ODA(政府開発援助)

平成25年3月17日
人材育成奨学計画
実施年度 平成23年度
供与限度額 3.83億円
案件概要  この協力は,中国の将来を担う若手行政官等35名を対象に,日本の大学に留学するために必要な学費等を供与するものです。
裨益効果  この協力の実施により育成される人材が,我が国に対する理解を深め,日中両国の相互理解に寄与することが期待されます。
人材育成奨学計画
実施年度 平成22年度
供与限度額 4.92億円
案件概要  本計画は,中国の将来を担う若手行政官等40名を対象に,日本の大学に留学するために必要な学費等を供与するものです。
 中国とは,地理的にも経済,文化的にも密接な関係にあり,我が国にとっても最も重要な国の一つです。東アジア地域の平和と発展のためには,中国が開かれて安定した社会であり続けることが望ましく,我が国はそのような観点から,中国の改革・開放政策を支持してきています。
裨益効果  本計画の実施により育成される人材が,将来,各分野で同国の抱える開発課題の解決に貢献するとともに,両国の相互理解,友好関係の構築に寄与することが期待されます。
 留学生の支援等の人づくり支援は,我が国に対する理解を深め,二国間関係の緊密化に資するものです。
人材育成奨学計画
実施年度 平成21年度
供与限度額 5.56億円
案件概要  中国とは,地理的にも経済,文化的にも密接な関係にあり,我が国にとっても最も重要な国の一つです。東アジア地域の平和と発展のためには,中国が開かれて安定した社会であり続けることが望ましく,我が国はそのような観点から,中国の改革・開放政策を支持してきています。専門家派遣,研修員受入,留学生支援等の人造り支援は,同国の経済社会開発を支援するものであると同時に,我が国に対する理解を深めるものです。
 本計画は,中国の将来を担う若手行政官等45名を対象に,日本の大学に留学するために必要な学費等を供与するものです。
裨益効果  本計画の実施により育成される人材が,将来,市場経済化の促進,法制度整備,環境問題への対応等持続可能な発展の実現に向けた同国が抱える開発課題の解決に貢献するとともに,両国の相互理解,友好関係の構築に寄与することが期待されます。
大連外国語学院日本語学習機材整備計画(一般文化無償資金協力)
実施年度 平成20年度
供与限度額 0.36億円
案件概要  大連外国語学院は,1964年に大連日本語専門学校として設立され,1970年に大学昇格したもので,海外にある日本語高等教育機関としては世界最大規模の日本語学部を有しています。同学院は,語学の専門教育機関として語学学習専用LL教室を増室してきていますが,すべての言語学部でLL教室使用のニーズが高く教室が不足しています。特に,専門教材を使用し実践的な日本語力習得カリキュラムを組む日本語教育においてLL教室不足が影響してきており,LL機材整備が必要となっていることから,中華人民共和国政府は,今回我が国政府に対して一般文化無償資金協力を要請してきたものです。
裨益効果  今回の協力を通じ,経済技術特区としていち早く市場化経済が進み日系企業も多く進出している大連市を含む中国東北部において,対日理解・親日感情を醸成し,さらには知日・親日層の拡大に貢献するとともに,同学院が我が国在外公館が文化事業・日本語普及活動を展開する上での拠点の一つとなることが期待できるなど,本件実施は重要な意義を有するものです。
人材育成奨学計画
実施年度 平成20年度
供与限度額 5.77億円
案件概要 ・本計画の内容
 本計画は,中央政府等の若手行政官最大48名が,日本の大学院において,法律,公共政策,経済,経営,国際関係の分野で学位取得等を目的として留学するのに対して必要な経費を支援するものである。なお,我が国は,人材育成支援無償資金協力((参考)参照)を活用して,アジア地域の開発途上国の若手行政官等を対象として人材育成奨学計画を支援している。
 本計画により日本に留学する行政官は,平成20年度に募集が行われ,平成21年度から2年に亘り留学することになる。供与限度額は,4年度に亘り最大で5億7,700万円である。
・本計画の必要性と効果
 中国は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げており,2001年12月にはWTO(世界貿易機関)に加盟し,公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを課題としている。
 このような中,中国政府にとって,市場における経済秩序の維持,経済関係法令の整備とその着実な実施,違法行為の取締り,財政・金融・投資・税制等の諸分野における制度改革が課題となっている。
 このような状況の下,中国政府は,「人材育成奨学計画」を策定し,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたところ,我が国政府は,本件協力は相互理解の増進にも資することを考慮して,実施することとしたものである。
裨益効果  本計画の実施により育成される人材が,将来,各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに,今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。
四川大学日本語学習機材整備計画(一般文化無償資金協力)
実施年度 平成19年度
供与限度額 0.26億円
案件概要  四川大学は,中央政府より全国重点大学の一つとして指定されている総合大学であり,1973年に同大学外国語学院内に日本語学科が設置され,98年には日本語学部となるなど日本語学習に重点を置いている。同大学としては,日本語学習者のため日本語学習環境整備を充実したいと考えているが,学生数も多く,また既存のLL機材が老朽化しており,円滑な日本語教育に支障を来しているような状況にある。このため,同大学における日本語学習用機材,視聴覚機材,日本語教材等を整備することが必要であり,中華人民共和国政府は,今回我が国政府に対して一般文化無償資金協力を要請してきたものである。
裨益効果  今回の協力を通じ,中国西南地域において,対日理解・親日感情を醸成し,更には知日・親日層の拡大に貢献するとともに,同大学が我が国在外公館が文化事業・日本語普及活動を展開する上での拠点の一つとなることが期待できるなど,本件実施は重要な意義を有するものである。
西安外国語大学日本語学習機材整備計画(一般文化無償資金協力)
実施年度 平成19年度
供与限度額 0.46億円
案件概要  中国西北地域で数少ない外国語専門の高等教育機関である西安外国語大学においては,1975年に日本語学科が設立され,現在,日本語学科には約900人の学生が在籍している。同大学の教育水準は日本語学科を始め全国的にも高いとされているが,設備面ではかなり立ち後れており,学生達がより効果的に日本語を学習できるための環境改善が必要となっている。今回の協力は,こうした日本語の学習のための環境改善を目的として,日本語学習用のLL機材等の購入にかかる資金の供与を行うものである。
裨益効果  今回の支援により,西安外国語大学における日本語学習環境が改善されることを通じて,同大学日本語学科の学生の日本語習熟度が高まるのみならず,これら学生が今後日本語教育や日本との関係に関わる仕事に従事していくことにより,中国西北地域を含む中国国内での日本語の普及や対日理解の促進に繋がっていくことが期待される。
湖南大学日本語学習機材整備計画(一般文化無償資金協力)
実施年度 平成19年度
供与限度額 0.24億円
案件概要  中国内陸部に位置する湖南省を代表する有力大学である湖南大学においては,1962年より日本語教育課程が開始されて以降,1993年には日本語学科が設置されるなど,日本語教育に熱心に取り組んできている。しかし,近年,同大学においては,日本語学科の学生数が増加しているにも拘わらず,学生に十分に効果的な日本語教育を実施するための環境整備が追いついていない。今回の協力は,こうした学習環境の改善を目的として,日本語学習用のLL機材等の購入にかかる資金の供与を行うものである。
裨益効果  今回の支援により,湖南大学における日本語学習環境が改善されることを通じて,同大学日本語学科の学生の日本語習熟度が高まるのみならず,これら学生が今後日本語教育や日本との関係に関わる仕事に従事していくことにより,中国内陸部を含む中国国内での日本語の普及や対日理解の促進に繋がっていくことが期待される。
人材育成奨学計画
実施年度 平成19年度
供与限度額 平成19年度選考・20年度来日学生分:5.85億円
