ODA(政府開発援助)

令和7年8月15日

 外務省事業管理室の子田経済協力専門員は本年1月にラオスを訪れ、現地で活動中の隊員の様子を視察してきました!ラオスは1965年に日本が初めて青年海外協力隊を派遣した国です。

ラオス・ビエンチャンのワッタイ空港にラオス航空の機体がとまっている様子
ラオス・ビエンチャンのワッタイ空港外の、日本とラオスの国旗が並べられている石碑。

 (子田)まず、ラオスがどんな国かというと、東南アジアの内陸に位置する社会主義国で、約760万人が住んでおり、ラオ族他、多数の少数民族が暮らしています。街には多くの寺院が立ち並んでいて、托鉢の様子なども有名な仏教国です。

夕日の沈むメコン河と、手前に現地の伝統的な細長い舟
金色に輝くタートルアンの塔
竹を編んだ小ぶりのかごに蒸した餅米(カオニャオ)が入っている様子。
手前は器に鶏ガラスープの餅米麺が入った様子。奥に付け合わせの葉っぱ類やもやしなど。

 (子田)ラオスの国民食は、主食のもち米!日本では特別な時にもち米を食べる感覚ですが、ラオスでは日常的におかずともち米(カオニャオ)を食べます。米粉とタピオカ粉から作られるもちもちの麺を鶏ガラスープで頂くカオピャックセンもソウルフードです!

ラオスの首相府で、隊員一同が、ソーンサイ首相と一緒に、記念写真に写っている様子。 (提供:JICA)

 (子田)ラオスでは本年1月現在で45名のJICA海外協力隊が活動しています。1965年の初代隊員5名以来、これまでにラオスに派遣された隊員は合計1094名にも及びます!
 ラオスは斜めにヤシの木のような縦長の地形をしていて、全部で17の県とビエンチャン都(市)の18の行政区から成っています。このうち、協力隊は9の都県に派遣されています。(2025年1月)

ラオスの地図上で、各県で活躍するJICA海外協力隊隊員の人数と職種を示している。

 (子田)そして、ラオスではなんと、派遣中の全隊員が毎年ラオスの首相府に招かれて、首相への表敬が行われています。ラオスの一般国民にしても、ラオス在住の日本人にしても、首相と面会する機会なんてそうそうありません。これはいかにラオスで協力隊が大事にされているかという証でもあると思います!

 (子田)まず、首都ビエンチャン市で活躍する、コミュニティ開発の田口妙子隊員、青少年活動の澤田直美隊員、手工芸の遠藤奈津子隊員、柔道の菊地友輝隊員を訪問しました。
 (田口隊員)ラオス女性障害者協会いうところで、女性障害者支援の活動を行っています。配属先では布小物・織物・陶芸・リサイクルペーパークラフトなどを制作しており、私は販売先の開拓のためにホームぺージの改善などをしています。課題が多くて大変ですが、やることが多いことを楽しんでいます。

  • ラオス女性障害者協会の建物の前で田口隊員と配属先の同僚が記念撮影している様子
  • 田口隊員の配属先が作成している刺繍小物
  • カウンターパートと田口隊員が機織り機の前で記念撮影をしている様子
配属先の同僚と澤田隊員が事務所で記念撮影をしている様子
折り紙で作成した浴衣用の髪飾り

 (澤田隊員)私が活動する日本センターは、日本のODAで設立された日本式経営や日本語を学ぶことができる施設です。日本文化の紹介を通じて日本とラオスの相互理解促進も目指しています。私はそこで浴衣や華道などの日本文化を紹介する活動をしています。また英語教師の経験を活かして同僚に英語の指導をしたりもしています。

澤田隊員がデスクに座っている様子
遠藤隊員と絹の商品を扱っているお店の方
赤を基調として染められた布が、グラデーションで壁にかかって並んでいる様子

 (子田)田口さんの課題を楽しむという前向きな姿勢はすばらしいですね。澤田さんは、日本文化紹介で浴衣に合わせる髪飾りを折り紙で手作りされているのですね。とっても素敵です!

