ODA(政府開発援助)

ODAメールマガジン第376号

2018年6月27日発行

平成30年6月29日

ODAメールマガジン第376号では,以下3話をお送りいたします。(肩書きは全て当時のものです)

第1話:コロンビア共和国より【シリーズ「周年記念と開発協力」第10弾】
日コロンビア修好110周年を迎えたコロンビアにおける日本の開発協力 平和構築へ一貫した支援と今後

第2話:UNHCR駐日事務所より【シリーズ「国際機関と開発協力」第14弾】
難民に新たな機会と,新たな希望を

第3話:ジャパン・プラットフォームより
ジャパン・プラットフォームによる緊急人道支援【第7弾 ガザ:平和への架け橋】

  • (画像)コロンビア共和国

日コロンビア修好110周年を迎えたコロンビアにおける日本の開発協力 平和構築へ一貫した支援と今後

原稿執筆:在コロンビア日本国大使館 青木 大 二等書記官

日本とコロンビア両政府が1908年5月25日に友好・通商・航海条約を締結し,日本がコロンビアにとってアジア・太平洋における最初のパートナーとなってから今年で修好110周年を迎えます。
この周年を記念して,本年4月5日,首都ボゴタ市にあるコロン劇場において,記念式典が開催されました。式典では,日本人ピアニストの川上ミネ女史とコロンビア人音楽家ルイス・フェルナンド氏による日本とコロンビアの音楽の融合をテーマとしたコンサートが行われ,収容観客数750人の劇場を埋め尽くす観客が,ピアノとオカリナの優美な調和に聞き惚れました。

コロン劇場は1892年に建設されたコロンビア最古の国立劇場です。2016年11月24日には,50年以上の紛争に終止符を打つコロンビア政府と左翼ゲリラFARCとの歴史的な和平合意の署名がこの劇場の前で行われました。コロンビアにとって最も由緒あるこの劇場に,日本は1984年と1998年に一般文化無償資金協力により,音響システムと視聴覚機材を供与ししており,多くのコロンビア国民に感動をもたらすサポートをしてきたことを誇らしく思っています。

  • (写真1)日コロンビア修好110周年記念式典の様子
    日コロンビア修好110周年記念式典の様子
  • (写真2)式典の開催されたコロン劇場【写真提供:Andrés Gómez S.】
    式典の開催されたコロン劇場
    【写真提供:Andrés Gómez S.】

さて,コロンビアと聞くと,サントス大統領のノーベル平和賞受賞やワールドカップロシア大会でも対戦したサッカーを思い浮かべる方も多いかと思います。あるいは,和平合意をしたといえども紛争のイメージは根強いかもしれません。日本は紛争の最中から,一貫して平和構築のための支援を行ってきました。

代表的な分野は地雷除去です。かつて世界で2番目に多い地雷被害者を生んでしまったこともあるコロンビアで,日本は地雷除去機材の供与,政策立案等のための組織強化,地雷被害者のリハビリテーション支援等を実施しています。

  • (写真3)供与された日本製地雷除去機材
    供与された日本製地雷除去機材

教育分野の支援も平和構築のための重要な支援です。「本を持つものは武器を持たない」。紛争が激しかった当時の大統領・文化大臣は口々にこう述べました。日本は地方における図書館建設や学校建設を支援し,紛争に巻き込まれている子供たちに,分け隔てなく,平和,自由,友愛を学ぶ場所を提供しています。また,技術協力による専門家やボランティアによる教育支も各地で大変感謝されています。

  • (写真4)日本の支援により建設された図書館での活動の様子
    日本の支援により建設された図書館での
    活動の様子
  • (写真5)地方の学校で授業を行う青年海外協力隊
    地方の学校で授業を行う青年海外協力隊

和平合意が達成した後,コロンビアは真の平和のための道を歩んでいます。今年8月に就任する新しい大統領により,合意内容の見直しが議論される可能性はありますが,真の平和の追求は変わりません。今後も,日本は地雷除去分野や教育分野への支援を通じて,コロンビアの平和のために貢献していきたいと考えています。

加えて,農業・農村分野への支援も積極的に行っています。日本による地雷除去支援は,農業・農村分野の開発も含めた統合的な支援が理念としてあります。この観点から,コロンビアでも前述の地雷除去分野の支援と歩を合わせ,SATREPS(科学技術協力)や草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて,コメの品質向上・競争力強化を図ることを目的とした支援を行っています。
教育そして地雷除去及び農業・農村開発は今後もコロンビアにとって重要なテーマです。開発協力を通じて日本の技術・知見を活用しながら,コロンビアがさらに発展していくことを願っています。