(平成19年度 0.85億円,平成20年度 2.84億円,平成21年度 1.81億円,平成22年度 0.62億円)
案件概要 ・本計画の内容
 本計画は,中央政府等の若手行政官48名を対象に,日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して必要な経費を支援するものである。
・本計画の必要性
 中国経済は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げており,2001年12月に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し,公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを今後の課題としている。
 このような中,改革・開放政策の進展は中国政府に,市場における経済秩序の維持,経済関係法令の整備とその着実な実施,違法行為の取締り等を含む様々な政策課題を投げかけており,さらには,財政・金融・投資・税制等の諸分野における制度改革も必要となっている。
 また,我が国と中国とは地理的あるいは経済・文化的にも密接な関係があり,日中関係は最も重要な二国間関係のひとつである。
 このような状況の下,中国政府は,中国の持続可能な発展,及び,日中両国政府間の相互理解を増進する観点から,「人材育成奨学計画」を策定し,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたところ,これは中国に対する我が国の援助重点分野である相互理解の増進に合致する。
裨益効果  本計画の実施により育成される人材が,将来,各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに,今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。

 

酸性雨及び黄砂モニタリング・ネットワーク整備計画
実施年度 平成18年度
供与限度額 7.93億円
案件概要 (1)酸性雨
 中国の各都市は経済発展に伴い,大気汚染物質の発生量が増加し,汚染の範囲も拡大している。石炭燃焼から発生する二酸化硫黄や,工場あるいは自動車から放出される窒素酸化物などは,環境に深刻な影響を与える大気汚染問題を引き起こすとともに酸性雨の原因ともなっているが,このような大気汚染物質は地形・気象条件により国境を越えた環境問題となっている。東アジアの酸性雨問題に対しては,日本が中心となって「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)」を設立し,各国は共通の手法により降雨の分析と大気汚染物質の観測を行い,データを共有することとしているが,中国における観測体制は不十分である。
(2)黄砂
 また,近年の農業開発や水資源の多用により内陸部の砂漠化が進行し,黄砂(砂塵)嵐の発生も増加し被害も拡大している。中国国内で発生した黄砂は地形・気象条件により中国国内のみならず,韓国及び日本にも達している。こうした黄砂問題に対処するため,中国,モンゴル,韓国と日本の4か国及び国連環境計画等国際機関が協力し,アジア開発銀行(ADB)と地球環境ファシリティ(GEF)の資金により,「北東アジアにおける黄砂の防止と抑制」に関する技術支援プロジェクトが実施されている。この一環としてマスタープランが作成され,4か国はこれに沿って黄砂モニタリングを実施し,データを共有していくことが合意されているが,中国においては現在のところ日本との共同研究レベルの活動が中心であり,有効な黄砂の予報モデルを開発する上でのデータが不足している。
 このような状況の下,国境を越えた環境課題である酸性雨及び黄砂問題に関し,東アジア酸性雨モニタリングネットワーク及びADB-GEF黄砂対策マスタープランに基づくネットワークの活動の推進に寄与できるよう,中国国内のモニタリング水準を向上させることを目的として,中国政府は「酸性雨及び黄砂モニタリング・ネットワーク整備計画」を策定し,酸性雨及び黄砂を観測するために必要となる機材の整備のための資金につき我が国政府に無償資金協力を要請してきたものである。これを受け,我が国政府としては対中国経済協力の重点分野である環境分野への支援にも合致することを踏まえ,実施を決定することとしたものである。
裨益効果  この計画の実施により,中国国内の酸性雨観測体制が強化され,観測データの精度が向上することにより,大気汚染対策のための規制等の措置につながるとともに,東アジア酸性雨モニタリングネットワークの活動に寄与することが期待される。黄砂に関しては,中国国内の発生源地域からの広範囲な地域にわたって連続的な観測データが得られ,黄砂の動きをリアルタイムで捉えられることにより,予報モデルの開発が促進され,黄砂対策の進展につながり,ADB-GEF黄砂対策マスタープランに基づくネットワークの活動に寄与することが期待される。
第二次黄河中流域保全林造成計画(第5期)
実施年度 平成18年度
供与限度額 2.18億円
案件概要  中国には1億6,000万ヘクタールの砂漠を含む2億6,000万ヘクタールの荒廃地が存在しており,特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにも及ぶ荒廃地が広がり,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業生産の低下,農地の縮小などの被害が発生している。さらに,中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており,夏季の集中豪雨による洪水,冬季の少雨による流下水の消滅等の災害をもたらしている。
 このため山西省では,同国政府の政策に沿って「山西省生態環境建設計画」を策定し,森林被覆率を2050年までに45%とする目標を立てて植林を推進しているが,広大な荒廃地に広がる貧困地域においては,財政難のため計画どおりに植林活動が進んでいない状況にある。
 このような状況の下,中国政府は山西省における荒廃地緑化のため「第二次黄河中流域保全林造成計画」を策定し,保全林の造成等に必要な資金につき,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり,わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援にも合致するため実施することとしたものである。
 なお,今回の5期目においては,約580ヘクタールの地域への植裁等を行うものである。
裨益効果  この計画の実施により,荒廃地の復旧,現地住民への植林技術および植林地の維持管理技術の普及・向上が図られるとともに,周辺地域への黄砂の飛散が抑制されるなど日中両国が直面する共通の課題である黄砂対策に資することが期待される。
人材育成奨学計画
実施年度 平成18年度
供与限度額 平成18年度選考・19年度来日学生分:5億8,200万円
(平成18年度:5,500万円,平成19年度:2億8,600万円,平成20年度:1億7,700万円,平成21年度:6,400万円)
平成15年度選考・16年度来日学生分:2,100万円
案件概要  中国経済は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げており,2001年12月に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し,公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを今後の課題としている。
 このような中,改革・開放政策の進展は中国政府にとって,沿海地域と内陸部の著しい経済格差,失業者の増加と社会保障体制の未整備,大気汚染や生態環境悪化等の環境問題の顕在化等の様々な政策課題を投げかけており,沿海部の発展に伴い,年々その課題克服の重要性が増している。
 このような状況の下,中国政府は,中国の持続可能な発展,日中両国政府間の相互理解を増進する観点から,「人材育成奨学計画」を策定し,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,これは中国に対するわが国の援助重点分野である相互理解の増進に合致するため実施することとしたものである。
 なお,この計画は,わが国と関わりの深い中央政府および地方政府機関等の若手行政官63名(新規選考48名,既来日15名)を対象に,日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
