ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成28年3月2日

評価年月日:平成28年2月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 今福 孝男

1 案件概要

(1)供与国名

エジプト・アラブ共和国

(2)案件名

ボルグ・エル・アラブ国際空港拡張計画

(3)目的・事業内容

 エジプト第2の都市アレキサンドリア市近郊のボルグ・エル・アラブ国際空港の旅客ターミナル及び周辺施設を拡張・整備することにより,同空港の旅客対応能力を強化し,急増する航空需要への適切な対応を行い,もってナイルデルタ地域の航空輸送に係る利便性・安全性の向上を図り,持続的成長に寄与することを目的とする。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事,資機材調達
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    182億円 年0.1% 40(10)年 本邦技術活用条件(STEP)

    (注)コンサルティング・サービス部分については,金利年0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア EIA(環境影響評価):本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)上,環境への好ましくない影響は重大でないと判断されるためカテゴリBに分類される。また,本計画に係る環境影響評価(EIA)は2015年1月にエジプト環境庁により承認済み。
  • イ 土地収用及び住民移転:本計画により住民移転及び用地取得は伴わない。
  • ウ 外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
     エジプトは,中東とアフリカの接点として域内の航空セクターにおいて重要な役割を果たしている。同国の総旅客数は2002年から2013年までの約10年間で約1,800万人から約3,100万人へ約72%増加している。同国における外貨の主要獲得源(観光,石油・天然ガス輸出,スエズ運河収入及び海外労働者の送金)のうち,観光客と海外労働者は空路による移動が主であり,航空セクターは同国の経済開発上,重要な位置を占める。エジプト第2の都市アレキサンドリア市近郊のボルグ・エル・アラブ国際空港は,ナイルデルタ地域の航空輸送の玄関口である。同市内にはノズハ国際空港があるが,立地上,構造上の問題から商業便の運航ができない等の制約があり,同空港は今後も小規模のチャーター便のみに限定使用されるため,ボルグ・エル・アラブ国際空港の重要性は一層高まっている。
     エジプトの第6次5か年計画(2007~2012年)における航空セクター開発計画では,カイロを始め,ボルグ・エル・アラブ,紅海沿岸のハルガダ及びシナイ半島のシャルム・エル・シェイク各空港のターミナル整備が目標に掲げられている。ボルグ・エル・アラブ国際空港の旅客数は,利用者の約8割が海外への出稼ぎを中心とするエジプト人であり,2011年の政変後他の空港の旅客数が減少する中,円借款「ボルグ・エル・アラブ空港近代化計画」(2005年E/N締結)により新たなターミナルやエプロンが整備され,旅客対応能力が向上した結果,同計画の供用開始年である2010年の約70万人から2012年には約200万人に急増し,国内第4位の旅客数を誇るに至っている。2012年の需要予測によると,同計画では想定していなかった湾岸諸国の労働力需要の高まりや格安航空会社の参入もあり,旅客数は2015年に250万人,2020年には360万人にまで増加することが見込まれる。同計画開始当初の予測(2014年旅客数約100万人)に基づき建設された旅客ターミナルのみでは,今後需要超過によるサービスレベルの低下や運用の制約が生じることが予想され,ボルグ・エル・アラブ国際空港の旅客対応能力の増強は緊急の課題である。同空港の拡張・整備により旅客対応能力の向上を目指す本計画は,上記課題の解決に資するものである。
  • イ 我が国の基本政策との関係
     エジプトは,中東・アフリカ・欧州をつなぐ地政学的要衝に位置し,中東和平プロセス等,地域の平和と安定に向け重要な役割を果たしている。同国の開発課題への取組を支援し同国の安定化に貢献することは,地域の安定化にも繋がる。
     我が国は,対エジプト国別援助計画においては,「持続的成長と雇用創出の実現」,「貧困削減と生活水準の向上」及び「地域安定化の促進」の3点を援助計画目標に掲げている。
     「持続的経済成長と雇用創出の実現」の中の重点セクター目標「投資・ビジネス環境改善」の下,「運輸交通効率化プログラム」に基づき,これまで円借款,無償資金協力,及び技術協力を活用したスエズ運河開発,円借款による「カイロ地下鉄4号線第一期事業」等により,安定的・効率的な運輸交通体系を構築するための支援を行っている。航空セクターにおいては,「ボルグ・エル・アラブ空港近代化計画」(2005年E/N締結)により,ナイルデルタの玄関口となる同空港の整備を行った。本計画は,同空港の拡張・整備により安定的・効率的な運輸交通体系を構築するための支援であり,我が国の協力方針に合致するのみならず,過去の協力成果を補完するものである。

(2)効率性

 我が国が実施した空港の設計や運営,維持管理に係る課題別研修に参加した実施機関職員を活用しつつ,新設される施設・機材の運営・維持管理手法の技術支援を本計画で実施することで,本計画の開発効果の一層の増大を図る。

(3)有効性

 エジプト第2の都市アレキサンドリア市近郊に位置し,ナイルデルタ地域の航空輸送の玄関口である同空港を拡張することにより,急増する航空需要へ対応し,同地域の航空輸送に係る利便性・安全性が向上することが期待される。本計画により,国際線・国内線旅客者数(千人/年)は,基準値である2013年実績値と比較して約1.7倍(2,261千人/年→3,822千人/年)に増加する(目標値(2021年:事業完成2年後))こと等が見込まれる。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,エジプト国別評価報告書国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料