりひとつ 青年海外協力隊50周年スペシャルライブ」等も行われました。

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外務省による特別企画である写真展「みんなで世界をHAPPYに! しあわせづくりの現場から」も開催され,応募作品の中からグローバルフェスタJAPAN2015実行委員会によって選出された,世界各地で国際協力の活動に取り組む日本人や日本の団体(NGO・企業・公的機関など)を写した116点の作品が展示され,来場者は熱心に見入っていました。

なお,個人部門とNGO部門から最優秀作品及び優秀作品に選出された作品については,オープニングセレモニーにおいて表彰式が行われ,賞状と副賞(オリンパス(株)様ご提供)が贈呈されました。

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その他,サブステージでは,国際協力分野で就職を目指す人向けのセミナーや,持続可能な開発目標(SDGs)が私達の生活とどのように関わっているのかクイズ形式で取り上げることにより,SDGsをより身近なものとして一緒に考えるワークショップなども行われました。

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国内最大の国際協力フェスティバルであるグローバルフェスタ。たくさんのイベントを通して,多くの方に国際協力について知っていただく良い機会となりました。

外務省ホームページ「ODAちょっといい話」の更新

原稿執筆:国際協力局政策課広報班

開発協力とは,具体的にどういうことをやっているの?どういう目的で行っているの?日本にもメリットがあるの?などなど,昨年で60周年を迎えた日本の開発協力がどのように各国に役立っているのか,お伝えすべく,「ODAちょっといい話」を掲載しています。今回は,新たにフィリピン・ベトナムの新案件を掲載しました。

今後もいろいろな地域の開発協力案件をアップ予定です。
世界中で活躍する日本の「人間力・技術力」にご注目ください!

ODAちょっといい話

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