ODA(政府開発援助)

2015年5月27日発行
平成27年5月29日

地球の裏側の日本 パラグアイ

原稿執筆:在パラグアイ日本国大使館 肥田 剛 二等書記官

パラグアイは,南米大陸のほぼ中央に位置する内陸国で,日本からは空路で約2日間かかる距離にあるため,日本人にとっては馴染みの薄い国かもしれません。パラグアイの国土は日本より少し広い程度ですが,ほぼ全土が広大な平原と丘陵であり,豊富な河川にも恵まれているためか,パラグアイ人は穏やかな国民性と言われています。

  • 首都アスンシオン市の眺望
    首都アスンシオン市の眺望

日本から見るとあまり馴染みのないパラグアイですが,パラグアイから見ると日本は特別な存在となっています。来年移住80周年を迎える中での日本人移住者・日系人の農業,商業,金融,法曹,医療等の様々な分野での活躍,日本が主要ドナーとして長年に亘りパラグアイに実施してきた経済協力,近年の日本からの企業進出などを通じてパラグアイの経済社会発展に大きく貢献してきた結果,多くのパラグアイ人にとって日本人は尊敬の対象となっており,パラグアイにおける日系社会の大きな存在感は世界でもあまり例がないことだろうと思います。

パラグアイの産業は豊かな自然を活かした農牧畜業が中心です。
パラグアイは700万人弱の人口にも関わらず,大豆の輸出額が世界第4位であり,また,我が国が輸入するゴマの半数以上はパラグアイ産ですが,この国に元来存在していなかった大豆やゴマの生産を切り拓いてきたのも日本人・日系人でした。また,牧畜に関しても,日本の専門家が品種改良に大きく貢献しています。
なお,東日本大震災発生後には,被災地支援として,パラグアイ産の非遺伝子組換え大豆を使用した豆腐100万丁を被災地に届けるプロジェクトが実施されました。

  • 被災地に届けられた豆腐
    被災地に届けられた豆腐

また,近年の経済成長も目を見張るものがあり,大規模ショッピングセンターやホテル,商業施設等が次々と建設されています。日本企業の進出はここ数年の出来事ですが,政府が外国投資誘致施策を積極的に推進したこともあり,パラグアイは南米諸国の中でも高い経済成長を達成し,他国の企業もパラグアイへの投資を加速させていることが好景気を後押ししています。

一方で,パラグアイ国内では依然として格差是正やインフラ整備が大きな課題となっています。現在の予算やノウハウだけではこのような課題を解決し,国を安定的に成長させるほどの余力がなく,他国の協力を必要としているのも事実です。
我が国は1954年以降,パラグアイに対して総額2,700億円以上の経済協力を実施し,空港や道路を始めとするインフラ整備,教育・医療・文化関連施設の整備及び様々な分野の専門家・ボランティアの派遣等を行ってきています。

  • 日本の無償資金協力で建設されたパラグアイ日本・人造りセンター
    日本の無償資金協力で建設された
    パラグアイ日本・人造りセンター
  • 日本の草の根無償資金協力で整備された児童養護施設の落成式
    日本の草の根無償資金協力で整備された
    児童養護施設の落成式

パラグアイが「世界から目を向けられる国」へと変貌するためには,まだまだ乗り越えなければならない課題が多く残されてはいますが,これらの課題克服に向けた我が国の支援等を通じ,パラグアイが発展を遂げるとともに,両国の関係が一層強化されることを期待しています。

なお,在パラグアイ日本国大使館では,パラグアイと日本との関係をより身近に感じていただくため,当館ホームページにおいて,パラグアイ事情を紹介する「パラグアイ便り」や,パラグアイで我が国が関係する施設を写真とともに紹介するページ(日本ゆかりの写真集 「パラグアイの中の日本」)等を掲載していますので,ご興味のある方は併せてご覧ください。