裨益効果  この計画の実施により育成される人材が,将来,各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに,今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。
人材育成奨学計画
実施年度 平成17年度
供与限度額 平成15年度以前選考学生分:1.74億円
平成17年度選考・18年度来日学生分:5.02億円
(平成17年度:0.49億円,平成18年度:2.51億円,平成19年度:1.57億円,平成20年度:0.45億円)
案件概要  中国経済は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げており,2001年12月に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し,公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを今後の課題としている。
 このような中,改革・開放政策の進展は中国政府にとって,沿海地域と内陸部の著しい経済格差,失業者の増加と社会保障体制の未整備,大気汚染や生態環境悪化等の環境問題の顕在化等の様々な政策課題を投げかけており,沿海部の発展に伴い,年々その課題克服の重要性が増している。
 このような状況の下,中国政府は,中国の持続可能な発展,日中両国政府間の相互理解を増進する観点から,「人材育成奨学計画」を策定し,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,これは中国に対するわが国の援助重点分野である相互理解の増進に合致するため実施することとしたものである。
 なお,この計画は,わが国と関わりの深い中央政府機関等の若手行政官109名(新規選考43名,継続66名)を対象に,日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
裨益効果  この計画の実施により育成される人材が,将来,各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに,今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。
第二次黄河中流域保全林造成計画(第4期)
実施年度 平成17年度
供与限度額 3.69億円
案件概要  中国には1億6,000万ヘクタールの砂漠を含む2億6,000万ヘクタールの荒廃地が存在しており,特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにも及ぶ荒廃地が広がり,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業生産の低下,農地の縮小などの被害が発生している。さらに,中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており,夏季の集中豪雨による洪水,冬季の少雨による流下水の消滅等の災害をもたらしている。
 このため山西省では,同国政府の政策に沿って「山西省生態環境建設計画」を策定し,森林被覆率を2050年までに45%とする目標を立てて植林を推進しているが,広大な荒廃地に広がる貧困地域においては,財政難のため計画どおりに植林活動が進んでいない状況にある。
 このような状況の下,中国政府は山西省における荒廃地緑化のため「第二次黄河中流域保全林造成計画」を策定し,保全林の造成等に必要な資金につき,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり,わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援にも合致するため実施することとしたものである。
裨益効果  なお,今回の4期目においては,約1,270ヘクタールの地域に植林等を行うものである。この計画の実施により,荒廃地の復旧,現地住民への植林技術および植林地の維持管理技術の普及・向上ならびに周辺地域への黄砂の飛散の抑制等が期待される。
リプロダクティブヘルス・家庭保健研修センター機材整備計画
実施年度 平成16年度
供与限度額 2.79億円
案件概要  中国の人口は1950年代以降急激に増加を始め,これを受けて政府は人口抑制政策に取り組み,1979年にはいわゆる「一人っ子政策」を施行した。その結果,人口増加率は1960年代初頭の2.3%から1%程度に抑制されたものの,絶対的な人口増加数は依然として大きく,人口増加が経済社会における重要な課題となっている。一方,改革・開放政策の導入により,中国経済は著しい発展を遂げているが,人口総数が多いことを背景に,特に中西部の貧困地域において,個人レベルの生活水準は依然として低迷している。こうした背景を踏まえ,人口問題の解決が経済と社会の持続可能な発展,国民生活の質的向上に資するものであるとの認識の下,中国政府は家族計画をさらに推進することとし,1984年からは,家族計画,母子保健,寄生虫予防等異なるプロジェクトを,衛生機関,教育機関等異なる実施機関および専門家,行政職,NGO(非政府組織)等異なるレベルの要員が,有機的に結合することで統合的に実施するインテグレーション・プロジェクト(IP)を,わが国NGOである財団法人家族計画国際協力財団(JOICFP)の協力により導入している。IPは現在,全国31省・自治区等において実施され,地域住民の保健衛生に対する意識向上とともに自発的な家族計画が図られるといった成果が得られており,こうした成果を背景に,中国政府はIP活動をさらに全国的に推進することとしているが,そのための要員の育成・確保が急務となっている。このような状況の下,中国政府はIPの全国展開に必要な人材の育成を目的とする研修センターの設立を計画するとともに,「リプロダクティブヘルス・家庭保健研修センター機材整備計画」を策定し,同センターの研修機材及び医療実習用機材を整備するための資金につき,わが国政府に無償資金協力を要請してきたものであり,わが国の対中経済協力計画の重点分野である感染症対策および貧困層を対象とした保健分野への支援にも合致するため実施することとしたものである。
裨益効果  中国におけるIP活動を実施する人材の育成が強化・拡大され,中西部を中心とする地域においてIPの普及・促進が図られることにより,当該地域の住民の保健衛生レベルの向上が期待される。
新疆ウイグル自治区医療水準向上計画
実施年度 平成16年度
供与限度額 11.58億円
案件概要  新疆ウイグル自治区は中国の北西部に位置し,ロシア,モンゴル,アフガニスタン,インド等の国家と隣接する面積約160万km2,人口約1,800万人を有する中国で最大の省級自治区であるが,内陸性の厳しい乾燥気候もあり,経済は全般的に立ち遅れており,自治区内における北部と南部の経済格差も著しい状況にある。
 このような状況から,中国政府は,新疆ウイグル自治区を含む西部地区(12省・自治区)の開発が国全体の経済・社会発展に不可欠であるとの認識の下,「西部大開発計画」を掲げて様々な施策を実施しているが,その中において,辺境・貧困地域に暮らす住民の医療サービスへのアクセス改善,医療サービスの質的向上を目標に掲げている。これを踏まえ新疆ウイグル自治区においても,「新疆医療衛生事業第10次5ヶ年計画(2001から2010年)」の中で,農村地域の医療衛生サービスの整備や,都市部の医療サービスの改善を計画している。一方,新疆ウイグル自治区の保健医療状況は,感染症罹患率が10万人当たり332.9人(全国平均188.6人),妊産婦死亡率が10万人当たり462.8人(同61.9人)と劣悪な状況にあるほか,地理的・風土的・社会的な特性から,循環器・呼吸器疾患,婦人科疾患等が多い状況にあり,医療サービスの向上,地域間格差の是正等総合的な医療水準の向上が必要とされているが,医療財政の不足により十分対応できていないのが現状である。
 このような状況の下,中国政府は「新疆ウイグル自治区医療水準向上計画」を策定し,新疆ウイグル自治区人民病院と,南部地域の和田市人民病院における医療機材整備に必要な資金につき,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり,わが国の対中経済協力計画の重点分野である感染症対策および貧困層を対象とした保健分野への支援にも合致するため実施することとしたものである。
