ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和7年12月24日
評価年月日:令和7年3月25日
評価責任者:国別開発協力第二課 廣瀬 愛子
1 案件名
1-1 供与国名
キルギス共和国(以下、「キルギス」という。)
1-2 案件名
電力システム運用・保守能力強化のための研修施設整備計画
1-3 目的・事業内容
今後、キルギスにおいて変動性再生可能エネルギーが大規模に導入されることが想定される中、これに伴い必要となる電力流通設備の運転・保守に係る人材を育成するため、訓練棟及び訓練用機材を整備するもの。
供与限度額は15.35億円
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
本事業は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2022年1月制定)におけるカテゴリCであり、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- キルギスは、アジアと欧州、ロシアと中東を結ぶ地政学的に重要な地域に位置しており、歴史的・地理的にロシアとの関係が深いほか、中国の「一帯一路」による多くの経済協力案件が実施されるなど、多角的な外交を展開している。キルギスの安定は地域の安定に資するという地政学的重要性を踏まえ、我が国は、1991年の同国独立以来、友好的な関係を築いており、国際場裏においても緊密に協力している。
- 2021年、キルギス政府は「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution)」において、2030年までの温室効果ガスを43.62%削減する(国際支援によるものを含む)ことを表明し、水力発電の開発を推進している。また、2023年7月、日・キルギス間で二国間クレジット制度(JCM)が締結され、今後、環境・エネルギー協力をより一層強化していくことで合意した。キルギスにおける再生可能エネルギーの効率化を支援する本計画は、キルギスにおけるカーボンニュートラル等の気候変動対策を後押しするものであるほか、我が国・キルギス両国のNDCの達成に貢献する協力としても位置づけられる。
- また、我が国は、対キルギス国別開発協力方針における重点分野として「産業育成と雇用の創出」を掲げ、インフラ整備を含む産業育成のための環境整備に向けた支援を行ってきている。本計画は、産業発展の基礎となる電力供給の安定化を図るものであり、我が国の国別開発協力方針とも合致するものである。
- なお、本計画は2023年に日本で行われた日・キルギス首脳会談においても先方から要請のあった重要案件であり、2025年に開催の見込まれる「中央アジア+日本」対話・首脳会合等の機会にも大きな成果の一つとなり得、ひいては日・キルギス関係の一層の発展・強化につながることが期待される。
2-2 効率性
- 新訓練棟の建築工事費において、当初計画の2階建てから最小限必要な部屋数とスペースを確保した上で、1階建てに仕様変更を行い、工事費の削減に努めた。これにより、工期の短縮化も図られ、調達管理費や設計監理費も削減された。また、建築資材は全て現地調達することが可能な仕様とし、コスト縮減に努めた。
- 調査の段階で、シミュレーター設備の機能について被援助国側と入念な協議を重ね、過剰な設備仕様にならないよう調整を図った。
2-3 有効性
- 定量的効果:電力系統(配電変電所(110/35キロボルト)以上)におけるヒューマンエラーに起因する年間の電力供給の中断件数(件/年)が18件から11件に減少する。
- 定性的効果
- 国家送配電公社保守管理職員の電力系統の運転・保守の能力が向上する。
- 国家送配電公社職員の省エネや再生可能エネルギーへの理解が深まる。
- 再生可能エネルギーの導入が促進される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- キルギス政府からの要請書
- JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- キルギス国別評価報告書(2011年度・第三者評価)

