ODA(政府開発援助)

令和8年3月26日

評価年月日:令和8年3月3日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子

1 案件概要

供与国名

 インド

案件名、実施機関、供与限度額、供与条件

案件名 実施機関 供与限度額 金利(注) 償還(うち据置)期間 調達条件
マハラシュトラ州における三次医療・医科及び看護教育に係る体制強化計画(第一期)
Project for Strengthening Tertiary Healthcare Delivery, Medical Education System and Nursing Education System in Maharashtra (I)
マハラシュトラ州医学教育・医薬品局(Government of Maharashtra, Medical Education and Drugs Department 622.94億円 2.7% 30(10)年 アンタイド
  • (注)優先条件(固定・基準)を適用。
  • (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.8%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。

目的・事業概要

 マハラシュトラ州において、三次医療施設(大学附属病院)、医科大学及び看護学校の建設等による体制強化を行うことにより、同州において医療アクセスや質を改善し、もって同国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進に寄与することを目的とする。

2 実施意義/資金協力案件の評価

(1)外交的意義

  1. インドは基本的価値を共有する戦略的に重要なパートナーであり、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現のため、今後とも日印関係を更に発展させていくことが重要である。2025年8月のモディ首相訪日時には、2014年に日印関係を「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」へ格上げ後10年間の日印関係を総括した上で、基本的価値を共有する両国が互いの強みを活かし合い、相互補完的な関係を構築していくという今後10年の協力の方向性を「今後10年に向けた日印共同ビジョン」において発表するなど、我が国にとってのインドの重要性は着実に高まっている。
  2. インドは国全体の経済規模において今後日本を上回ると予測されている一方、世界の貧困人口の約2割を抱えるなど、引き続き支援を必要としている状況にある。同国に対する開発協力は上記の「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の重要な構成要素であるところ、ODAを通じて、インドの経済社会開発を支援して同国の安定的な成長を後押しすることは、日印関係強化に貢献するものであり、外交的意義が大きい。
  3. 本計画は、インド政府の課題・開発政策並びに我が国政府及びJICAの協力方針・分析とも合致する。また、SDGsのゴール3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活の確保と福祉の促進」に貢献すると考えられることから、本計画の実施を支援する必要性は高い。

(2)開発ニーズ/有効性

 マハラシュトラ州では、結核発症例数やコロナウイルス感染症による死者数も多くなっている等、保健セクターにおける取組に改善の余地がある。これらの背景には、医療人材や医療インフラが不足していることが挙げられ、州として取り組むべき課題となっている。
 本計画は、マハラシュトラ州において、三次医療、医科及び看護教育に係る体制強化を行うことにより、同州内において医療アクセスや質を改善し、もって当国のUHC推進に寄与するものであり、当国の保健セクターにおける重要事業に位置付けられる。

  1. 定量的評価
    指標名 基準値
    (2022年実績値)
    目標値(2034年)
    【事業完成2年後】
    本計画で整備する病院の新規入院患者数(人/日) 0 800
    本計画で整備する病院の外来患者数(人/日) 0 8,000
    本計画で整備する病院の病床稼働率(%) 0 75
    本計画で整備する病院で実施された手術数(件/年) 0 13,520
    本計画で整備する医科大学の定員数(人/年) 0 400
    本計画で整備する看護大学の定員数(人/年) 0 950
    マハラシュトラ州における人口千人当たりの医師数(人) 0.96 1.25
    マハラシュトラ州における人口千人当たりの看護師数(人) 1.29 1.68
  2. 定性的評価
     州内における医療アクセスの改善、州内の医療人材育成体制の改善、ジェンダーに配慮した州内医療人材の雇用・キャリア形成環境の改善、学術交流を通じた医学教育に関する体制の強化、医療サービスに対する患者・家族の満足度改善、医療機器の管理が適切に行われる、州立三次医療施設(大学付属病院)の職場環境の魅力の向上。

(3)我が国の基本政策との関係等

 我が国は、対インド国別開発協力方針(2023年11月)において、「クリーンな社会経済開発」を重点分野に位置づけており、その具体的な取組例として、保健医療・衛生といった基礎的社会サービスの整備に取り組むとしていることから、本計画は当該方針に合致するものである。

3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点

 本計画は「国際協力機構環境社会ガイドライン」(2022年1月公布)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため、カテゴリBに該当する。
 本事業は既存施設の敷地内及び政府用地内のみで実施予定であり、用地取得及び非自発的住民移転を伴わない。ステークホルダー協議において本事業に係る特段の反対意見は出ていない。

4 事前評価作成に用いた資料・有識者の知見等

 要請書、インド国別評価報告書(2017年度・第三者評価)、JICAガイドライン、その他JICAから提出された資料等。

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