裨益効果  この計画の実施による老朽化した医療機材の更新により,診療精度の向上をはじめとする患者に対する医療サービスの向上が改善され,患者に対する医療充足度の向上が期待される。
第四次貧困地域結核抑制計画
実施年度 平成16年度
供与限度額 4.05億円
案件概要  中国は,WHO(世界保健機関)の2004年報告によると,インドについで世界第2位の結核患者保有国である。また,結核患者の8割近くは青年・壮年層であるため,結核に感染・死亡した場合には患者本人のみならず家族への経済的負担が大きくなり,効果的な治療が受けられない貧困地域の社会発展を阻害する重大な要因となっている。さらに,中国における感染症は,結核のほかに伝染性下痢症,肝炎,性病が主なものであったが,近年HIV/AIDSが流行し始め,エイズ結核も今後顕在化することが予想される。このような中,中国衛生部は2005年までにDOTS(医師の対面指導により毎回の服薬を確認しながら数カ月に亘り薬剤投与を施すことにより完治を目指す治療法)の対象地域を人口の90%までに拡大することにより,2010年までに結核患者を2001年の水準から半減させることを目標に結核対策に取り組んでおり,中国衛生部によるこうした取組に対し,WHO,世銀,民間支援団体,わが国等がそれぞれ連携,協調して支援を行っている。
 このような状況の下,中国政府は,貧困地域の9省,3自治区(四川省,青海省,河南省,江西省,陝西省,安徽省,貴州省,雲南省,山西省,広西壮族自治区,チベット自治区,内モンゴル自治区)における結核患者の抑制を目的とする「第四次貧困地域結核抑制計画」を策定し,対象地域における結核患者の治療に必要な抗結核薬および検査機材の購入に必要な資金につき,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり,わが国の対中経済協力計画の重点分野である感染症対策および貧困層を対象とした保健分野への支援にも合致するため実施することとしたものである。
裨益効果  対象地域において約22万人の結核患者の治療が可能となり,患者本人の結核の治癒とともに,結核の予防および患者の家族の経済的負担の軽減等が期待される。
第二次黄河中流域保全林造成計画(第3期)
実施年度 平成16年度
供与限度額 4.27億円
案件概要  中国には1億6,000万ヘクタールの砂漠を含む2億6,000万ヘクタールの荒廃地が存在しており,特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにも及ぶ荒廃地が広がり,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業生産の低下,農地の縮小などの被害が発生している。さらに,中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており,夏季の集中豪雨による洪水,冬季の少雨による流下水の消滅等の災害をもたらしている。このため山西省では,同国政府の政策に沿って「山西省生態環境建設計画」を策定し,森林被覆率を2050年までに45%とする目標を立てて植林を推進しているが,広大な荒廃地に広がる貧困地域においては,財政難のため計画どおりに植林活動が進んでいない状況にある。
 このような状況の下,中国政府は山西省における荒廃地緑化のため「第二次黄河中流域保全林造成計画」を策定し,保全林の造成等に必要な資金につき,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり,わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援にも合致するため実施することとしたものである。
 今回の3期目においては,約1,300ヘクタールの植林と,植林地の維持管理施設(林道,谷止工等)の整備等を行うものである。
裨益効果  荒廃地の復旧,現地住民への植林技術および植林地の維持管理技術の普及・向上ならびに周辺地域への黄砂の飛散の抑制等が期待される。
日中友好大連人材育成センター建設計画
実施年度 平成16年度
供与限度額 9.68億円
案件概要  中国東北部に位置する遼寧省大連市は,中国東北部有数の国際商業都市であり,全国唯一の「ソフトウエア人材育成基地」の指定を受けるなど,IT産業の拠点としても発展することが期待されている。また,わが国との経済関係で見ると,進出日系企業は約2,150社,わが国からの投資は7.02億ドル(2002年:投資国別1位),対日貿易額は輸出入総額の44.6%を占める58億ドル(2002年)となっており,非常に緊密である。また,中国のWTO(世界貿易機関)加盟に伴い,日本企業の中国進出はさらに活発化しており,大連市も従来の産業分野のほかハイテク産業分野においてわが国からの投資拡大をさらに図ることとしている。こうした流れの中,大連市は,日本語能力に加えIT,工学,経営等の専門知識を持つ人材の育成を優先課題としており,進出日本企業側としても,将来の経営の現地化に向けて優秀な中国人人材を確保する必要があるとしているが,実際のビジネスで通用するレベルの人材供給が追いついていないのが現状である。
 このような状況の下,日本との経済関係を重視する大連市および中国政府は,実用的な日本語能力とIT,工学,経営等の専門技術を兼ね備えた人材の育成を目的とした「日中友好大連人材育成センター建設計画」を策定し,この計画の実施に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
裨益効果  今回の協力により育成された人材が,現地に進出している日系企業に就職することにより,経営の現地化を目指すわが国企業に対する側面的支援につながるほか,日本の企業文化等を理解する人材を育成するという観点から,日中間の相互理解の促進が期待される。
人材育成奨学計画
実施年度 平成16年度
供与限度額 9.49億円
案件概要  中国経済は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げており,2001年12月に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し,公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを今後の課題としている。
 このような中,改革・開放政策の進展は中国政府にとって,沿海地域と内陸部の著しい経済格差,失業者の増加と社会保障体制の未整備,大気汚染や生態環境悪化等の環境問題の顕在化等の様々な政策課題を投げかけており,沿海部の発展に伴い,年々その課題克服の重要性が増している。
 このような状況の下,中国政府は,中国の持続可能な発展,日中両国政府間の相互理解を増進する観点から,「人材育成奨学計画」を策定し,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,これは中国に対するわが国の援助重点分野である相互理解の増進に合致するため実施することとしたものである。
 なお,この計画は,わが国と関わりの深い中央政府機関等の若手行政官115名(新規選考43名,継続72名)を対象に,日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
裨益効果  この計画の実施により育成される人材が,将来,各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに,今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。
黄河中流域保全林造成計画(第3期)
実施年度 平成15年度
供与限度額 3.71億円
案件概要  中国には1億6,000万ヘクタールの砂漠を含む2億6,000万ヘクタールの荒廃地が存在しており,特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにも及ぶ荒廃地が広がり,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業生産の低下,農地の縮小などの被害が広がっている。さらに,中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており,夏季の集中豪雨による洪水,冬季の少雨による流下水の消滅等の現象を発生させている。
