ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン 第484号
外交関係樹立100周年を迎えたトルコにおける日本の開発協力


在トルコ日本国大使館
アジアの西端に位置するトルコと、東端に位置する日本との友好関係は、1890年のエルトゥールル号が和歌山県串本町沖で沈没した際に地元住民が懸命な救助活動を行ったことを端緒に、1924年の外交関係樹立、1985年のイラン・イラク戦争下でのトルコ政府のトルコ航空特別機派遣による邦人脱出支援等を経て、友好を深めながら今年で外交関係樹立100周年を迎えました。
1959年以来65年にわたり行ってきている我が国のトルコに対する数多くの開発協力のうち、今回はトルコにおける経済協力の代表的な取組を紹介します。
イスタンブールにおける交通渋滞緩和


ボスポラス海峡横断地下鉄(通称:マルマライ)は名前のとおり、ボスポラス海峡の海底を横断する地下鉄ですが、この海底を横断するトンネルの建設はオスマン帝国時代の1860年代に「海峡トンネルプロジェクト」として構想が始まっていたものの、当時の技術では不可能であったことからトルコ国民150年の夢と言われていました。それまでフェリーで15分から30分に1便で所要時間15分以上、車では30分以上要していたイスタンブールのヨーロッパ側とアジア側の行き来が、マルマライの実現により約8分に1本、4分程度で移動できるようになりました。このトンネルの実現には、陸上で建設したトンネルのパーツを海底に沈め、連結させていく「沈埋工法」という特殊な工法が用いられ、日本の円借款だけでなく、高度な技術もマルマライの実現に貢献しました。
上述のとおり日トルコ外交関係樹立100周年を迎えた今年、開通から10年以上が経過し、イスタンブール市民の足として定着しているマルマライにおいて、記念式典が行われました。100周年記念ラッピング車両が運行され、イスタンブール市民を始めとしたトルコの人々に日本の貢献が再認識されています。


外務省のYouTubeチャンネルでもマルマライについてまとめられていますので是非ご覧ください。
マルマライの他にも、ヨーロッパ側とアジア側を結ぶ自動車橋である第2ボスポラス海峡横断橋(Fatih Sultan Mehmet橋)や、ヨーロッパ側の新市街と旧市街を結ぶゴールデンホーン橋を始めとした交通インフラへの円借款による支援を行ってきています。また、建設だけでなく、維持管理においても日本政府や日系企業が継続的に貢献しています。


自然災害の多い両国


日トルコの間では、災害時の協力においても強固な関係を有しています。2011年3月の東日本大震災の際には、トルコ政府から救助チームが派遣され、その活動期間は諸外国の救助チームの中でも最長でした。そして2023年2月6日に、トルコのカフラマンマラシュ県を震源とするマグニチュード7.8及び7.6の大地震により甚大な被害が生じた際、日本政府は、発災当日に国際緊急援助隊・救助チームの派遣を決定し、トルコ国内では翌7日から活動を開始しました。これに続いて特別輸送機等による物資支援や国際緊急援助隊・医療チーム及び同・専門家チームの派遣を行い、多方面から支援を実施しました。医療チームについては、今回、初めて従来の診察機能に加えて入院・手術機能を有するType-2のチームが派遣され、延べ約2,000名の診療を行いました。さらに、専門家チームは、被害情報の把握・分析を行い、建築物・上下水道等のインフラ・社会的支援の観点から、トルコ政府に対する提言をまとめました。この提言を踏まえ、JICAを通じた復興に向けた円借款や、技術協力による復興計画の策定支援、そして日本の耐震・免震技術の知見共有等を行っています。

外務省のYouTubeチャンネルでも日本とトルコ100年の歩みについてまとめられていますので是非ご覧ください。