ODA(政府開発援助)

令和8年3月26日

評価年月日:令和8年3月3日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子

1 案件概要

供与国名

 インド

案件名、実施機関、供与限度額、供与条件

案件名 実施機関 供与限度額 金利(注) 償還(うち据置)期間 調達条件
ベンガルール・メトロ建設計画(フェーズ3)(第一期)
Bengaluru Metro Rail Project (Phase3) (I)
バンガロールメトロ公社(Bangalore Metro Rail Corporation Limited 1,024.80億円 TORF+80bp 30(10)年 アンタイド
  • (注)一般条件(変動・基準)を適用。
  • (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.8%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。

目的・事業概要

 本計画は、ベンガルール都市圏において、大量高速輸送システムを建設することにより、増加する輸送需要への対応を図り、もって交通渋滞の緩和と自動車公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善ひいては気候変動の緩和等に寄与することを目的とする。

2 実施意義/資金協力案件の評価

(1)外交的意義

  1. インドは基本的価値を共有する戦略的に重要なパートナーであり、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現のため、今後とも日印関係を更に発展させていくことが重要である。2025年8月のモディ首相訪日時には、2014年に日印関係を「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」へ格上げ後10年間の日印関係を総括した上で、基本的価値を共有する両国が互いの強みを活かし合い、相互補完的な関係を構築していくという今後10年の協力の方向性を「今後10年に向けた日印共同ビジョン」において発表するなど、我が国にとってのインドの重要性は着実に高まっている。
  2. インドは国全体の経済規模において今後日本を上回ると予測されている一方、世界の貧困人口の約2割を抱えるなど、引き続き支援を必要としている状況にある。同国に対する開発協力は上記の「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の重要な構成要素であるところ、ODAを通じて、インドの経済社会開発を支援して同国の安定的な成長を後押しすることは、日印関係強化に貢献するものであり、外交的意義が大きい。
  3. 本計画はベンガルール都市圏において、大量高速輸送システムの建設を通じて、同都市圏の自動車公害の減少、地域経済の発展、及び気候変動の緩和等に寄与するものであり、インドの開発課題・開発政策並びに我が国及びJICAの協力方針・分析と合致する。またSDGsのゴール8「包括的な経済成長」、ゴール9「強靭なインフラの構築、包摂的で持続可能な工業化の促進とイノベーションの育成」、ゴール11「包括的な都市の整備、持続可能な輸送システムの構築」、及びゴール13「気候変動対策」に貢献すると考えられることから、本計画の実施を支援する必要性は高い。

(2)開発ニーズ/有効性

 ベンガルール都市圏はインドのシリコンバレーと呼ばれ、多くの日系企業が進出している(日系企業進出数はインドで2番目)。人口増加に伴う自動車登録数の増加が顕著であり、交通渋滞が深刻化していることから、カルナタカ州は「ベンガルール総合交通計画」においてモーダルシフトの促進を掲げ、公共交通機関の利用割合を引き上げるため、メトロを含む公共交通網の整備を行っている。
 本計画は、空港線に接続する外郭環状道路沿い(西側)の路線(3-1号線)及び市内中央部から近年急速に発展する西側地域を結ぶ路線(3-2号線)の計2路線を建設するものである。建設予定地付近には特に渋滞が深刻なエリアがあること、また、3-1号線によりメトロが初めて環状に整備されるとともに、3-2号線によりさらに東西線と接続されることで利便性が一層向上し、乗客数の増加も期待されることから、増加する輸送需要に効果的に対応できると見込まれる。

  1. 定量的評価
    指標名 基準値
    (2026年実績値)
    目標値(2034年)
    【事業完成後2年後】
    3-1号線、3-2号線の路線別に記載
    車両稼働率(%/年)(注)    
    3-1号線 93.1
    3-2号線 88.9
    車両キロ(千キロメートル/日)    
    3-1号線 59.3
    3-2号線 16.4
    女性専用車両 車両キロ(千キロメートル/日)    
    3-1号線 9.9
    3-2号線 2.7
    運行数(本/日・一方向)    
    3-1号線 157
    3-2号線 119
    乗客輸送量(百万人・キロメートル/日)    
    3-1号線 6.1
    3-2号線 1.6
    運賃収入(百万ルピー/日)    
    3-1号線 30.3
    3-2号線 10.3

    (注)(調達車両の年間延べ稼働日数)/調達車両数×(営業日数―検査による平均不稼働日数)×100%にて算出

  2. 定性的評価
     ベンガルール都市圏における交通渋滞の緩和、気候変動の緩和、大気汚染を原因とする健康被害の緩和、移動の定時性確保による利便性の向上、ベンガルール都市圏の経済発展、女性・障がい者の社会進出促進。

(3)我が国の基本政策との関係等

 我が国は、対インド国別開発協力方針(2023年11月)において、「多層的な連結性の強化」を重点分野に位置づけており、その具体的な取組例として、インド国内の主要都市・経済圏内及び地域間の連結性の強化を図るべく、鉄道、道路、電力等の分野について、輸送ハブ及び流通網となる運輸や電力インフラ等の整備を環境面での影響にも配慮した形で支援するとしていることから、本計画は当該方針に合致するものである。

3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点

 本計画は「国際協力機構環境社会ガイドライン」(2022年1月公布)に掲げる鉄道セクター及び影響を及ぼしやすい特性(大規模非自発的住民移転)に該当するため、カテゴリAに該当する。
 617世帯2,714人と2,173事業者の非自発的住民移転を伴うが、バンガロールメトロ公社は用地取得・住民移転対象者との協議を開催し、同国国内手続き及びJICA環境社会配慮ガイドラインに沿って作成された住民移転計画を策定し、2026年12月に用地取得・住民移転の全ての手続きを完了する予定。補償水準や用地取得・住民移転プロセス等についてJICAガイドラインと乖離がないことを確認している。

4 事前評価作成に用いた資料・有識者の知見等

 要請書、インド国別評価報告書(2017年度・第三者評価)、JICAガイドライン、その他JICAから提出された資料等。

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