 このため中国政府は,1978年から中国内陸中西部および北部の植林を行う「三北防護林造成計画」を実施し,国土の緑化を行い,地域の生活環境の改善に努力しているが,広大な荒廃地が広がる貧困地域においては植林活動が進んでおらず,黄土高原と砂漠に囲まれた貧困地域である寧夏回族自治区に関しても,砂漠化が進行し,風食,風砂による農牧業および住民生活への被害が深刻となっている。
 このような状況の下,中国政府は寧夏回族自治区における砂漠緑化を図る「黄河中流域保全林造成計画」を策定し,保全林の造成等のために必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援に合致したため実施することとしたものである。
裨益効果  今回の3期目においては,約1,200ヘクタールの植林および草本植栽等を行うものであり,この計画の実施により,寧夏平原の砂漠化地域における植生回復とともに,現地農牧民への植林技術の普及,周辺地域への黄砂の飛散の抑制等が期待される。
西安市廃棄物管理改善計画
実施年度 平成15年度
供与限度額 13.23億円
案件概要  中国では,1996年の「固形廃棄物による環境汚染防止法」の公布を受け,同時期に策定された「国家環境保全第9次5ヵ年計画」において都市環境基盤整備が重点課題とされていたが,次に策定された「国家環境保全第10次5ヵ年計画」においても,持続可能な発展を実現するために不可欠なものとして,廃棄物問題の解決を重点課題として位置づけている。
 今回の計画対象である西安市における都市生活廃棄物の量は,現在約3,000トン/日であるが,その処理状況は現状でもかなり逼迫しており,廃棄物の発生量は,今後,市の発展に伴いさらに増加することが予想され,適正な廃棄物処理システムの構築が必要とされている。
 このような状況を踏まえ,中国政府は,1998年にわが国に対し開発調査「西安市生活廃棄物処理計画調査」を要請し,同調査の実施により策定されたマスタープラン等を下に,西安市は「西安市環境衛生施設発展計画」(1995年から2010年)を策定し,この計画に基づき,廃棄物処理システムの効率化と周辺環境に配慮した廃棄物の最終処理の実現を図るため,中継輸送基地の建設,最終処分場の更新等を計画中であるが,財政不足のため実施することは困難な状況にある。
 このような状況の下,中国政府は,「西安市廃棄物管理改善計画」を策定し,廃棄物の中継輸送基地用機材および最終処分場における環境モニタリング機材等の整備に必要な資金につき,わが国政府に無償資金協力を要請してきており,わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野に対する支援と合致したため実施することとしたものである。
裨益効果  中継輸送の導入による単位時間当たりの廃棄物収集量の増加および環境モニタリングの日常的な実施が行われ,効率的かつ適正な廃棄物処理システムの構築が図られるとともに,この計画をモデル事例とした,中国全土への廃棄物処理技術の移転が期待される。
第三次貧困地域結核抑制計画
実施年度 平成15年度
供与限度額 4.49億円
案件概要  中国は,WHO(世界保健機関)の2003年報告によると,インドについで世界第2位の結核患者保有国であり,特に肺結核による死亡率は7.38人/10万人(2001年)と,中国における単一疾病の死亡原因の第一位にある。また,結核患者の4分の3は青年・壮年層であるため,結核に感染・死亡した場合には患者本人のみならず家族への経済的負担が大きくなり,効果的な治療が受けられない貧困地域の社会発展を阻害する重大な要因となっている。さらに,中国における感染症は,結核のほかに伝染性下痢症,肝炎,性病が主なものであったが,近年HIV/AIDSが流行し始め,エイズ結核も次第に顕在化することが予想される。
 このような中,中国衛生部は2005年までにDOTS(医師の対面指導により毎回の服薬を確認しながら数カ月に渡り薬剤投与を施すことにより完治を目指す治療法)の対象エリアを人口の90%までに拡大することにより,2010年までに結核患者を2001年の水準から半減させることを目標に結核対策に取り組んでおり,中国衛生部によるこうした取組に対し,WHO,世銀,ダミアン財団,わが国等がそれぞれ連携,協調して支援を行っている。
 このような状況の下,中国政府は,貧困地域の9省,3自治区(四川省,青海省,河南省,内モンゴル自治区,江西省,陝西省,安徽省,貴州省,雲南省,山西省,広西荘族自治区,チベット自治区)における結核患者の抑制を目的とする「第三次貧困地域結核抑制計画」を策定し,対象地域における結核患者の治療に必要な抗結核薬および検査機材の購入に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,わが国の対中経済協力計画の重点分野である感染症対策および貧困層を対象とした保健分野への支援に合致したため実施することとしたものである。
裨益効果  対象地域において約18万人の結核患者の治療が可能となり,患者本人の結核の治癒とともに,患者の家族の経済的負担が軽減されることが期待される。
第二次黄河中流域保全林造成計画(第2期)
実施年度 平成15年度
供与限度額 5.19億円
案件概要  中国の山西省では,国の政策に沿って「山西省生態環境建設計画」を策定し,森林被覆率を2050年までに45%とする目標を立てて植林を推進しているが,広大な荒廃地に広がる貧困地域においては,計画どおりに植林活動が進んでいない状況にある。
 このような状況の下,中国政府は山西省における荒廃地緑化のため「第二次黄河中流域保全林造成計画」を策定し,保全林の造成等に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,わが国の対中経済協力計画の重点分野である環境分野への支援と合致したため実施することとしたものである。
裨益効果  今回の2期目においては,約1,100ヘクタールの植林と,植林地の維持管理施設(林道,谷止工,監視塔等)の整備等を行うものであり,この計画の実施により,荒廃地の復旧,現地住民への植林技術および植林地の維持管理技術の普及・向上ならびに周辺地域への黄砂の飛散の抑制等が期待される。
青海大学に対する文化無償資金協力
実施年度 平成15年度
供与限度額 0.474億円
案件概要  青海大学は,現在中国政府が取り組んでいる「西部大開発」政策の重点地域の一つ青海省にある唯一の総合大学であり,農牧業,工業技術,社会経済発展に貢献する人材育成を目的とする高等教育機関である。
 同大学は,近年,わが国をはじめとする先進国の科学技術を学ぶため,外国語学習の環境整備に取り組んでおり,特に日本語については,2003年に専門学科,また他学部の学生用に第二外国語の授業を開設した。しかしながら,同大学では,日本語教育を行うための機材を十分に有していないことから,これら機材の整備が急務になっている。
 このような状況の下,中国政府は,青海大学がこれら日本語学習機材を購入するために必要な資金につき,わが国政府に対して文化無償協力を要請してきたものである。
人材育成奨学計画
実施年度 平成15年度
供与限度額 2.59億円
案件概要  中国経済は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げており,2001年12月に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し,公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを今後の課題としている。
 このような中,改革・開放政策の進展は中国政府にとって,「沿海地域と内陸部の著しい経済格差」,「失業者の増加と社会保障体制の未整備」,「大気汚染や生態環境悪化等の環境問題の顕在化」等の様々な政策課題を投げかけており,沿海部の発展に伴い,年々その課題克服の重要性が増している。
 このような状況の下,中国政府は,中国の持続可能な発展,日中両国政府間の相互理解を増進する観点から,「人材育成奨学計画」を策定し,わが国政府に対し無償資金協力を要請してきており,これは中国に対するわが国の援助重点分野(相互理解の増進)に合致するため実施することとしたものである。
 なお,この計画は,わが国と関わりの深い中央政府機関等の若手行政官約40名を対象に,日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
