ODA(政府開発援助)

2020(令和2年)年2月18日発行
令和2年2月18日

親日のまち「コルチャ市」へ公園整備機材を支援
アルバニアの緑化・環境改善に貢献する日本のODA

(画像1)アルバニア

在アルバニア日本国大使館 経済協力班 森川浩子

(写真1)コルチャ市ブラトコ東洋美術博物館のエントランス 昭和天皇ゆかりの品々や写真なども展示されている,
コルチャ市ブラトコ東洋美術博物館のエントランス。

 アルバニアはヨーロッパの南東,バルカン半島に位置する風光明媚な美しい国です。人口は約280万人,国土は四国の約1.5倍ととても小さな国ですが,豊かな森林や美しい海岸,湖や山々を有し,年間600万人を超える観光客が訪れています。山や海の豊かな風景は日本の風景に似ており,親近感を感じます。

コルチャ市と日本のご縁

 アルバニアは1991年に「アルバニア共和国」となるまで鎖国政策をとっていたので,一般の人々の日本に対する知識は非常に限られているのですが,コルチャ市は非常に親日的な町です。その理由のひとつには,アルバニアで唯一日本やアジア文化を紹介するブラトコ東洋美術博物館の存在があげられます。2003年に開館したこの博物館は,日本人にゆかりの深い写真家,ジョージ・ディミトリ・ボリア(1903年~1990年)のコレクションを展示しています。ボリアはコルチャ市出身で17歳のときに米国に渡りました。1942年に米国軍所属の写真家となり,マッカーサー連合国軍最高司令官付きの写真家として1945年に訪日し,10年間を日本で過ごしました。その間,昭和天皇の写真を多く撮りました。ボリアの没後,コルチャ市が米国の家族より寄贈を受け,博物館にはボリアが生涯を通して集めた日本および東アジアの美術品約500点(主に16世紀から19世紀の骨董品),昭和天皇より贈られた品々や写真が展示されています。博物館はボリアの母親ビクトリア・ブラトコの名前にちなみブラトコ東洋美術博物館と名付けられました。ビクトリアはボリアの帰りをコルチャ市で待ち続けたといわれています。

公園整備・環境改善にかかる支援

(写真2)公園整備機材を使う様子 日本の協力で支援した公園整備機材。新規の公園
整備・拡張も予定されている。
(写真3)コルチャ市がつくった日本庭園の一部 コルチャ市がつくった日本庭園の一部。
市民の憩いの場となっている。

 日本とゆかりのあるこのコルチャ市で,平成30年度対アルバニア国草の根・人間の安全保障無償資金協力で「コルチャ市公園整備・環境改善計画」が行われました。自然豊かなアルバニアでも大気や水質汚染が欧州のなかでも社会問題となっている面があります。コルチャ市はモラバ山に囲まれているため大気の流れが停滞しやすく,大気汚染が深刻です。特に冬は住民が暖炉で木を燃やすため,PM2.5の濃度は45.3マイクログラム毎立方メートル程度にまで及ぶこともあります(注)。このような大気汚染改善のため,コルチャ市は環境変動緩和政策としての緑化計画に力を入れていますが,緑化計画に必要な機材が老朽化しており,十分な効果が発揮できない状況にあります。そこで地域の緑化,環境改善の強い要望に応え,日本は今回の支援でショベルカーや草刈り機といった公園整備機材を支援することになりました。この支援により人々が憩い集う公園をより美しく,機能的に整備できるようになりました。コルチャ市は環境改善に寄与すべく緑地を増やし,災害時の避難所確保にも努めています。

 またコルチャ市は2019年,ドイツ人の造園家ボレス・ウィルソンが設計した日本庭園を開園しました。この日本庭園は,アルバニアの地方都市で唯一日本を感じられる憩いの場所となっています。今回の公園整備機材はコルチャ市で緑地を増やし,環境改善に寄与するばかりではなく,多くの人々を魅了する公園造りにも貢献します。

 (注)<参考>日本の環境基準は年平均値15マイクログラム毎立方メートル以下,1日平均値35マイクログラム毎立方メートル以下

タイ北部の教室不足を解消

(画像1)タイ

在チェンマイ日本国総領事館 広報文化・経済協力班 阿部泰平

(写真1)木造校舎の様子

 皆さんはタイ北部の町,チェンマイをご存じですか。タイの首都バンコクから北方約720キロに位置するチェンマイは,かつてランナー王朝の都があった古都です。温暖な気候,温かで穏やかなタイ人の性格,おいしいタイ北部料理もあり,観光地として日本人にも有名です。

タイ北部の教育環境

 日本人にも人気のタイ北部ですが,都市部から離れると教育環境がまだ整っていない学校もあります。チェンマイ県北部チャイプラカーン郡の山岳地域に位置するバーンタムタップタオ校も,そういった学校の一つでした。
 同校は,幼稚園から小学6年生までが学ぶ小さな学校です。60年以上前,開校当初に村人たちの手によって建設された木造校舎を,修理を重ねつつ利用していました。しかし最近では生徒数が増えたことで教室が不足し,小学5・6年生は物置小屋の共同仮教室で,粉塵や雨風に晒される極めて劣悪な環境での学習を余儀なくされており,新校舎の建設が差し迫った重要な課題となっていました。

子どもたちが安心して教育を受けられるように!

(写真2)新校舎での集合写真
(写真3)新校舎の授業の様子

 こうした状況を改善するため,日本は校舎建設にかかる総額1,671,000バーツ(約5,447,460円)の支援を行い,小学5年生および6年生の教室とコンピュータールームの3教室をもつ1階建ての校舎が完成しました。新校舎引渡し式は令和元年12月17日に行われ,今回の支援で同校の子どもたちに安全で快適な学習環境を提供できました。

 タイ北部は非常に親日的な人々が多く,日本人居住者,日本人観光客,日系企業が温かく受け入れられています。こうしたタイ北部の将来を担う子どもたちの教育環境が日本の支援により整えられていくことは,これからのタイと日本の関係をさらに発展させていくためにも非常に重要です。在チェンマイ日本国総領事館では,タイ北部の人たちのため,将来のタイ,そして日本とタイの関係のために,草の根レベルの支援を継続していきます。

【今回紹介したプロジェクト】在チェンマイ日本国総領事館ホームページ
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