ODA(政府開発援助)

令和8年3月11日

評価年月日:令和7年10月17日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子

1 案件名

1-1 供与国名

 パラグアイ共和国(以下、「パラグアイ」という。)

1-2 案件名

 衛星技術関連施設整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、パラグアイ宇宙庁(Agencia Espacial del Paraguay、以下「AEP」という)に対し、宇宙技術利用センターの建設及び小型衛星試験設備、衛星関連地上システム及び衛星データの整備を行うことにより、同庁の小型衛星開発能力の強化及びパラグアイにおける自然災害に脆弱な農畜産業の防災対策への衛星データ活用を図り、もって同国の持続的経済開発に寄与するもの。
 供与限度額は38.16億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2022年1月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  1. パラグアイ(一人当たり国民総所得(GNI)6,200ドル(世界銀行、2023))は、OECD開発援助委員会(DAC)援助受取国リスト上、高中所得国に分類されている。
  2. パラグアイは、2014年にAEPを設立することで宇宙分野へ新規に参入した国である。また、2019年に宇宙分野を「国家開発計画2030」の3つの戦略軸の一つである「国際社会への参画」の推進に寄与する分野と位置付けている。パラグアイにおける宇宙利用は発展途上にあり、衛星開発能力強化及び衛星データの利活用促進が期待されている。特に、農畜産業はパラグアイGDPの10%、輸出の60%を占める主要産業であるが(世界銀行)、旱魃や洪水等自然災害の影響を受けやすく、気候変動への脆弱性が指摘されており、その対策が急務となっている。AEPは2024年に策定した戦略計画2024-2033(ドラフト版)において衛星データを有効活用し、気候変動への影響に適切に対処することで、同分野の生産性や品質向上に貢献するとしている。加えて、災害リスクの早期把握や被害軽減といった防災・減災分野への応用も期待されており、衛星データの利活用は国民生活の安全・安心にも資する。
  3. AEPの技術部門は、衛星開発担当と衛星データ利活用担当の2部署から成り、サン・ロレンソ市に位置するアスンシオン国立大学と首都アスンシオン市に位置する軍施設にそれぞれ間借りしており、また衛星開発等に必要な機材等の整備も不十分なため、効率的な研究・開発活動ができているとは言い難い。パラグアイが宇宙開発及び社会経済開発に資する衛星データ利用を効率的に行うためには、両部門が一体的に研究できるAEP専属施設が必要とされている。
  4. パラグアイは我が国と価値や原則を共有し、100年以上の外交関係や約1万人の日系社会という絆に裏打ちされた伝統的な友好関係にある。両国は安保理改革等の国際場裡においても政策協調を行う関係にあり、直近では、2025年5月、日・パラグアイ首脳会談において、両首脳は両国関係を「戦略的パートナー」に格上げすることで一致した。2024年5月には、岸田総理(当時)とペニャ大統領との間で「日・パラグアイ宇宙協力プログラム」を立ち上げ、衛星開発及び衛星データの利用に関する協力関係を構築することを決定し、前述の2025年5月の首脳会談でも石破総理が同国の宇宙分野における更なる協力を表明した。こうした背景からも本計画実施の意義は高い。
  5. 本計画を実施することは、パラグアイの主要産業である農畜産業の生産性や品質向上に貢献するとともに、災害時に最も影響を受けやすい脆弱層を守る観点でインクルーシブな社会サービスの提供に資することから、我が国の対パラグアイ国別開発協力方針(2021年6月)における重点分野「持続的経済開発」及び「社会開発」に合致する。また、パラグアイの開発課題・開発政策に合致し、SDGsゴール2(飢餓をゼロに)、8(成長・雇用)、9(イノベーション)、13(気候変動)、17(実施手段)に貢献する。

 上記を踏まえ、無償資金協力として本計画を実施する意義は高い。

2-2 効率性

  1. 資機材の優先度やスペックを見直し、コスト縮減に努めた。
  2. 技術協力プロジェクト「社会経済開発に向けた宇宙計画管理プロジェクト」(2023年10月~2025年10月)において、パラグアイの農牧、防災における衛星データ利活用促進のためのパイロットプロジェクトを実施した。また、「SDGsグローバルリーダーズコース」(長期研修)では、これまでAEPから3名の職員を九州工業大学宇宙工学国際コースへ受入れ、衛星開発能力の強化を支援し、「SDGsに資する宇宙技術の利活用能力向上」(課題別研修)、「宇宙人材育成」(長期研修、2025年度実施)を通して、衛星データの利活用能力の強化を支援しており、本計画と技術協力の連携による相乗効果が期待される。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2025年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2032年の目標値と比較すると、以下のような成果が期待される。

  1. 定量的効果
    1. パラグアイにおける小型衛星の試験数が、0件から4件に増える。
    2. 災害リスク地域を対象に策定されるハザードマップがカバーする居住者数が、0人から61.3万人に増える。
  2. 定性的効果
    1. AEPの衛星開発及び試験能力が強化され、パラグアイの宇宙分野における持続可能な人材育成サイクル(例:学生が在学中にインターンとしてAEPにて衛星開発及び試験トレーニングを行い、卒業後AEPへ就職する等)が確立される。
    2. 小型衛星開発におけるパラグアイの中南米地域拠点・ハブ化(例:周辺国からの小型衛星開発・試験の受注やトレーニング提供等)が促進される。
    3. 災害・気候変動対策技術が高度化される(例:衛星データ及び地形図を用いたハザードマップ作成、特定対象地域地形・対象物の変化モニタリング等)。
    4. 災害時における発災後の対応が強化される(例:準リアルタイムでの災害状況の把握、被害拡大範囲の予測、救援路や避難路の特定等)。
    5. 農業行政が高度化される(例:衛星データ解析による全国的な作況予測や農業被害(干ばつ・洪水)の早期把握等)。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  1. パラグアイ政府からの要請書
  2. JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  3. パラグアイ国別評価(2016年度・第三者評価)
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