裨益効果  この計画の実施により育成される人材が,将来,各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに,今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。
重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大に対する無償
実施年度 平成15年度
供与限度額 15億円
案件概要  中国では,昨年11月,広東省において初めてSARS感染者が発生して以来,中国全土において,5月14日までに感染者5,124名,死亡者267名が報告されており,特に北京市および北京市周辺の天津市,河北省,山西省,内蒙古自治区等の周辺地域への感染が拡大している。
 現在,中国政府は総力を挙げてSARS感染の拡大防止に取り組んでおり,わが国も中国に対しこれまで累次協力を行っているが,感染者数は増加している。
 こうした状況を受け,医療体制の未整備により更なる感染拡大が強く懸念される内陸部への予防対策等を対象として,わが国政府は,中国側からの追加の支援要請を受け,今回の支援を行うこととしたものである。
裨益効果  今回の協力により,中国におけるSARS感染拡大が早期に終息し,多数の在留邦人を含むわが国国民の健康確保にもつながることを期待する。
漢江洪水予警報機材整備計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 5.3億円
案件概要  漢江は長江の最大の支川として,重要な工業中心地である武漢において長江に合流しているが,この流域は,長江の洪水の影響も受けるため,1998年8月には被災人口770万人,死者65人,経済損失約45億元におよぶ被害が発生している。
 現在,中国政府は,下流域の洪水被害を最小限に食い止めるために洪水警報システムの整備を進めているが,現状では手動による観測と一般電報による下流域への伝達という手法を用いているため,有効な避難警報を伝達できていない状況にある。
 このため,中国政府は漢江の洪水予警報システムを近代化するために必要な資金につき,わが国に対し無償資金協力を要請してきた。
 本計画の実施により,迅速かつ的確な洪水予測と避難警報の発令が可能となり,洪水想定氾濫区域内に住む740万人の被災が軽減されるとともに,中国における洪水被害防御技術のモデルとなることが期待される。
黄河中流域保全林造成計画(第2期)
実施年度 平成14年度
供与限度額 4.89億円
案件概要  中国には,全国で2億6,000万ヘクタール,特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにおよぶ荒廃地が存在し,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業被害のほか,夏季の集中豪雨による洪水等の被害をもたらしている。
 中国政府は1978年から中国内陸中西部および北部において国土の緑化を行い,地域の生活環境の改善に努力しているが,特に寧夏回族自治区を含む貧困地域においては植林活動が十分進んでいないのが実態である。
 このため,中国政府は寧夏回族自治区における保全林の造成等のために必要な資金につき,わが国対し無償資金協力を要請してきた。
 本計画の実施により,砂漠化地域の植生回復とともに,現地農牧民への植林技術の普及,周辺地域への黄砂の飛散抑制等が期待される。
広西天湖貧困区貧困救済計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 6.7億円
案件概要  中国は,近年めざましい経済発展を遂げているが,これに伴う沿海部と内陸部の経済格差は著しく,地域間格差の是正が大きな政策課題となっている。
 本件の対象である広西天湖貧困区は,貧困人口の多い広西壮族自治区の中でも最も深刻な貧困地域であり,年収850元(約1万3,000円)以下の住民が約7割(約9万4,000人)を占めている。また,同区は,全体の7割以上がカルスト地形であり,飲料水となる水源が少なく,婦女子が水汲みという重労働を強いられているほか,電力供給のための配電機材の設置も資金不足から遅れており,貧困脱却に向けての深刻な問題となっている。
 このため,中国政府は,貧困脱却のモデルとして本計画を策定し,給水,配電機材等の購入に必要な資金につき,わが国に対し無償資金協力を要請してきた。
 本件の実施により,最貧困住民に給水,電力供給が行われ,基礎的な生活条件の改善,重労働からの開放等が図られることが期待される。
人材育成奨学計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 3.63億円
案件概要  中国経済は,改革・開放政策の進展に伴い,沿海部を中心にめざましい発展を遂げている。また,WTO(世界貿易機関)加盟に伴い,公平・公正な国際ルールに基づく対外経済関係の構築が今後の課題となっている。
 一方,沿海部の発展は,「沿海地域と内陸部の経済格差」,「失業者の増加と社会保障体制の未整備」,「大気汚染や生態環境悪化等の環境問題の顕在化」等の様々な政策課題を投げかけており,年々これら課題克服の重要性は増している。
  このため中国政府は,中国の持続可能な発展,日中両国政府間の相互理解を増進する観点から「人材育成奨学計画」を策定し,わが国に無償資金協力を要請してきた。
 本計画は,中央政府機関の若手行政官40名を対象に,法律,経済,経営,公共政策の4分野において,わが国の大学院における修士号取得を前提とした留学に必要な経費を支援するものであり,中国政府の人材育成,日中両国の政府レベルの相互理解の増進が期待される。
内陸部救急医療センター機材整備計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 9.95億円
案件概要  中国においては,自動車普及に伴う交通事故や工場・建設現場での労災事故の多発,心疾患,脳血管障害等の発生の増大等の状況が見られ,緊急処置を要する救急患者の増加が著しく,救急医療においては,国土の広大なこともあり,現場及び搬送中の初期治療が極めて大きな役割を果たしている。
 このような背景の下,中国政府衛生部は,救急医療サービス体制の整備を医療政策の最優先課題として掲げ,2000年までに大都市と大部分の中規模都市に,2010年までに中規模都市全市と小都市の一部分に救急医療センターを整備することを目標とする「救急センター整備構想」を1994年に作成したが,特に内陸部地域において,救急治療に不可欠な車両・機材の整備が進まず,緊急連絡があっても救急車が対応できない事態が多発している。
 このような状況の下,中国政府は,9省・自治区(10都市)における救急センターの救急車両及び救急医療機材の整備の実施に必要な資金につき,わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
裨益効果  対象都市の医療体制整備が促進されることが期待される。
第二次黄河中流域保全林造成計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 1.79億円
案件概要  中国には,全国で2億6,000万ヘクタール,特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,500万ヘクタールにおよぶ荒廃地が存在し,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業被害のほか,夏季の集中豪雨による洪水等の被害をもたらしている。
 中国政府は1978年から中国内陸中西部および北部において国土の緑化を行い,地域の生活環境の改善に努力しているが,山西省を含む貧困地域においては植林活動が十分進んでいないのが実態である。
 このため,中国政府は山西省における保全林の造成等のために必要な資金につき,わが国対し無償資金協力を要請してきた。
 本計画の実施により,砂漠化地域の植生回復とともに,農地,家屋等の保全,現地農牧民への植林技術の普及,周辺地域への黄砂の飛散抑制等が期待される。
第二次貧困地域結核抑制計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 4.02億円
案件概要  WHO(世界保健機関)の2001年報告によると,中国はインドに次ぎ世界第2位の結核患者保有国であり,結核は中国における単一疾病の死亡原因の第一位である。また,結核患者の3/4は青年・壮年層であるため,結核患者の家族への経済的負担も大きく,貧困地域の社会発展を阻害する重大な要因となっている。このため中国衛生部は,2010年までに,2000年の水準から結核患者を半減させることを目標に結核対策に取り組んでおり,WHO,世銀,わが国等が連携・協調して支援を行っている。