ゴマと日本とパラグアイ

原稿執筆:JICAパラグアイ事務所 竹村 雄一 所員

和食には欠かせない食材,ゴマ。
日本は世界有数のゴマ消費国ですが,実はそのほとんどが輸入で,特に食用の白ゴマ輸入の約半分以上は日本から見て地球の反対側,南米のパラグアイからやってきているのです。そんなパラグアイのゴマですが,実は日本ととても深い関係を持っています。

パラグアイにおけるゴマ栽培の歴史は1990年代初頭にさかのぼります。
当時,パラグアイの主要作物の一つであった綿花の価格が下落し,特に小規模な農家は非常に困窮していました。そのような状況をなんとかしたいという使命感から,日本からパラグアイに移住した志のある日本人が立ち上がり,小規模農家への白ゴマの種子の配布と栽培技術指導に取り組みました。その取組が実を結んだこともあり,現在パラグアイは世界でも有数のゴマ生産国となりました。
ゴマは大規模栽培が難しいという特性から,特に小規模農家の現金収入源として非常に重宝されていることもあり,日本はODAを通じ,パラグアイの貧困層である小規模農家の生計向上のために,優良ゴマ種子の安定供給や栽培技術の改善,土壌改良技術の開発,農家への技術指導などの技術支援に継続的に取り組んできました。

この様に非常に日本と関係の深いパラグアイのゴマですが,2008年,パラグアイ産ゴマは新たな壁にぶつかりました。残留農薬問題です。
日本の残留農薬基準値を超える農薬がパラグアイ産ゴマから検出されるという問題が発生し,問題となったロットは日本国内への輸入が認められませんでした。パラグアイ政府は散発的に検出される残留農薬に危機感を募らせ,2013年末,当時のパラグアイ農牧省農業副大臣を団長とする官民一体の代表団が日本を訪問の上,残留農薬検査プロセスの診断への協力を日本に依頼しました。

パラグアイ代表団の依頼を受け,日本は2014年9月と2015年2~3月に,専門家をパラグアイに派遣,ゴマの生産から出荷までのプロセスの点検,残留農薬検査改善等への提言,検査用のラボの技術指導などに取り組みました。短期間の派遣にもかかわらず,専門家の功績はパラグアイ政府から高く評価され,パラグアイ政府は現在,この提言を踏まえて対策に取り組んでいます。

移住した日本人の努力により花開いた,パラグアイのゴマ。ゴマを食べる際にはぜひ,その一粒一粒にこめられた,パラグアイと日本の歴史と友好に,思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

  • パラグアイのゴマの花
    パラグアイのゴマの花
  • パラグアイの白ごま
    パラグアイの白ごま

平成26年度外務省ODA評価(第三者評価)個別報告書の公表

原稿執筆:ODA評価室

外務省は平成26年度外務省ODA評価(第三者評価)個別報告書を公表しました。

平成26年度は,「メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価」,「パキスタン国別評価」,「ケニア国別評価」,「法制度整備支援の評価」,「緊急事態における日本の人道支援の評価」,「保健関連ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた日本の取組の評価」,「相対的に所得水準の高い国に対する無償資金協力の評価」,「草の根技術協力に関する評価」,「過去のODA評価案件(2003-2013年度)のレビュー」の9件を実施しました。ODAに携わる方々やODAにご関心のある方々に,ぜひ活用していただければと思います。

これらの報告書は,外務省ODAホームページに掲載しています。

また,これらの個別報告書以外にも,外務省が実施したODA評価の概要を中心に,他のODA関係省庁と国際協力機構(JICA)が実施したODA評価の概要などを取りまとめた「ODA評価年次報告書」についても,毎年度公表しておりますので,ぜひこちらもご覧ください。

  • 現地調査の視察先の写真(パキスタン国別評価)
    現地調査の視察先の写真
    (パキスタン国別評価)
  • 現地調査の視察先の写真(メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価)
    現地調査の視察先の写真
    (メコン地域のODA案件に関わる
    日本の取組の評価)
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