ODA(政府開発援助)
カリブ諸国における人間の安全保障のための効果的な強靱性構築:強化された農業(農業・漁業関連小規模ビジネスを含む)における ジェンダー平等及び女性のエンパワーメント
令和元年9月30日
- 2019年6月24日,人間の安全保障基金により,「カリブ諸国における人間の安全保障のための効果的な強靱性構築:強化された農業(農業・漁業関連小規模ビジネスを含む)におけるジェンダー平等及び女性のエンパワーメント」プロジェクトに対して約197万米ドルの支援を行うことが決定されました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国の主導により国連に設置されたものです。
- このプロジェクトは,国連女性機関(UN-Women),国際労働機関(ILO)及び国連開発計画(UNDP)により共同で実施されます。
- カリブ諸国では対外債務の蓄積により保健,教育,インフラ,社会保護等の開発や人間の安全保障に不可欠な分野に資金が充てられず,貧困や所得不平等が拡大しています。これら課題に対処しようとする「国連マルチカントリー持続可能な枠組(UNMCSDF)」は,包摂的で公平で繁栄,健康,安全を確保し,持続可能で強靱な国造りを優先項目に掲げています。カリブ諸国においてジェンダー不平等は深刻であり,個人,家族,コミュニティレベルの経済機会が失われており,上記のUNMCSDFの優先項目を達成するためには横断的に解決しなければならない課題となっています。本件プロジェクトは,ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントに焦点を当て,伝統的に女性が多く雇用されている農業・漁業分野を対象とし,技術協力,コミュニティ支援,政策改革等を行うものです。
- 具体的には,3か年の実施期間において,主に5か国(アンティグア・バーブーダ,バルバドス,ドミニカ国,グレナダ及びセントルシア)の50のコミュニティをベースに下記の支援を行います。
- (1)女性向け農業・漁業関連ビジネス支援(関連省庁における評価メカニズムの設置,防災・気候変動のリスクへの対応に関する参加型レビュー等)
- (2)ジェンダーの観点からの社会保護,保険,金融商品の開発及び女性世帯主等の取り残されたグループによるこれらへのアクセス確保
- (3)マーケットへのアクセス向上のための取組(不動産登記制度改善,ビジネス機会の特定に関するガイダンス,マーケット機会・価格・契約・リーダーシップ等に関する研修等)
- (4)コミュニティの強靱性向上(半数が女性で15%が若者で構成される各種組合の設立及びこれら組合に対するマネージメント支援,災害を想定した国レベルの早期警戒メカニズム設置等)
- (5)人間の安全保障アプローチの主流化(ジェンダー平等と人間の安全保障の関係性に関する政策決定者への啓発向上等)
- 上記支援のうちは,農業・漁業関連ビジネス支援では約12,500人に,コミュニティ支援では約30,000人に直接裨益する他,政策改革面では14のカリブ諸国にインパクトを与え,関連の省庁や女性関連機関にも良い影響を及ぼします。
- この事業が実施されることにより,カリブ諸国における女性を中心として脆弱な人々に対する人間の安全保障が推進されることが期待されます。