ODA(政府開発援助)

令和8年3月19日

評価年月日:令和4年6月16日
評価責任者:国別開発協力第二課長 秋山 麻里

1 案件概要

(1)供与国名

 ブラジル連邦共和国(以下、「ブラジル」という。)

(2)案件名

 新型コロナウイルス感染症危機対応緊急支援借款

(3)目的・事業内容

 本事業は、新型コロナウイルス感染拡大による社会経済的影響が深刻なブラジルにおいて、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)に対する融資を通じて医療機関や医療品製造企業等の保健医療セクター及び中小零細企業(MSME)向けの支援を行うことにより、同国内における保健医療セクターのサービス・活動の継続及び中小零細企業の雇用確保、活動の継続・拡大を図り、もって同国の社会経済の回復・安定に寄与するもの。米州開発銀行(IDB)との協調融資で実施する。

  1. 主要事業内容
    1. 医療機関・医療品製造企業等へのBNDESを通じた融資(運転資金、病院用ベッド・資機材等の調達)
    2. MSME向けのBNDES経由、認証金融機関を通じた融資(設備投資、雇用の維持・創出、事業活動の継続を目的とした運転資金)
  2. 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間
    300.00億円 0.01% 15(4)年

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  1. 環境影響評価(EIA)
     本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)(以下、「JICAガイドライン」という。)上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため、カテゴリCに該当する。
  2. 外部要因リスク
     特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  1. 開発ニーズ
     ブラジルの保健医療セクターは、新型コロナウイルス感染拡大以前から脆弱であったが、更に先般の感染拡大で医療品等に対するニーズが急激に拡大する中で医薬品の原材料や人員が不足し、医療品の生産・流通体制の脆弱さが浮き彫りとなった。BNDESはブラジル政府の新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、保健医療サービスの継続・充実及び医療産業の維持を目的に、保健医療セクターに対して緊急融資プログラムを展開し、ニーズが急増したベッドや医療品資機材等の緊急調達費用を必要とする医療機関や医療品を製造する企業への融資を行ったものの、依然として資金需要には追い付いていない。
     また、同国におけるMSMEセクターでは、新型コロナウイルス感染症の影響により、経営継続や設備投資等のための資金需要と資金供給のギャップは、2020年には4,827億ドルに達し(MSMEの全資金需要のうち70%が不足)、同年3月にはMSMEによる資金借入需要は過去最高となった(ブラジル零細・小企業支援サービス機関(SEBRAE))。MSMEセクターは同国内の雇用全体の62%、同国GDPの30%を占めており、MSMEへの支援は同国の社会経済全体の回復に資するものであるため、同国政府は2019年より経済成長を促進する政策として、雇用促進、MSME支援、産業化等を推進してきた。2020年には、BNDESで初めてMSMEに対する融資額が大企業向け融資額を上回ったが、MSMEの資金需要は依然として大きい。
  2. 我が国の基本政策との関係
     我が国の対ブラジル国別開発協力方針(2018年4月)では、援助の基本方針(大目標)を持続的開発への支援と互恵的協力関係の促進と位置付け、(ア)都市問題と環境・防災対策、(イ)投資環境改善及び(ウ)三角協力支援を重点分野(中目標)とし、(イ)については産業競争力強化のための環境整備や技術支援等人的資源の拡充を含め経済成長を促進する分野での支援を行うこととしており、本事業は同方針に合致するものである。また、SDGsゴール3(すべての人々の健康的な生活確保)及びゴール8(包摂的かつ持続可能な経済成長)にも貢献することから、事業の実施を支援する必要性は高い。
     同国は、約200万人の日系人の存在もあり、我が国と伝統的な友好関係を築いており、また、我が国への食料・資源の重要な供給国でもある等緊密な経済関係を有していることから、我が国が同国と安定した協力関係を維持していくことは重要である。ブラジルは新型コロナウイルス感染症による被害が世界的にも甚大であり、サプライチェーンの混乱や日ブラジル間の人的往来の減少を引き起こしている等、同国へ進出している日本企業の活動や同国における日系社会に大きな影響を与えてきた。本借款供与により保健・医療セクターのサービス・活動の継続及びMSMEの雇用確保や活動の継続・拡充を後押しすることは、同国の社会経済全体の回復に資するものであり、ひいては日本国民の安全及び日本の経済的利益にも資するものである。

(2)効率性

 本事業では、新型コロナウイルス感染拡大下における保健セクター及びMSMEセクターへの融資実績により、事業目的の達成及び効果を数値で計測できるよう、BNDESとの協議を通じ、IDBの指標設定基準を活用しつつ評価指標を設定した。

(3)有効性

 本事業の実施により、事業完成時(2025年)には、2020年比で以下のような成果が見込まれ、これらを通して、同国の社会経済の回復・安定に寄与することが期待される。

  1. 保健医療セクターにおいては、新たに資機材が導入・更新された医療施設数の増加、サービスの継続若しくは拡大のために融資を受けた施設・企業数の増加等が見込まれる。
  2. MSMEセクターにおいては、対象融資プログラムを通じたMSME向け融資件数の増加、支援対象企業の平均売上高の増加、支援対象企業の平均雇用数の増加等が見込まれる。

3 事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 ブラジル政府からの要請書、ブラジル国別評価報告書(2020年度・第三者評価)JICAガイドライン別ウィンドウで開く、その他JICAから提出された資料。
 本事業に関する情報は、交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要、借款契約締結後公表されるJICAのプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお、本事業に関する事後評価は、実施機関であるJICAが行う予定。

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