ODA(政府開発援助)

令和8年3月26日

評価年月日:令和8年3月3日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子

1 案件概要

供与国名

 インド

案件名、実施機関、供与限度額、供与条件

案件名 実施機関 供与限度額 金利(注) 償還(うち据置)期間 調達条件
パンジャブ州における持続可能な園芸農業推進計画
Project for Promoting Sustainable Horticulture in Punjab
パンジャブ州園芸局(Department of Horticulture, Punjab 186.84億円 2.9% 30(10)年 アンタイド
  • (注)一般条件(固定・基準)を適用。
  • (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.8%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。

目的・事業概要

 パンジャブ州において、野菜や果樹等の園芸作物への作物多様化支援、バリューチェーン強化のための施設整備、園芸局の能力強化等により、持続可能な農業の推進及び対象農家の所得向上を図り、もって同州の社会経済発展に寄与することを目的とする。

2 実施意義/資金協力案件の評価

(1)外交的意義

  1. インドは基本的価値を共有する戦略的に重要なパートナーであり、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現のため、今後とも日印関係を更に発展させていくことが重要である。2025年8月のモディ首相訪日時には、2014年に日印関係を「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」へ格上げ後10年間の日印関係を総括した上で、基本的価値を共有する両国が互いの強みを活かし合い、相互補完的な関係を構築していくという今後10年の協力の方向性を「今後10年に向けた日印共同ビジョン」において発表するなど、我が国にとってのインドの重要性は着実に高まっている。
  2. インドは国全体の経済規模において今後日本を上回ると予測されている一方、世界の貧困人口の約2割を抱えるなど、引き続き支援を必要としている状況にある。同国に対する開発協力は上記の「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の重要な構成要素であるところ、ODAを通じて、インドの経済社会開発を支援して同国の安定的な成長を後押しすることは、日印関係強化に貢献するものであり、外交的意義が大きい。
  3. 本計画は、インドの開発課題・開発政策並びに我が国及びJICAの協力方針・分析に合致する。また、地下水の過剰揚水の抑制及び営農普及体制の強化等による持続可能な園芸農業の推進、及び作物多様化支援がもたらす収益性向上等による対象農家の所得向上に寄与し、SDGsのゴール1(貧困をなくそう)、ゴール2(飢餓をゼロに、持続可能な農業の促進)、ゴール8(経済成長・雇用)及びゴール13(気候変動対策)に貢献すると考えられることから、本計画の実施を支援する必要性は高い。

(2)開発ニーズ/有効性

 パンジャブ州は農業が主要産業となっているが、近年コメを中心とした穀物生産に伴う地下水の過剰揚水が深刻な課題となっており、同州政府が比較的節水型で環境負荷の小さい園芸作物への転換を促進しているものの、栽培技術の普及やインフラの整備が不十分であることから、十分に進んでいない。
 本計画は、野菜や果樹等の園芸作物への作物多様化支援、バリューチェーン強化のための施設整備・能力強化、園芸局の体制強化等を行うことにより、持続可能な農業の推進及び対象農家の所得向上を図るものであり、インド政府及びパンジャブ州政府における重要事業と位置付けられる。

  1. 定量的評価
    指標名 基準値
    (2025年実績値)
    目標値(2036年)
    【事業完成2年後】
    本計画対象地域の農家所得(インドルピー/月) (注1) (注2)
    作付多様化面積(ヘクタール)(注3) 0 34,000
    本計画対象地域の地下水使用削減量(1,000立方メートル/年) 0 218,986(注4)
    本計画対象地域で生産された野菜のポストハーベストロス(%) 12.9%(注5) 5.2%
    本計画対象地域で生産された果物のポストハーベストロス(%) 14.0%(注5) 5.7%
    本計画対象地域の女性農業関係者所得(インドルピー/月) (注1) (注2)
    • (注1)基準値は事業開始後に実施されるベースライン調査の結果に拠る。
    • (注2)目標値は詳細活動計画及びベースライン調査により設定・見直しが行われる。
    • (注3)コメから野菜または果樹等の園芸作物への栽培転換面積を指す。
    • (注4)基準年と比較し栽培作物への転換による年毎の地下水使用量の変化を確認する。
    • (注5)2022年の国連食糧農業機関(FAO)の調査に基づく値。ベースライン調査により見直しが行われる。
  2. 定性的評価
     園芸作物への転換等による地下水の枯渇や大気汚染の緩和、女性の社会的・経済的地位の向上、女性・若者の雇用促進、園芸作物のサプライチェーン構築、作物の多様化・付加価値化による経済的・気候変動リスク低減(気候変動への適応効果)、農家組織の強化による農家の市場競争力強化、営農普及体制の強化等による技術やノウハウの拡大等。

(3)我が国の基本政策との関係等

 我が国は、対インド国別開発協力方針(2023年11月)において、「クリーンな社会経済開発」を重点目標に位置づけており、その具体的な取組例として、農業の生産性と持続可能性の強化・多角化、バリューチェーンの強化に関連する事業を支援するとしていることから、本計画は当該方針に合致するものである。

3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点

 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2022年1月公布)上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため、カテゴリCに該当する。

4 事前評価作成に用いた資料・有識者の知見等

 要請書、インド国別評価報告書(2017年度・第三者評価)、JICAガイドライン、その他JICAから提出された資料等。

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