 このような状況の下,中国政府は,中国貧困地域(9省・3自治区)における結核患者を抑制するため,対象地域における結核患者の治療に必要な抗結核薬および検査機材の購入に必要な資金につき,わが国に無償資金協力を要請してきた。
 本計画の実施により,対象地域において約8万7千人の結核患者の治療が可能となるとともに,患者の家族に対する経済的負担の軽減が期待される。
第二次中等専業教育学校機材整備計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 12.68億円
案件概要  中国の教育政策においては,貧困地域住民を対象とする貧困脱却のための施策として中等学校卒業者等を優秀な技術者として養成することを重点分野としており,各省・自治区の中等専業教育学校を統合し,モデル校を設置して専門教育の向上を図っているが,多くの学校で資金不足により教育機材が十分整備されていない状況にある。
 このため中国政府は,内陸部7省・自治区を対象として,モデルとなる中等専業教育学校を選定し,模範的な技術教育を実施するための教育機材(視聴覚教育機材,語学教育機材等)の購入に必要な資金につき,わが国に対し無償資金協力を要請してきた。
 本計画の実施により,貧困地域住民の青少年に技術習得の機会を与え,各地域の需要に応じた人材の育成が期待される。
長春中日友好浄水場制御設備改善計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 9.99億円
案件概要  1986年に無償資金協力によって建設された「長春中日友好浄水場(万里副総理(当時)が命名)」は,初めての先進浄水場として国内で注目され,他都市からの研修生を受け入れるなど,長春市民への安定的な水供給のみならず,「モデル浄水場」,「日中交流のシンボル」としての役割を果たしてきた。
 しかしながら,供用開始以来15年が経過して浄水場全体の制御システムが十分機能せず,故障の頻発,漏水,給水能力の低下を引き起こすようになり,長春市における産業および生活用水の安定的な供給に支障を来している。
 このため,中国政府は,老朽化した浄水場の制御システム整備に必要な資金につき,わが国に対し無償資金協力を要請してきた。
 この計画の実施により,長春市における安定的な給水,水質の確保,浄水場経営の効率化が図られることが期待される。
環境情報ネットワーク整備計画
実施年度 平成11年度及び平成13年度
供与限度額 9.40億円,10.51億円
案件概要  中国では,急速な経済発展に伴い,硫黄酸化物,窒素酸化物の排出量の増大,酸性雨被害の増大等の公害が深刻化している。これらの公害は,海を越え日本にも影響を及ぼす問題であり,地球的規模の環境問題である。
 このような環境問題に対処するには,法的規制,技術改良などが必要であるが,そのためにもまず正確かつ迅速なデータの収集および分析が必要である。また,環境問題は行政区画を越えて影響を与えるものであり,個々の市が別々に情報を所有しているより,それぞれが情報を共有し合うことが政策決定上重要である。
 このような状況の下,1997年9月の日中首脳会談において,国,省,市,県の各レベルの環境情報ネットワークの整備について日中双方が努力していくことが提案された。本件は,中国国内の100都市においてLAN構築等のためのコンピュータおよび国家と都市を結ぶWAN構築に必要な衛星通信機材の供与する案件である。
 この計画の実施により,大気,水質等の調査結果の速やかな収集及び分析,情報の共有が可能となり,必要な環境政策の立案に資するものと期待される。
写真6
黄河中流域保全林造成計画
実施年度 平成12年度~平成15年度(予定)
供与限度額 平成12年度(詳細設計)0.48億円,平成13年度7.96億円
案件概要  中国には1億6,000万haの砂漠を含む2億6,000万haの荒廃地が存在する。特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,300万haにも及ぶ荒廃地が広がっており,土砂流出,飛砂,風蝕等による農業生産の低下,農地の縮小などの被害が広がっている。中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており,夏季の集中豪雨による洪水,冬季の少雨による流下水の消滅等の現象を発生させている。
 中国政府は1978年から中国内陸中西部および北部の植林を行う三北防護林造成計画を実施し,国土の緑化に努力しているところであるが,特に広大な荒廃地が広がる貧困地域においては,植林活動が進んでいないのが実態である。黄土高原と砂漠に囲まれた貧困地域である寧夏回族自治区に関しても,砂漠化が進行し,風食,風砂による農牧業および住民生活への被害が深刻である。
 本件は,寧夏回族自治区においてモデル的な森林を4,269h造成し砂漠化地域における植生の回復を図るとともに,現地農牧民への技術普及を行う案件である。
 この計画の実施により,黄砂の飛散の抑制・農放の生活条件の改善が期待される。
写真5
重慶市母子保健医療機材整備計画
実施年度 平成13年度
供与限度額 11.48億円
案件概要  重慶市は,中国の南西部,長江の上流域に位置し,面積は約8万2千km2で北海道の面積とほぼ等しく,人口約3千百万人。重慶市は中国で北京,上海,天津市に次ぐ4番目の直轄市となっているが,生産性の低い農村部人口が全人口の8割を占め,かつ山地,丘陵面積が90%以上を占める地形的制約もあり,一人当たりGDPは国内平均を大きく下回っている現状にある。
 重慶市では,1995年に「重慶市婦幼発展計画」を策定し,母子保健サービスの改善に向けて努力しているが,医療機材の不足,地方の医療従事者の知識不足,地域住民の母子保健に対する低意識もあり,妊産婦死亡率や5歳未満児死亡率は中国全国平均に比して大きく上回っている現状にある。
 本件は,重慶市の母子保健を総合的に向上させるため,各医療施設のレベル(重慶医科大学附属児童病院,重慶市婦幼保健院,32の区・県婦幼保健院)に応じた診療,教育機能を充実させるために必要な機材(小児用電子内視鏡,新生児モニターなど)を供与する案件である。
 本件協力により,重慶市における妊産婦,乳幼児の死亡率の低下が期待されるほか,重慶市には約30社の日本企業が進出し,約150名の日本人も駐在しており,現地日本人の母子保健の向上にも効果が期待される。
西部七省・自治区感染症予防推進計画
実施年度 平成13年度
供与限度額 4.06億円
案件概要  中国は予防接種普及活動を1982年より開始し,感染症の抑制,子供の健康保護に取り組んでいる。なかでもワクチン接種は感染症コントロールの最も簡便かつ効果的な手段であり,接種を末端の現場で行うためには,ワクチンを保冷下において安全に移送,保管するコールドチェーンネットワーク(CCN:北京の生物製品研究所→省・自治区・直轄市衛生防疫センター→市,県衛生防疫センター→郷(鎮)衛生院→村衛生室)の構築が不可欠であるが,未だ整備が遅れており,効果的な予防接種が行われていない状況にある。
 このような状況に対し,現在,我が国の専門家が,予防接種率の向上,適切なサーベイランスの実施のための技術協力として「予防接種事業強化プロジェクト」を実施中である。
 本件は,技術術協力や,WHO(世界保健機関)等のドナー(援助国・機関)とも連携し,西部貧困地域における効果的な予防接種を実施するため,CCNに必要な保冷車等の機材及び末端現場で接種を行う医師への教育に必要なプロジェクター等の機材を供与する案件である。
中等専業教育学校機材整備計画
実施年度 平成12年度,平成13年度
供与限度額 平成12年度9.17億円,平成13年度13.68億円
案件概要  中国の教育政策においては,貧困地域住民の貧困脱却のための施策として,中等学校卒業者等を優秀な技術者として養成することを重点分野としている。このため,中国政府は各省・自治区の中等専業教育学校を統合し,モデル校を設置して専門教育の向上を図っているが,多くの専業教育学校が資金不足のため教育機材が不足している状況にある。
 本件は,黒龍江省,吉林省,湖南省,貴州省,江西省において各省一校づつモデル中等専業教育学校を選定し,模範的な技術教育を実施するための教育機材(視聴覚教育機材,語学教育機材等)を供与する案件である。