難民に新たな機会と,新たな希望を

原稿執筆:UNHCR駐日事務所代表 ダーク・ヘベカー (日本語訳:UNHCR駐日事務所 古本 秀彦)

世界ではこれまでにない規模で,避難を余儀なくされた人が増え続けています。2018年6月19日に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した最新統計によると,難民の数は(2,540万人)に達しているほか,国内避難民の数も4,000万人を超えています。紛争は激化の一途をたどり,人権侵害や迫害,暴力によって,多くの人が家を追われ,難民危機はますます「長期化」しています。

  • (写真1)バングラデシュ・クトゥパロンでUNHCRの防水シートでテントを補強する人々【写真提供】UNHCR/Roger Arnold
    バングラデシュ・クトゥパロンでUNHCRの
    防水シートでテントを補強する人々
    【写真提供】UNHCR/Roger Arnold

難民や国内避難民などのニーズがかつてないほど高まる中,UNHCRをはじめ,多くの国連機関やNGOは支援を続けることへの困難に直面しています。援助対象となる現場の多くは,地元住民でさえ貧困ラインぎりぎりで生活している,開発途上地域です。

多くのドナー国政府が援助機関への支援規模を縮小する中,難民支援のための資金の確保が厳しくなっています。UNHCRの長年の戦略的パートナーであり,難民支援においてサポートを継続している日本は,厳しい財政事情の中でもUNHCRへの拠出額でトップ5の地位を保ち,アフリカ,中東,アジアにおいて,多数の難民を受け入れたり避難民の発生で負担を強いられている国に対する支援を推進しています。

  • (写真2)ベネズエラからブラジルに逃れてくる人々。公共交通機関を使うことができず,200キロメートルもの距離を歩いて国境を渡る【写真提供】UNHCR/Reynesson Damasceno
    ベネズエラからブラジルに逃れてくる人々。
    公共交通機関を使うことができず,
    200キロメートルもの距離を歩いて国境を渡る
    【写真提供】UNHCR/Reynesson Damasceno
  • (写真3)電気工事士として働く難民,ヨルダンのザータリ難民キャンプ【写真提供】UNHCR/Arisa Yoneyama
    電気工事士として働く難民,
    ヨルダンのザータリ難民キャンプ
    【写真提供】UNHCR/Arisa Yoneyama

こうした環境下にある難民,国内避難民支援について現在,状況が劇的に改善するのではないかという希望が生まれています。
これは2016年9月,国連総会の機会に採択された「ニューヨーク宣言」に端を発しています。そこでは,各国が難民に対する責任と難民との連帯を共有するための公平な方法を見い出し,「難民に関するグローバル・コンパクト」を策定することを誓約しました。難民に関するグローバル・コンパクトは,「包括的な難民支援枠組(CRRF)」の策定に加え,国連加盟国その他が難民問題へ対処するための具体的措置を定めた「行動計画」によって成りたっています。国際的な難民保護体制を強化し,難民の生きのびる力を支援するという新たな援助の形へと変革するため,多くの実践的な提言も出されています。

  • (写真4)コンゴ民主共和国からケニアに逃れ,ファッションデザイナーとして活躍するエスペランザ【写真提供】UNHCR/Samuel Otieno
    コンゴ民主共和国からケニアに逃れ,
    ファッションデザイナーとして活躍するエスペランザ
    【写真提供】UNHCR/Samuel Otieno

日本は,このグローバル・コンパクトに関する協議に積極的に参画,寄与しており,人道支援を持続可能な開発に結び付け,将来を見据えた貴重なアプローチも,議論の材料として提供しています。

  • (写真5)トルコのイラク難民。ケースワーカーのニスリーンと一緒に【写真提供】UNHCR/Esther Judah
    トルコのイラク難民。
    ケースワーカーのニスリーンと一緒に
    【写真提供】UNHCR/Esther Judah

難民・避難民の発生は「他人事」ではなく,気候変動の影響や平和と安全のように,グローバルな課題となっています。日本は,世界で最も激しい紛争が生じている地域から離れているにもかかわらず,自らが模範を示しながら,根本的な原因や人道ニーズ,中長期的な開発問題への取組をいずれも先頭に立って進めています。UNHCRを通じて日本からの支援によって生きのびるチャンスを得られた人々も,日本と日本の皆さまの貢献に感謝しています。

