ODA(政府開発援助)
JICAボランティア事業(JICA海外協力隊)


事業の目的と概要
1 目的
JICAボランティア事業は、我が国のODAにより、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業です。開発途上国からの要請(ニーズ)に基づき、それに見合った技術・知識・経験を持ち、それらを開発途上国の人々のために生かしたいと望む方を募集し、選考、訓練を経てJICA海外協力隊として派遣する国民参加型事業です。本事業は「開発途上国の経済・社会の発展・復興への寄与」、「異文化社会における相互理解の深化と共生」及び「ボランティア経験の社会還元」を主な目的としています。
2 派遣人数、構成
JICA海外協力隊では、1965年の発足以来、これまで累計5万7,000人以上の隊員(2025年6月現在)が世界各国に派遣されてきました。現在、JICA海外協力隊は、一般的案件で派遣される青年海外協力隊及び日系社会青年海外協力隊、一定以上の経験・技能が必要な案件に派遣されるシニア海外協力隊及び日系社会シニア海外協力隊で構成されています(下表)。

3 募集~派遣の流れ
JICA海外協力隊では、国内で年2回募集(春・秋)を行い、選考(語学、技術、面接、健康診断)を経て合格し、派遣前訓練を修了した人材が原則として2年間各国に派遣されます。派遣前訓練は、隊員として必要な素養(安全管理、健康管理、任国事情、異文化理解、コミュニケーション能力、語学等)を身につけることを目的として、約70日間、長野県駒ヶ根市または福島県二本松市の青年海外協力隊訓練所において実施されます。また、派遣前訓練の一環として2022年から希望者を対象に、地方地域にて地域活性化、多文化共生等の取組みに参加するグローカルプログラムも実施されています。派遣されてからは現地の機関や団体に所属し、現地の人々とともに活動に取り組みます。

4 多様な参加制度
JICAは、JICA海外協力隊への参加者拡大に向けて様々な参加制度整備に取り組んでおり、外務省もこれを積極的に支援しています。(1)現職参加
現職参加とは、企業や団体等に所属している人が、休職などの形で所属先に身分を残したまま隊員としてJICA海外協力隊に参加できる制度です。現職参加者は帰国後に職場復帰ができるため、より安心して参加できます。また、現職参加は、所属先である企業や団体にとっても、コミュニケーション能力や語学力の向上など職員のスキルアップにつながるというメリットがあり、このようなメリットをグローバル人材育成に活用している企業が増加しています。学校教員の方には現職教員特別参加制度もあります。
(2)JICA海外協力隊連携派遣
民間企業、大学、自治体等の団体から推薦された人材をJICA海外協力隊として派遣する制度で、開発途上国でのJICA海外協力隊経験を通じ、グローバル社会で活躍できる人材の育成と現地ネットワークの構築を支援します。
貢献と評価
1965年の発足以来、JICA海外協力隊は、日本と世界をつなぐ草の根外交の担い手として派遣先の国の発展や友好・信頼関係の強化に貢献しています。現地の人々と生活を共にしながらの隊員の活動は、日本の国際協力の中でも特に「顔の見える開発協力」として、国内外で高い評価を得ています。例えば、青年海外協力隊(注)は2016年7月、これまでのアジア地域の経済と社会の発展への貢献が認められ、「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるフィリピンの「ラモン・マグサイサイ賞」(Ramon Magsaysay Award)を、日本の団体として初めて受賞しました。また、会談の場などにおいて派遣先の国の首脳や閣僚から隊員の活動に対して高い評価や感謝が伝えられることもあります。
(注)20歳~39歳の隊員を「青年海外協力隊」と呼称していたが、2019年度より派遣体系などが見直され、現在はJICAボランティア事業で派遣される隊員を「JICA海外協力隊」と総称し、「青年海外協力隊」はその種類の一つとなっている。
長期派遣の任期を終えて帰国した隊員には、外務省から開発途上国における経済・社会の発展や日本との友好協力関係強化への貢献に対する外務大臣名の感謝状を授与しています。2024年7月には上川外務大臣が感謝状授与式を主催し、参加した帰国隊員一人一人に直接感謝状を手渡しました。
帰国隊員による社会還元

1 帰国後のキャリア支援
文化や習慣だけでなく、安全面や生活水準など日本とは全く異なる開発途上国での活動経験をもつ帰国隊員は、今日のグローバル社会では貴重な人材です。こうした帰国隊員に対するキャリア支援は、協力隊の目的の一つである「ボランティア経験の社会還元」の観点からも重要であり、JICAは協力隊経験者向けの求人情報提供や進路相談、各種研修・キャリアセミナー等を実施している他、帰国隊員の採用に関心のある企業への事業紹介など、様々な取組を行っています。JICA海外協力隊は我が国の重要な外交資産であり、こうした人材が帰国後もその経験を生かし国内外で大いに活躍できるよう、政府としても積極的に支援しています。
- 帰国後支援制度について
(JICAホームページ)
2 帰国隊員社会還元表彰
JICAではJICA海外協力隊の事業目的の一つである「ボランティア経験の社会還元」事例を収集し好事例として紹介することで、協力隊経験者の社会還元の機運を高めると共に、より良い社会の実現を目指しています。このため、JICA海外協力隊経験者で、国内外・公私問わず社会課題の解決に取り組んでいる方を表彰する『帰国隊員社会還元表彰』を2023年より開始しました。表彰された方の活躍はこちらからご確認ください。
このような帰国後の社会還元を促進するため、起業による社会還元の促進を目的としたJICA海外協力隊起業支援プロジェクト「BLUE」も実施されています。
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