 この計画の実施により,貧困地域住民の青少年に技術習得の機会を与え,各地域の需要に応じた人材の育成が期待される。
北京日本学研究センター拡充計画
実施年度 平成13年度
供与限度額 8.5億円
案件概要  北京日本学研究センター(以下「センター」)は,中国における日本語・日本研究,日本との交流に携わる人材の養成を目的として,国際交流基金および中国教育部双方の協力により,1985年に設立された教育・研究機関である。(前身は1980年に創立された「日本語研修センター」(通称「大平学校」))
 このセンターは,これまで修士課程終了者約300名,博士課程修了者約40名,日本語研修生約300名を輩出し,中国における日本研究の中心的な役割を担っており,センターの卒業生は現在中国各地方の日本語教師などとして活躍している。
 センターは,北京外国語大学の第2教学楼内に1950年代に建設された建物を使用しているが,老朽化が著しく,また,中国で最も多く日本関係図書を所蔵する図書館の安全性にも不安があり,新施設の建設が強く求められていた。
 このような状況の下,平成11年7月の日中首脳会談(小渕恵三元総理訪中時)において,日中の知的分野での交流を促進することが合意された。
 本件は,センターの教育・研究環境の向上と,学術共同利用機関としての機能の強化のため,日本語や日本文化を学ぶ学生のための自習室やコンピュータ室,一般の方にも開かれた図書情報資料館,センターの活動を対外的に示す場としてのホールなどを備えた,日本学研究の中核としてふさわしい施設を建設するものである。
 本件実施により,中国における日本研究の充実,日本を理解する人材の育成,日中の知的交流の深化が期待される。
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陜西省人民病院医療機材整備計画
実施年度 平成12年度
供与限度額 13.86億円
案件概要  陜西省は,中国内陸部の中心省であり,中国政府が推進する西部大開発計画における中心地域と位置付けられているが,貧困人口が集中しており,一人当たりGDPでは全国平均の約65%に留まっている。
 陜西省の省都西安市に所在する陜西省人民医院は,陜西省のトップレファラル病院として,診療,疾病予防,保健サービスを全省の一般市民に提供している。また,医療従事者への教育,農村地域への医療指導,西北地区の他省からの患者,観光地西安を訪れる外国人に対する診療等の任務も担っているが,医療機材等の不足のため,実際には求められている任務を果たせず,他医院への患者の移送等も行われている。本件は,中国政府における新病院の建設と併せて,医療活動に必要な医療機材を供与する案件である。
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日中農業技術研究開発センター機材整備計画
実施年度 平成12年度
供与限度額 14.44億円
案件概要  中国の人口は,今後2030年までに16億人にも達すると予測されており,現在の食糧生産体制では将来的に国内の食糧需要に対応できなくなることが予想されている。また,現在でも内陸部を中心とした貧困地域では,十分な食糧生産ができない上に,過度な耕作等のため土地の荒廃を引き起こすなど環境の悪化に拍車をかける状況となっている。さらに,頻繁に発生する旱害,洪水等の自然災害,農薬・化学肥料等の多用による地下水等の汚染など,農業において解決すべき問題は数多く存在している。
 このような状況を踏まえ,環境に配慮しつつ安定的な食糧自給を確保していくための実用的な研究開発および中国全土への成果の普及を図る中心的な組織として,中国政府は,「日中農業技術研究開発センター」を設立した。本件は,技術協力と連携して,同センターにおける研究活動の実施のために必要な研究・分析機器を供与する案件である。
貧困地域結核抑制計画
実施年度 平成12年度~
供与限度額 平成12年度 3.21億円
案件概要  世界保健機関(WHO)の2001年報告によると,中国はインドについて世界第2位の結核患者保有国である。肺結核による死亡率は7.39人/10万人であり,結核は中国における単一疾病の死亡原因の第一位である。また,結核患者の3/4は青年・壮年層であるため,結核に感染・死亡した場合には患者本人のみならず家族への経済的負担が大きくなり,効果的な治療が受けられない貧困地域の社会発展を阻害する重大な要因となっている。
 さらに,中国における感染症は,結核のほかに伝染性下痢症,肝炎,性病が主なものであったが,近年HIV/AIDSが流行し始め,エイズ結核も次第に顕在化することが予想される。
 こうした状況の下,中国衛生部は2005年までにDOTS(医師の対面指導により毎回の服薬を確認しながら数カ月に渡り薬剤投与を施すことにより完治を目指す治療法)の対象エリアを人口の90%までに拡大することにより,2010年までに結核患者を2000年の水準から半減させることを目標に結核対策に取り組んでおり,中国衛生部によるこうした取組に対し,WHO,世銀,ダミアン財団,我が国等がそれぞれ連携,協調して支援を行っている。
 本件は,国際機関とも連携し,中国内陸部貧困地域(9省,3自治区)において,抗結核薬や検査機材を供与するものである。
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  • ODA民間モニターよりの報告
貴州省フッ素症対策・医療機材整備計画
実施年度 平成11年度
供与限度額 10.10億円
案件概要  貴州省黔南(けんなん)布依族苗族自治州では,石炭燃焼を原因とするフッ素中毒症(フッ素が歯の表面に付着しフッ素斑ができる「フッ素斑歯」,フッ素が骨まで浸透し肘,膝等が変形する「フッ素骨症」等)が深刻な状況であり,身体の異常から労働に支障をきたし,貧困に拍車をかけている。
 中国政府は,フッ素発生のもととなるかまどの改良,清浄な飲料水の確保,保健衛生の広報活動の実施,州,県,郷・鎮の各レベルへのフッ素症予防治療機関の設置など種々努力している。本件は中国政府と連携して,フッ素症をはじめとする貧困地域住民へ適切な医療を提供するため,医療機材や検査機材を供与。
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青海省牧畜越冬保護機材整備計画
実施年度 平成11年度
供与限度額 3.45億円
案件概要  青海省果洛チベット族自治州はチベット高原の北部に位置し,チベット族が95%を占める少数民族自治州である。主産業は自然草原に依存したヤク,馬,綿羊,山羊等の牧畜であるが,厳しい自然条件のため経済開発が遅れた貧困な地域となっている。さらに,冬季には,交通が遮断され,飼料不足により餓死する家畜も多く,冬季の緊急支援体制の強化も併せて重要な課題である。
 このため中国政府は同自治州において,家畜の越冬用畜舎建設,備蓄飼料生産用の人工草地の造成などを柱とする牧畜民支援プログラムを実施している。本件は,中国政府による本プログラムと連携して,雪害対策のための機材を供与。
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全国救急人員訓練センター機材整備計画
実施年度 平成11年度
供与限度額 3.03億円
案件概要  国土が広い中国では,救急患者を病院に搬送するために時間がかかるため,特に内陸部の中小都市においては,院前救急(現場での初期治療および搬送中の医療行為)の充実を進めることが重要である。
 このため,中国政府は,全国を対象とした救急人員の訓練センターを上海に設立し,救急医療従事者の育成に努めている。
 本件は,中国政府による新センターの建設と併せて,救急医療教育機材および実習機材等を供与し,救急人材の育成を行う案件である。
第四次少数民族地区中等学校教育機材整備計画
実施年度 平成11年度
供与限度額 5.22億円
案件概要  中国には漢民族の他に55の少数民族があり,その合計人口は9,000万人を超える。主要居住地は5自治区,30自治州,124自治県にわたり全国総面積の約64%に広がっているが,その経済・教育水準は低く,生徒・児童数に対する教職員数も他地区に比べて少なく,施設の整備水準も低い。
 このため我が国は中国政府と連携して,少数民族地区の教育普及を図るため,四期分けで各省のモデル校を対象として教育機材の整備を実施した。本件はその第四次として,チベット自治区,四川省,河北省のモデル校に対して教育機材を整備し,四次合計では,15省1市,17校に支援が行われた。
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