ODA(政府開発援助)

平成28年4月6日

原稿執筆 在インド日本国大使館

ブータン 国民総幸福量(GNH)を尊重する国

 ブータンは,南アジアに位置する人口約76.5万人,約3.8万平方キロメートル(九州とほぼ同じ),北側は中国,南側はインドに接し,ヒマラヤ山脈南麓に位置する内陸国です。親日的で,顔だちも日本人に似ており,米を主食とするなど日本との類似点も多くあります。

 ブータンは,国民総幸福量(GNH: Gross National Happiness)という理念を憲法に掲げ,国づくりを実践していることで有名です。2005年に行われた国勢調査では国民の97%が幸せと回答し,「幸福の国」として世界中で知られるようになりました。

 しかし,この「幸福の国」でも生活上の基礎インフラである電気の普及率が低いという課題がありました。ブータンは豊富な水資源を利用した水力発電により十分な電力を有しているにも関わらず,総人口の約70%が生活する地方農村部の世帯の約半分の人々は電気のない生活を送っていたのです。電気のない暮らし・・・,停電を思い浮かべてみてください。冷蔵庫や洗濯機は使えず,携帯電話の充電もできません。ロウソクやランプで部屋を照らしても,電気の明かりのように部屋全体を照らすことは難しいのです。

地方の電化事業

 このため,日本は「地方電化マスタープラン」(地方の電力普及(電化)を進めるための基本計画)の作成に協力するとともに,その調査結果に基づいて,有償資金協力により,約18,700世帯の電化を支援した結果,地方農村部における世帯電化率は54%(2008年)から97%(2014年)へと改善しました。これにより,明るい部屋の中での炊事や学習など夜間活動の幅が広がり,部屋だけでなく農村部に住む人々の顔も今まで以上に明るくなりました。また,ロウソクやランプのスス煙が原因となる呼吸器や目の疾患が抑制されるとともに,ケロシン等の化石燃料や薪炭材の使用の削減により,森林伐採や温室効果ガスの排出削減につながることが予側され,環境保護及び気候変動対策の観点からも効果が期待されています。

友好国ブータン

  (電化前)ケロシンランプで暮らす人々
  (電化後)電気の明かりの下での炊事

 このような日本の活動に対し,ブータンの国王から一般国民に至る様々なレベルから累次にわたり感謝の意が表されています。また,これまでもブータンは日本の国連安保理常任理事国入りを一貫して支持するなど,国際場裏においても両国は確固とした協力関係を構築しています。人々の役に立つ日本の支援は,今後も親日国ブータンと日本の友好を深めていくことでしょう。

  電気が初めてついた日の村人たちの笑顔
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