 (遠藤隊員)他の手工芸に関わる隊員とも連携して、空港での手工芸のイベントを行うなど手工芸品の販路拡大につとめています。私はもともと日本で織物を制作していたのですが、その経験を生かして、どうしたら作品が売れるか、また、日本人はどんなデザインを好むのかを伝えたりしています。配属当初には、専門外である手工芸品のインターネット販売の運営を依頼されて困ったこともありましたが、今は配属先に私の専門分野は何なのかを理解してもらっています。

黄色い繭から糸を紡いでいる様子
職人の方が機織り機で布を織っている様子
ナショナルチームの柔道選手が練習前に正座をして挨拶をしている様子
菊地隊員がナショナルチームメンバーと組み合っている様子

 (菊地隊員)今ちょうどナショナルチームの指導をしているところです!ラオスはオリンピックで活躍することはまだ難しいレベルですが、SEA Gamesと呼ばれるASEANの大会を目標に日々稽古しています。この武道センターは、柔道のほかにも剣道、合気道、テコンドーなどの団体が利用していて、ここで大使館主催の武道イベントが開催される時にも運営などに協力しています。

ナショナルチームメンバーと菊地隊員が記念撮影をしている様子

 (子田)たくさんの方に遠藤隊員が支援されたラオスの手工芸品を知っていただきたいですね!それから、協力隊員が派遣先の国でナショナルチームの指導を行っているということを誇らしく思いました。菊池隊員のもと、ラオスの柔道家達が規律を守りながらも楽しく練習している姿が印象的でした。SEA Gamesで良い成績を収められるように応援しています!

ラオス航空のサワナケート行き小型プロペラ機

 (子田)ラオス南部サワンナケートで活躍する隊員も訪問してきました!日本語教師の駒智佳子隊員、看護師の小林鈴夏隊員、農業土木の飽津博史隊員です。

駒隊員が教室で学生に授業をしている様子
駒隊員とボランティアの先生2人が話している様子

 (駒隊員)サワンナケート大学でラオス人のボランティアの先生2人とともに日本語学科の学生11人を教えています。ボランティアの先生は、将来、正式な日本語の教師になるために、奨学金をもらいながら授業に一生懸命取り組んでおり、日本語で分からないことなどがあれば、サポートしてあげるようにしています。ラオスに来てみて、外国で生活することの大変さを実感しており、日本で日本語教師をしていた時の海外から来た生徒達の気持ちというのが、今まで以上に理解できるようになりました。

配属先病院の医院長たちと小林隊員が記念撮影をしている様子
小林隊員が活動について説明をしている様子

 (小林隊員)病院では、日本でも働いていた新生児の集中治療室に配属されており、日本での経験を活かすことができています。日本では機器で行っている作業でも、ラオスでは、機器がない分を看護師の技術で補っています。そんな同僚はすごいと思いますし、その気持ちは同僚にも伝えています。
一方、日本では医師、看護師がお互いに意見を出し合いながら協力して対応するチーム医療が一般的ですが、ラオスでは看護師が医師に意見を言うことはほとんどありません。私自身がスイスから来た医師などとも対等に意見交換する姿を通して、チーム医療の良さをラオス人の同僚にも伝えていきたいです。ちなみに、この病院では昼食当番があって、持ち回りで昼食を作るのですが、私は同僚に交じってラオスのご飯を作っていて、タムマークフン(辛いパパイヤのサラダ)の作り方をマスターしました。

小林隊員が同僚を紹介している様子

 (子田)きっと、日本語学科で一生懸命に教えているラオス人の先生にとっても駒隊員はとても心強い存在なのだろうと思います。病院では院長さんとお話しすることができましたが、小林隊員は院長ともよくコミュニケーションを取っておられるとのことで、同僚の看護師さんや院長が、小林さんの活動にとても良い印象を持っていることが感じられました。

飽津隊員が配属先同僚とテーブルを囲んで座っている様子

 (飽津隊員)以前に自分は農業土木のJICA短期専門家としてラオスに派遣されていたのですが、任期の終わりが近くなった時に、現在の配属先に対してJICA海外協力隊の派遣を要請してはどうかと提案しました。その結果、要請が通って、このポストの募集がかかったので、自分が応募したところ採用になったということです。灌漑の運用を改善したり、住民からの集金が上手くいかない時の原因究明などの活動をしています。自分が外国人で年配だからこそ、地域の住民ではなかなか言えないような、行政にとって耳の痛い発言をするように意識しています。

 (子田)飽津隊員のお人柄からか、同僚からは家族のように慕われ、現地の住民の方々とも良い関係を築いておられる様子が感じられました。地域のために、ご自身の知見や立場を存分に生かして活動されているのがとても印象的でした。

日本センターの入り口で日本センター所長、JICA専門家、大使館員、澤田隊員、子田で記念撮影をしている様子 (筆者右から2人目)
遠藤隊員の活動先で記念撮影をしている様子 (筆者右端)

 さて、ラオスに派遣中の隊員達の活動の様子をお伝えしてきましが、いかがでしたでしょうか。お話を伺った隊員は、皆さん生き生きとした顔で活動されていることが心に残りました。是非、これからもJICA海外協力隊への応援をお願いします!!

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