ODA(政府開発援助)

平成26年10月9日

 政府開発援助(ODA)事業の不正をめぐっては,平成20年のベトナムにおける贈収賄事件を契機に,再発防止策を講じてきたところですが,最近,インドネシア,ベトナム及びウズベキスタンにおけるODA事業に関して,受注企業による外国公務員への贈賄事案が明らかになったことは,日本政府として極めて残念であり,遺憾です。

 このような事態が生じるのを未然に抑止するためには,我が国のみならず,相手国の協力も必要であり,その観点から,相手国政府とも協議を行ってきていますが,今般,日本側として再発防止策の更なる強化を図るべく,以下の取組を講じることとしました。

 日本政府及びJICAとしては,今般の不正事案が発生した関係国のみならず,日本のODAの全ての相手国におけるODA事業において,当該取組を着実に実施していくとともに,ODA事業をめぐる不正腐敗の根絶に一層努めてまいります。

1 不正腐敗情報に係る窓口の強化

 これまで設置していた不正腐敗情報の受付窓口を一層利用しやすく改善・強化するとともに,窓口の存在を改めて広く周知することとしました。

 また,JICAは不正腐敗防止担当部署を設け,外部専門家の参加を得て,不正腐敗情報に対応することにしました。

(1)これまで設置していた窓口の改善・強化

  • 「相談」機能の強化(早い段階で相談を受けることにより不正腐敗事案の発生を未然に防止。各在外公館の担当者を指名するとともに,利便性向上のため,ホームページ上の送信フォームを改善。通報者に不利益が及ばないことが確保されることを前提に,相手国政府との協議を含め必要な対応を行う。対応結果を通報者にフィードバック。)
  • ホームページ上の英語や現地語による通報の受付(従来日本語のみで受け付けていた情報を英語や現地語でも受け付けられるよう,在外公館のホームページを改善。)

(2)窓口への相談・通報の促進

  • 自主的に不正を申告した企業については,入札から一定期間排除する措置を減免(注)
  • 在外公館及び本邦での企業等との意見交換等における広報の強化

2 不正に関与した企業に対する措置に係る規程の更なる強化(注)

 外務省の「日本国のODAにおいて不正行為を行った者等に対する措置要領」及びJICAの「独立行政法人国際協力機構が実施する資金協力事業において不正行為等に関与した者に対する措置規程別ウィンドウで開く」を改定し,不正に関与した企業に対する,一定期間入札から排除する措置を更に強化しました。改定の主なポイントは以下のとおりです。

  • 贈賄に係る措置の強化(従来,一定期間入札から排除する措置の期間は不正の行為者によって区別していましたが,今回,贈収賄防止への全社的な対応を促す観点から,行為者の区分を廃止(外務省については,贈賄(刑法第198条違反)に係る措置期間の上限を18か月に引上げ。なお,外務省について,不正競争防止法違反は従来から行為者による区分なし。)。)
  • 措置期間の延長に係る「2倍規定」の強化(従来,悪質な場合等は措置期間を「2倍まで」延長できることとなっていましたが,今回,同様の場合には一律「2倍に」延長できるよう改定(最長36か月は現行のまま)。)
  • 措置期間中の企業が新たな事由により再び措置を適用された場合の措置期間の明確化(措置の期間中の企業が,同措置の事由とは別の事由により措置の適用を受ける場合,措置の期間が連続して36か月を超える場合がある旨明確化。)
  • JICA資金協力事業に下請けとして参加する場合も,措置対象として追加。

3 「JICA不正腐敗防止ガイダンス(PDF:400KB)(PDF)別ウィンドウで開く」の策定

 ODA事業受注企業による不正腐敗防止の取組を更に促すため,不正腐敗の定義,不正腐敗防止のための制度,相手国政府・実施機関・企業が講じるべき取組等について解説したガイダンスを新たに作成し,ODA事業を受注する企業及び相手国政府・実施機関に対して配布することとしました。この取組により,関係者の不正腐敗に関する認知を深め,不正対策の徹底を求めるものです。

4 企業のコンプライアンス強化のための方策

 不正腐敗を防止するには,企業のコンプライアンスの強化が不可欠です。ODA事業の受注企業に対し,以下の取組を講じることにより,コンプライアンスの徹底を更に促すとともに,不正に直面した場合に日本政府,JICAと連携して対応するよう企業の理解を引き続き求めていきます。

(1)措置期間終了時のコンプライアンス等の改善措置の提出義務化(注)

 措置の対象となった企業に対し,措置の期間の終了までに,コンプライアンス・プログラム等の改善措置を提出することを新たに義務付けることとしました。

(2)ODA事業の関係業界団体との対話の強化

 ODA事業の関連業界団体に対し,上記相談窓口の周知を含め,不正腐敗防止のための注意喚起を実施するとともに,同団体及び所属企業との意見交換を一層緊密に行っていきます。また,関係業界団体との対話や企業向けセミナーの強化を通じ,企業に対し,注意喚起とコンプライアンスの一層の徹底を求めていきます。

(3)技術協力事業及び調査業務における違約金の強化

 日本側(JICA)が発注元となる技術協力事業及び調査業務については,受注企業との契約において,受注者に不正な行為が確認された際,契約解除に伴う違約金として契約金額の10%に相当する額を徴する条項を規定していますが,これに加え,今後,当該事業に関連して外国公務員等に対する贈賄が確認された際には,契約金額の20%に相当する額の違約金を新たに課すことにつき導入を進めていきます。

5 相手国政府への一層の働きかけ

 不正腐敗の防止は,我が国のみならずODA事業を実施する相手国政府においても対応すべき問題です。このような考え方の下,我が国のODA事業の相手国政府・実施機関に対し,経済協力政策協議等の協議の枠組みを活用しつつ,不正腐敗防止の徹底を一層求めていきます。特に,今般,不正事案が発生した3か国に対しては,円借款案件について,入札,契約,実施段階におけるモニタリングの強化,不正が指摘された実施機関が実施する入札におけるコンプライアンス・プログラムの導入の入札要件化などの取組を行うよう求めていきます。

 また,無償資金協力事業に関連し,相手国政府関係者への不正な資金提供等が確認された場合には,相手国政府に贈与資金の一部の我が国への返還を求める方途についても検討していきます。

6 相手国のガバナンス強化,不正腐敗防止に関する能力向上支援

 JICAによる研修,専門家派遣,技術協力プロジェクトを活用して,公共調達及び不正腐敗防止に関する法制度整備支援を行うほか,相手国関係者に対する契約約款等の周知徹底のためのセミナーを開催するなど,不正腐敗防止のための能力向上支援を行います。

(注)については,10月9日から適用。

 本件に関するお問い合わせ先
 外務省国際協力局事業管理室
 TEL:03-5501-8000(内線3948)
 FAX:03-5501-8366


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