アフリカ開発会議(TICAD)
第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の開催
(8月29日)
8月29日(水曜日),横浜において第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の第2日目が開催されたところ,概要は以下のとおりです。安倍晋三内閣総理大臣は,第1日目に引き続き出席し,共同議長を務めました。また,麻生太郎副総理が議長代理を務めたほか,河野太郎外務大臣を始め,関係各省の大臣等が出席しました。
さらに,本29日,安倍総理は,ウガンダ,モーリタニア,ブルキナファソ,ジブチ,南スーダン,エチオピア,アンゴラ,ギニアビサウ,サントメ・プリンシペ,カーボベルデ,ナイジェリア,ルワンダ,セネガル,ニジェール,中央アフリカ,モーリシャス,ナミビア及びシエラレオネの計18か国との会談を実施しました。また河野外務大臣は,エリトリア,ガボン,ボツワナ,ケニア,ジンバブエ,チャド,ソマリア及びエジプトの計8か国や国際機関との会談を実施しました。
1 全体会合3
(1)「官民ビジネス対話」の題名の下,TICAD史上初めて民間企業を公式なパートナーと位置付け,アフリカの官民と日本の官民が直接対話する場となりました。
(2)冒頭安倍総理から,日本とアフリカ間のビジネス関係強化を目的とした「アフリカビジネス協議会」が発足したことを紹介し,日本企業,特に若手起業家が将来の可能性にあふれるアフリカに進出することを政府が後押ししていく旨を表明しました。エルシーシ・エジプト大統領からは,アフリカの持続可能な開発のためには,民間部門とのパートナーシップが重要であることを指摘するとともに,官民の発言者から,日アフリカ間の貿易,投資を拡大するための具体的な提案がなされ,日本の直接投資拡大や現地における人材育成への強い期待が表明されました。
2 全体会合4
(1)「持続可能で強靱な社会の深化」の柱の下,包摂的かつ持続的な経済成長や人間の安全保障の基盤として不可欠な保健の課題解決に向けた,アフリカにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)の更なる推進を確認しました。また,保健・財政当局の連携強化を通じた持続可能な保健財政等の保健システム強化,能力開発の強化,感染症・非感染性疾患対策,母子保健,栄養改善及び水・衛生,民間セクターとの連携促進他,効果的な施策が議論されました。また,ひと,技術,イノベーションに注目し,科学技術イノベーション(STI),防災と気候変動,人材育成と教育及び女性や若者のエンパワーメントの分野での取組についても議論が行われました。
(2)麻生共同議長代理は,これらの取組を推進するにあたり,民間投資の活用が有用であり,アフリカ健康構想に多くの賛同が示されたのはその証であること及び科学技術に留まらず,革新的なビジネスモデルや手法等も含めたイノベーションが重要となる旨述べました。アフリカ側共同議長代理を務めたサル・セネガル大統領からは,本会合で議論された課題に対応するため,日本,アフリカ諸国,国際機関,市民社会等との様々なレベルでのパートナーシップを強化していくことを呼びかけました。
(3)また,メリンダ&ビル・ゲイツ財団によるビデオメッセージが上映されるとともに,スティグリッツ・コロンビア大学教授からもアフリカの持続可能な経済成長のためには産業技術革新を推進すると共に,雇用,保健,環境等の分野においても強靱な社会を築く必要がある発言があり,また,アフリカ各国,国際機関,市民社会等からもTICADを通じた保健・社会分野への取組に対する強い期待が表明されました。
3 テーマ別会合((ア)科学技術イノベーション,(イ)人材育成・若者のための教育,(ウ)農業,(エ)気候変動・防災及び(オ)ブルーエコノミー)
(1)各会合に日本側から関係省庁の閣僚・政務等が以下のとおり出席し日本の取組等についてスピーチを行いました。
(ア)科学技術イノベーション | : | 平井卓也内閣府特命担当大臣(科学技術政策) |
(イ)人材育成・若者のための教育 | : | 萱島信子JICA上級審議役兼研究所主席研究員 |
(ウ)農業 | : | 吉川貴盛農林水産大臣 |
(エ)気候変動・防災 | : | 城内実環境副大臣 |
舞立昇治内閣府政務官 | ||
(オ)ブルーエコノミー | : | 河野太郎外務大臣(議長) |
石井啓一国土交通大臣 | ||
佐藤正久外務副大臣 | ||
山田賢司外務大臣政務官 |
(2)河野外務大臣はブルーエコノミーに関するテーマ別会合の議長を務め,冒頭,アフリカのブルーエコノミー推進にも資する,連結性強化や海洋エネルギー資源開発,内水養殖を含む水産資源の利用,海賊対処行動を始めとする海洋安全保障に関する取組を紹介するとともにブルーエコノミー分野で1,000人の人材育成を行う旨発表しました(仮訳(PDF)/英文(PDF))。参加したアフリカ諸国の首脳等からは,日本の取組に対する謝意が表明されるとともに人材育成の重要性が改めて述べられました。また,プラスチックごみ対策を始めとする海洋環境の保全や,漁業資源の持続的活用等が必要であること,及び,持続可能なブルーエコノミーの恩恵を享受する上で,法の支配に基づく海洋秩序の確立が重要であること等の意見が表明されました。