ODA(政府開発援助)
アジア太平洋障害者センター(APCD)
全ての「人」が輝ける世界を作る
原稿執筆 在タイ日本国大使館
国際協力で広域的・包括的な障害者の社会参加を目指す!
アジア太平洋障害者センター(APCD: Asia-Pacific Development Center on Disability)は,アジア太平洋地域の障害者の地位向上を目的としたタイ王室が後援する財団である。APCDは,国連アジア太平洋経済社会委員会が提唱した「アジア太平洋障害者の十年」に基づき,タイ政府と日本政府・JICAの協力により2002年に設立された。
APCDは,JICA技術協力プロジェクトや日ASEAN統合基金(JAIF)等による支援を活用しながら,障害者団体・リーダーの育成,地域ネットワークの構築,バリアフリー社会の構築に力を入れており,国際協力を志す日本人大学生の研修グループやインターンシップ,青年海外協力隊等も広く受け入れている。
「オールジャパン」で障害インクルーシブな開発を支援


具体的な事例の一つとして,APCDがメコン川流域を対象に実施している「障害者に優しい街づくりプロジェクト」が挙げられる。農村市場のアクセス改善を障害者の視点で行うことで,障害者のみならず高齢者,妊婦等の幅広いコミュニティ住民が市場を活発に利用するようになり,貧困削減につながっている。また,メコン川流域の日系企業が趣旨に賛同し,現地従業員・家族が障害者及び他の住民と継続して事業に関わるようになる等,地域に根付いた障害インクルーシブな開発活動が展開されている。
このようにAPCDが日本・ASEAN各国との関係強化・国際貢献の向上に寄与してきたことが高く評価され,本年6月,APCD理事会議長のテート・ブンナーク氏に対し,日本政府より旭日重光章が授与(PDF)された。
また2015年8月31日には,APCDと日本の外務省の共催による国際会議を東京で開催予定である。日本に招待したASEAN各国の障害分野の政策担当者に,日本の障害者福祉施策の紹介を行うとともに,今後の障害分野の国際協力のあり方について議論を行う予定である。
こうした活動を通じて,APCDはアジア太平洋地域に広く「日本の顔が見える支援」を展開している。
