ODA(政府開発援助)

平成29年1月24日

評価年月日:平成29年1月13日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

ミャンマー連邦共和国

(2)案件名

貧困削減地方開発計画(フェーズ2)

(3)目的・事業内容

 ミャンマー全国(7地域及び7州)において,貧困層への裨益効果が高く,地方部の社会経済開発に資する生活基礎インフラ(道路・橋梁,電力,給水)の新設・改修・設置等を行い,地方部の住民の生活向上を図り,もって地方部における開発・貧困削減に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • アスファルト舗装(付随する小規模橋梁の改修を含む)
    • 低圧(66キロボルト以下)送配電網新設・拡張(一部変電所・変圧器整備・設置を含む)
    • 地方都市送配給水施設整備・拡張(浄水施設整備等を含む)
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    239.79億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

環境影響評価
本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に掲げる道路・橋梁セクター,配電セクター,上水道セクターのうち,大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため,カテゴリBに該当する。
用地取得及び住民移転
本計画では,全体で約5ヘクタールの用地取得及び住民移転11世帯(45人)を含む100人の被影響住民が発生するが,JICAガイドラインに基づき作成された住民移転計画に沿って適切な補償及び用地取得が進められる予定。
外部要因リスク:特段なし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 ミャンマーにおける社会経済状況は未だ発展途上にある。国連の社会経済局が発表した2015年の一人当たり国民総所得(GNI)は1,063ドルであり,2016年5月時点で,ミャンマーは同局の開発政策委員会が指定する「後発開発途上国(LDC)」に位置付けられている。またミャンマーの貧困率は,2010年時点では25.6%とメコン諸国の中でもラオスに次いで2番目に高い数値となっている。特に道路,電力,給水分野の基礎インフラ整備がそれらの諸国の中でも特に遅れており,これら基礎インフラ整備の遅れは住民の経済活動を制限し,主な貧困要因の一つとなっている。
 全国平均で,上水道給水率(配管で給水を受けている世帯の割合)は8.2%(WHO/UNICEF,2015)(メコン諸国平均28.4%),道路舗装率は24%(ASEAN,2013)(同61%),電化率は32%(IEA,2013)(同69.8%)であるなど,ミャンマーのインフラ整備は,メコン諸国の中でも極めて低い水準にとどまっている。特に地方部においてかかる遅れは顕著であり,例えば,地方部の電化率は18%となっている。
我が国の基本政策との関係
 2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針においては,「国民の生活向上のための支援」を重点分野の一つとしている。本計画は,地方部の社会経済開発に資する生活基礎インフラ(道路・橋梁,電力,給水)の新設・改修・設置等を通じて,ミャンマー国民の生活向上のための支援に寄与するものであり,同方針に合致している。

(2)効率性

 本計画では,実施促進コンサルタント及び借款雇用コンサルタント等を通じ,実施機関及び関連する地方政府機関のさらなる能力向上を支援する予定。

(3)有効性

 本計画を通じ,各地域・州政府のニーズに基づいた生活基盤インフラ開発を実施することで,2015年度の実績値と比較して,事業完成2年後の2023年には,対象地域の道路の平均走行速度は時速31キロメートルから時速41キロメートルに改善される。また,電化世帯数は134,894世帯から,393,284世帯に,給水人口数は519,913人から1,422,080人にそれぞれ大きく増加する。これにより,地方部内及び地方部間の経済活動の活発化が可能となり,加えて,少数民族居住地域等の開発が遅れている地域への生活基盤インフラを整備することで,国民和解や地方分権を促すことになり,ミャンマーの政治的及び社会的安定にも貢献することが期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,「メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(第三者評価)」報告書(PDF)別ウィンドウで開く「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)別ウィンドウで開く,その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。


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