ODA(政府開発援助)

令和7年3月5日
(写真1)河野外務大臣主催JICAボランティアとの懇談会 河野外務大臣主催JICAボランティアとの懇談会
(写真2)隊員の現地活動の様子 隊員の現地活動の様子(写真提供:JICA)

事業の目的

 JICAボランティア事業は,我が国のODAにより,独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業です。開発途上国や日系社会からの要請(ニーズ)に基づき,それに見合った技術・知識・経験を持ち,それらを開発途上国の人々のために生かしたいと望む我が国一般国民を広く募集し,選考,訓練を経て派遣する国民参加型事業です。本事業は「開発途上国の経済・社会の発展・復興への寄与」,「異文化社会における相互理解の深化と共生」及び「ボランティア経験の社会還元」を主な目的としています。

貢献と評価

(写真3)(写真:外務大臣感謝状授与式) (写真:外務大臣感謝状授与式)
(写真4)(写真:ラモン・マグサイサイ賞授与式) (写真:ラモン・マグサイサイ賞授与式)

 1965年の発足以来,JICA海外協力隊は,日本と世界をつなぐ草の根外交の担い手として派遣国の発展,各国との友好・信頼関係の強化に貢献しています。現地に溶け込んだ隊員の活動は,日本の「顔の見える開発協力」を体現しており,海外からも高い評価を得ています。例えば,青年海外協力隊は2016年7月,これまでのアジア地域の経済と社会の発展への貢献が認められ,「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるフィリピンの「ラモン・マグサイサイ賞」(Ramon Magsaysay Award)を,日本の団体として初めて受賞しました。また,外交の現場では,隊員の活動について,派遣国の首脳,閣僚等から高い評価と感謝が表明されることもあります。

 外務省はJICAとともに,概ね四半期に一度,帰国隊員に対する外務大臣感謝状授与式及び懇談会を開催し,帰国隊員一人ひとりの功績を称えています。また,2018年7月には,河野外務大臣が,JICAボランティアの活動と日本外交への貢献を評価し,隊員経験者等の出席を得て懇談会を開催しました。

事業概要と派遣実績

(画像1)派遣実績データ

 1965年の発足から半世紀以上継続されてきた本事業は,20~39歳を対象とする青年海外協力隊及び日系社会青年ボランティア,40~69歳を対象とするシニア海外ボランティア及び日系社会シニアボランティアで構成され,総称をJICAボランティアとして,累計5万名以上が世界各国に派遣されてきました(下表)。2018年に制度見直しが行われ,現在では,総称をJICA海外協力隊とし,青年海外協力隊及び日系社会青年海外協力隊,一定以上の経験・技能が必要な案件に派遣されるシニア海外協力隊及び日系社会シニア海外協力隊で構成されています。

 JICA海外協力隊は,国内で年2回募集(春・秋)を行い,選考(語学,技術,面接,健康診断)を経て合格し,派遣前訓練を修了した人材を原則として2年間各国に派遣します。派遣前訓練は,隊員として必要な素養(安全管理,健康管理,任国事情,異文化理解,コミュニケーション能力,語学等)を身につけることを目的として,約70日間,長野県駒ヶ根市及び福島県二本松市の青年海外協力隊訓練所において実施されます。

参加者拡大に向けた取組み

 JICAは,国民の皆様がより安心してJICA海外協力隊に参加頂けるよう様々な環境・制度整備を図っており,外務省はこれを積極的に支援しています。

(1)現職参加

 現職参加とは,現在勤めている人が,休職などの形で所属先に身分を残したまま協力隊員として派遣されることです。現職参加者は帰国後に職場復帰ができるため,より安心して参加できます。また,現職参加は,所属先である企業や団体にとっても,コミュニケーション能力や語学力の向上など職員のスキルアップにつながるというメリットがあり,このようなメリットをグローバル人材育成に活用している企業が増加しています。現職参加のうち,特定の枠組みを設けたものとして以下の2つがあります。

(1)現職教員特別参加制度

 公立学校、国立大学附属学校、公立大学附属学校、私立学校および学校設置会社が設置する学校の教員が「教員」としての身分を保持したまま青年海外協力隊へ参加する制度です。途上国では、開発へのプロセスの中で、特に教育分野での協力が重視されており、この要請に応える人材として教えるプロである現役の教員はまさに適任であるといえます。さらに、教員が開発途上国において国際教育協力に従事することによって、コミュニケーション・異文化理解の能力を身につけ、国際化のための素養を児童・生徒に波及的に広めることや、帰国後に自身の経験を教育現場に還元することによって、将来の国際教育協力分野の人材の裾野を広げるのみならず我が国の教育の質を高めることにもつながります。

(2)JICA海外協力隊(民間連携)(旧「民間連携ボランティア制度」)

 企業等の社員をJICA海外協力隊として開発途上国に派遣する制度で,開発途上国での海外協力隊経験を通じ,グローバル社会で活躍できる人材の育成と現地ネットワークの構築を支援します。派遣国,職種,派遣期間(原則として1~2年ですが,1年未満の短期も可能です。)については,社員を派遣する企業のニーズを踏まえて調整することができます。

(2)帰国後のキャリア支援

 文化や習慣だけでなく,安全面や生活水準など日本とは全く異なる開発途上国での活動経験をもつ帰国隊員は,今日のグローバル社会では貴重な人材です。こうした帰国隊員に対するキャリア支援は,協力隊の目的の一つである「ボランティア経験の社会還元」の観点からも重要であり,JICAは協力隊経験者向けの求人情報提供や進路相談,各種研修・キャリアセミナー等を実施している他,帰国隊員の採用に関心のある企業への事業紹介及び帰国隊員との交流会など,様々な取組を行っています。JICA海外協力隊は我が国の重要な外交資産であり,こうした人材が帰国後もその経験を生かし国内外で大いに活躍できるよう,政府としても積極的に支援しています。

お問い合わせ先

外務省国際協力局事業管理室
〒100-8919
東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:03-5501-8000(代表)
JICA海外協力隊の募集に関するお問い合わせや応募相談
JICA海外協力隊募集事務局
電話:03-6734-1242
E-mail:contact@jocv.info
(お問い合わせ時間:土曜日・日曜日・祝日を除く平日10時00分~12時00分,13時00分~17時00分

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