ODA(政府開発援助)

平成29年3月31日

評価年月日:平成29年3月1日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

インドネシア共和国

(2)案件名

コメリン灌漑計画(第三期)

(3)目的・事業内容

 本計画は,南スマトラ州及びランプン州に跨るコメリン灌漑地区において,灌漑施設の拡張及び改修,灌漑システムの近代化及び維持管理体制の強化を図るもの。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事
    • 機材調達(重機等)
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    158.96億円 円LIBOR+15bp 30(10)年 一般アンタイド

    (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

環境影響評価(EIA):本計画に関する環境影響評価報告書は,2012年に南スマトラ州知事の承認済み。
用地取得及び住民移転:本計画では,最大178ヘクタールの用地取得を伴うが,住民移転は発生しない。インドネシア共和国国内法に沿って実施機関が作成した用地取得・住民移転計画(LARAP)及びJICA環境社会配慮ガイドラインに沿った補償方針に従って用地取得及び補償の手続が進められる。
外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 インドネシア共和国の農業セクターは対GDP比で13.4%(2014年),労働人口の33%(2015年)を占める重要な産業である。コメは同国の主食であるが,都市化・工業化による農地面積の減少や既存灌漑施設の老朽化等による生産不足により,同国では恒常的に輸入が必要な状態である。2015年はエルニーニョ現象による大規模干ばつ被害に見舞われ,隣国からコメの緊急輸入が行われるなど,コメの自給率達成は同国の喫緊の課題である。同国政府の国家中期開発計画(2015~2019年)では,食糧自給の達成及び食糧主権の確立を掲げ,コメの生産量を71百万トン/年(2014年時点)から82百万トン/年(2019年)へ増産すること,また,2019年までに新規灌漑地を100万ヘクタール開発し,既存灌漑地300万ヘクタールを改修していくことを目標としている。
 インドネシア政府は,灌漑施設の開発・改修を通じコメ等の農産物の増産を図ることにより,食糧自給を高め,持続的な食料安全保障を確保することを政策課題としており,本計画を通じてその達成に貢献することが期待できる。
我が国の基本政策との関係
 2012年4月に発表した対インドネシア国別援助方針では,(ア)更なる経済成長,(イ)不均衡の是正と安全な社会造り,(ウ)アジア地域及び国際社会の課題への対応能力向上を重点分野としている。灌漑施設の拡張及び改修を通じコメ等の農産物の増産を図ることにより,インドネシアにおける農民の所得向上及び食糧自給の向上を支援し,もって同国の不均衡の是正と安全な社会造りに寄与する。

(2)効率性

 本計画では,効率的な農業生産や水管理・施設管理を実現する観点から,運営・維持管理に関与する水利組合の組織強化及び維持管理に係る能力強化を行う。ハード面のみならずソフト面でも支援し,効率的かつ持続可能な枠組み構築を図る。

(3)有効性

本計画の実施により,以下のような成果が期待される。作付強度(土地利用率)が、事業完成2年後(2024年)には2.5倍に向上する。
コメ生産高(籾殻ベース)が、25,500トン/年(2014年実績値)から89,250トン/年(2024年:事業完成2年後)に増加される。
コメ収量が、3.0トン/ヘクタール/年(2014年実績値)から雨季5.0トン/ヘクタール/年、乾期5.5トン/ヘクタール/年(2024年:事業完成2年後)に増加される。
また、本計画の実施により、事業対象地における農家所得の安定に伴う生活環境の改善、インドネシアの食料の安定供給が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,インドネシア国別評価報告書,JICA環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び,事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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