ジャパン・プラットフォームによる緊急人道支援【第7弾 ガザ:平和への架け橋】

原稿執筆:ジャパン・プラットフォーム 事業評価部 月岡 悠

イスラエル政府とガザの実効支配勢力ハマスとの間で衝突が続いていたパレスチナ・ガザ地区では,2014年7月からイスラエル国防軍が51日間に渡り本格的な軍事攻撃を実施しました。その結果,ガザの総人口180万人のうち130万人が厳しい食糧事情に追い込まれるなど,喫緊の人道支援を必要とする状況となりました。
ジャパン・プラットフォーム(JPF)は,同年8月からガザ地区における緊急人道支援を開始し,食糧パッケージやビニールシートの配布などの緊急支援を軸としつつ,生業支援,農業復興など戦災からの復興支援を実施してきました。

  • (写真1)雨水の貯水システムを確認するPARCICスタッフ【写真提供:JPF】
    雨水の貯水システムを確認するPARCICスタッフ
    【写真提供:JPF】

2017年には,慢性的かつ非常に厳しい水不足に対応するため,JPFの加盟NGOパルシック(PARCIC)が灌漑設備の修復や温室を利用した雨水の貯水システム構築を通じた生計再建支援を実施しました。温室栽培用の農業資材を配付し,栽培方法についても技術研修を行った結果,ガザの人々はこれまでよりも雨水を効率的に利用し,かつ温室で安定的にトマトなどの作物を生産できるようになりました。

また,JPFの加盟NGOパレスチナ子どものキャンペーン(CCP)は,2014年から紛争被害者への訪問診療などの医療支援を実施しています。2014年の紛争で頸椎を損傷して両足を動かすことができなくなってしまった男の子は,継続的な理学療法治療で筋力をつけた結果,今では手で這って自力で車いすに乗り降りして幼稚園に通うことができるようになりました。

  • (写真2)車いすに乗ってみせてくれた少年【写真提供:CCP JAPAN】
    車いすに乗ってみせてくれた少年
    【写真提供:CCP JAPAN】

これまでの支援で一定の成果を上げてきたものの,ガザ復興への道のりは未だに遠く,脆弱な人々への継続的な支援が必要とされています。JPFは今年度から,様々な復興ニーズのなかから特に医療・保健サービスを必要としている人々への支援に集中的に取り組む方針で3年計画を展開していきます。

今月初旬,人道支援関係者が悲しみに打ちひしがれ大きなショックを受ける出来事が起こりました。パレスチナ医療救援協会(PMRS: Palestinian Medical Relief Society)の医療ボランティア,ラザン・ナジャールさんが緊急医療支援活動中に亡くなられたことです。イスラエルに対する抗議活動デモの負傷者を手当てしようと,ラザンさんは両手を挙げてゆっくりと負傷者に近づいたところ,胸を打たれて死亡しました。これは人道支援活動中の支援者に対するあってはならない攻撃です。同じガザで人道支援を行っているNGOの一員として,深い悲しみと強い抗議の意志を表明します。

ガザの情勢は予断を許しませんが,先に行われた日・パレスチナ首脳会談でも確認されたように,日本が和平に積極的な役割を果たす決意の中で,JPFは日本のNGOによる「顔の見える人道支援」を,着実かつ誠実に果たしていきたいと思います。

JPFの活動について詳しく知りたい方はこちら別ウィンドウで開く

最近の開発協力関連トピック

  • (1)「グローバルフェスタJAPAN2018」が今年もお台場で開催!別ウィンドウで開く
    日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN」が今年も9月29日(土曜日),30日(日曜日)の二日間,お台場で開催されます。出展募集の締切りまで残り2日です!出展をご検討中の方はお急ぎください!
  • (2)鳥取大学でODA出前講座を実施しました!
    国際協力局では,国際協力についてお話しするため,第一線で働く職員を皆さまのもとへ派遣しています!6月5日に鳥取大学で行われたODA出前講座の開催報告がアップされましたので,ご覧ください。申請は,開催希望日の2か月前をめどにこちらから。
  • (3)マダガスカル最大規模のプロジェクトが日本の支援で実現へ!
    マダガスカルの「トアマシナ港拡張計画」の起工式が行われ,同国独立以来最大規模のプロジェクトとして紹介されました。日本は,計画段階から支援し,マダガスカル国内の政治危機や多くの困難を経て,ついに実現にこぎつけました。