ODA(政府開発援助)

平成27年12月21日

原稿執筆 在カンボジア日本国大使館

カンボジアVS日本,代表戦の舞台裏では・・・

 11月17日,サッカーのカンボジア代表は,ワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア2次予選で日本代表と対戦した。プノンペンのスタジアムを埋めた約3万人の観衆が熱い声援を送るなか,カンボジア代表は一回りも体格が違う日本代表選手たちを相手に一歩も引かず,果敢に攻め,守った。試合は2-0で負けたが,だれもがカンボジア選手たちの成長を実感した。
 1995年の国際試合復帰から20年。1972年にはアジアサッカー連盟(AFC)アジアカップで4位にもなったことがあるカンボジアだが,長い内戦と混乱でスポーツはこの国から跡形もなく姿を消した。その後のサッカー復興には,何人もの日本人が関わっている。

日本人審判,カンボジアサッカーの礎を築く

 2008年以降,JICAのシニアボランティアとして派遣されている唐木田徹さんは,カンボジアサッカー連盟の審判ダイレクターをつとめる。唐木田さん自身,日本サッカー協会(JFA)1級審判インストラクターであり,派遣はJFAがアジア全体のレベル向上に取り組むJFAアジア貢献事業の一環でもある。
 プロチームから路地裏の裸足の少年まで,広く国民に愛されているサッカーだが,審判の育成はほとんどされていなかった。試合を振り返るための録画機器さえない状態で,ただ「審判は選手より偉い」と絶対服従をさせているだけだった。唐木田さんは,審判は「権力者ではなく,正しい競い合いができるよう試合と選手を守るためにいる」ことから教えた。「尊敬される審判になれ」。唐木田さんの教えが,カンボジアサッカーの礎となっている。

日本のサポートで,大輪の花,再び

  指導中の唐木田徹さん

 また,サッカーJ1「べガルタ仙台」で現職のコーチである壱岐友輔さんは,2013年からJICAの青年海外協力隊員として,カンボジアの15歳以下の選手の育成・指導に当たっている。カンボジアは,2014年にタケオ州にカンボジアフットボールアカデミーを設立。2023年に同国で開催予定の東南アジア競技大会での活躍を目指し,全国から選ばれた25人の若手選手たちが寄宿舎生活を送りながら,壱岐さんらの指導を受けている。
 このほかにも,JFAから派遣され,カンボジアサッカー連盟の技術委員長をつとめる小原一典さん,そしてプロリーグでは15人もの日本人選手が活躍している。戦禍に摘まれた大輪の花が再び咲くのは,もうすぐかもしれない。

  カンボジアの15歳以下の選手指導にあたっている壱岐友輔さん
  2023年の東南アジア競技大会を目標に
練習に励む若手選手たちと壱岐友輔さん
(右から3番目)
  2015年11月17日にプノンペンで開かれた
W杯2次予選。世界で活躍する日本の選手は
カンボジアでも人気が高い
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