ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン第331号
ODAメールマガジン第331号は,シリーズ「TICAD VI」第7弾としてセネガル共和国からの「セネガルの紹介」,「バリューチェーン開発による水産資源共同管理促進計画策定プロジェクトと日本企業支援」と経済局経済安全保障課から「G7コネックス国際会合 参加者の募集」をお届けします。
セネガルの紹介
原稿執筆:在セネガル日本国大使館 榎本 大輔 二等書記官
セネガルはアフリカ大陸最西端(首都ダカール;北緯14度,西経17度)の国で,日本のおよそ半分の国土に東京都と同じ程度の人口1,350万人(2013年国勢調査)が暮らしています。
1960年の独立以来,親仏・穏健路線で,一度もクーデターを経験したことがなく,多くの国と友好的な関係を維持,2012年の政権交代も平和裏に行われるなど,サブサハラ随一の政治的安定を誇っています。
平和を重んじ,来訪者を手厚くもてなす「テランガ」の精神で知られていますが,穏やかな人々はお喋りとダンスが大好きで,音楽や太鼓が鳴り始めるとどこからともなく人が集まり踊り出します。普段座ってばかりのぽっちゃりなおばちゃんも,キレッキレのダンスを披露してくれます。
- 19世紀まで奴隷貿易の拠点だったゴレ島
- セネガル人間国宝
故ドゥドゥ・ンジャイ・ローズ氏による
大使公邸での太鼓の演奏
日本はセネガルと文化交流並びに経済協力を長きにわたり行ってきました。
2016年に29回を迎えた大使館主催のセネガル俳句コンクールはセネガルのみならず,フランスやカメルーンなど6カ国から500句もの応募があり,今やセネガルにおける伝統的文化行事の一つとなっています。
そして約40年にわたる農業支援及び水供給支援等の無償資金協力,技術協力に加え,2014年に35周年を迎えた青年海外協力隊派遣は累計1,000人を超えるなど2国間の友好関係は非常に緊密かつ成熟したものとなっています。
- 今年の俳句コンクールでの
ファン・ロンパイ日EU俳句交流大使 - 日本支援による給水塔
近年も「天水稲作持続生産支援プロジェクト」等の農業支援及び「バリューチェーン開発による水産資源共同管理促進計画策定プロジェクト」等の漁業支援等広範囲に渡る経済支援を行っています。
また,「母子保健実習センター建設」等の保健分野,1991年以来,小中学校2,300教室を建設するなど教育分野への支援も行い,社会開発支援にも力を入れています。
この経済支援と社会開発の二本柱による支援を中心に日本はセネガルの安定と発展に貢献しています。
- 日本支援による小中学校建設
バリューチェーン開発による水産資源共同管理促進計画策定プロジェクトと日本企業支援
原稿執筆:在セネガル日本国大使館 榎本 大輔 二等書記官
多岐に渡るセネガル支援の中で今回は「バリューチェーン開発による水産資源共同管理促進計画策定プロジェクト」プロジェクトのタコの付加価値化と日本企業支援を紹介します。
セネガルはチェブジェン(ウォロフ語で,「チェブ」は米,「ジェン」は魚を意味する。)と呼ばれる魚を用いた料理が国民食になるほど魚介類が重要なタンパク源の一つとなっています。また,国内就業者の6人に1人が漁業に従事し,就業対策としても漁業への支援が重要となっています。
- セネガルの伝統食チェブジェン(魚の炊き込みご飯)
セネガルには暖流と寒流がぶつかる豊かな漁場が存在し,恵まれた漁場環境のもとで,企業型漁業と沿岸零細漁業が発達してきました。しかしここ15年は水揚げ規模が頭打ちとなり,資源の疲弊が懸念され,水産資源管理の重要性が叫ばれています。そんな中日本は2000年代から,品質の向上,付加価値化,資源管理の推進によって良い物を持続的に供給することを目的として支援を行ってきました。
2014年から始まった「バリューチェーン開発による水産資源共同管理促進計画策定プロジェクト」は特にマダコにスポットをあて,その品質向上と付加価値化をはかるとともに,価格の高騰している日本市場に安価で高品質のタコを輸出すること,適切な品質管理を行い,持続可能な漁業にも貢献するなど,自立発展性を伴うパイロットプロジェクトとして推進しています。
- セネガルのタコ釣り漁
- 日本の技術指導で普及した産卵用タコつぼ
かつては臭くて美味しくないと言われていたセネガルのタコは,粗悪な品質管理が原因でした。そのため,まず品質管理を徹底しました。その結果,臭みもなく,味もモーリタニアや明石産のタコと遜色のないタコであることがわかりました。
また,企業への売り込みの為,2015年8月,セネガル漁業・海洋経済大臣がジャパン・インターナショナル・シーフドショーに参加し,セネガル産タコを積極的にアピールしました。
- タコの品質改善指導
- シーフードショーで大臣自ら売り込み
大臣自らの宣伝効果もあり,今年数社の日本企業が実際にタコを買い付けにセネガルを来訪しました。当プロジェクトはセネガルの漁業振興と日本企業への支援を兼ね備えた新しいODA開発として期待されています。欧州や日本市場が要求する高品質な水産物をセネガルで生産し,市場メカニズムを活用した資源管理(少なく獲って高く売る漁業)を目指し,これからもセネガルの水産業に支援を行っていきます。
もうすぐ,みなさんのご近所のスーパーの魚売り場にもセネガル産タコが並ぶかもしれません。ぜひ探してみて下さい。
G7コネックス国際会合 参加者の募集
原稿執筆:経済局経済安全保障課
外務省は,本年5月のG7伊勢志摩サミットのフォローアップとして,9月15日(木曜日)及び16日(金曜日)に,JICA市ヶ谷ビルの国際会議場にて,G7コネックス国際会合を開催致します。
G7コネックス・イニシアティブとは,2014年のG7ブリュッセル・サミットにおいて発足し,エネルギーや鉱物等の採取産品の輸出によって経済開発を進めようとする開発途上国が多くある中,途上国が採取産業プロジェクトに関する複雑な契約を締結するにあたり,当事国や投資企業の双方の利益を保護しつつ,その公正性や透明性確保のため,途上国に対する専門的知見の提供等多面的な支援を行っているものです。
伊勢志摩サミットで発出した「G7コネックス持続可能な開発に向けた基本指針」を踏まえたフォローアップ会合として,政府関係者,国際機関,採取産業関係者,研究者,学生,市民社会団体ほか一般の皆様にもオープンの国際会合を行います。
下記のとおり,弊省HPにて一般の皆様向けの参加案内を出しております。途上国の能力開発支援や採取産業の透明性向上に御関心がある皆様に,ぜひ御参加いただきたく思います。
また,9月15日(木曜日)・16日(金曜日)両日のランチビュッフェ,及び15日(木曜日)夕の歓迎レセプションにも御出席頂けますので,是非お気軽にお申し込み下さい。
(注:外務省HPのリンク上では,参加登録を9日(金曜日)までと記載しておりますが,14日(水曜日)16時まで参加登録を受け付けますので,事前に申し込みをお願いします。)
なお,「コネックス」について,以下のリンク先でより分かり易く解説しています。