ODA(政府開発援助)

令和7年12月5日

評価年月日:令和7年11月5日
評価責任者:国別開発協力第一課長 加藤 要太

1 案件名

1-1 供与国名

 ラオス人民民主共和国(以下、「ラオス」という。)

1-2 案件名

 南部地域における中核病院整備計画

1-3 目的・事業内容

 ラオス南部4県(チャンパサック県、アタプー県、サラワン県及びセコン県)の中核病院としての役割を担うチャンパサック県病院において、重篤な患者に対する効果的かつ効率的な医療サービス提供に必要な医療施設及び機材の整備を行うことにより、同病院の診断・治療体制の強化及び下位医療施設との連携の円滑化を図り、もって同4県の地域医療システムの強化を通じた同国における保健医療サービス強化に寄与するもの。供与限度額は28.65億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2022年1月制定)におけるカテゴリはCであり、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  1. ラオス(一人当たり国民総所得(GNI)2,000米ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類されている。
  2. 同国は東南アジアで最も保健セクターの開発が遅れている国の一つであり、感染症や母子保健関連の疾患が主要な死因として残っている一方、近年では脳卒中や心疾患などの非感染性疾患による死亡も増加し(2020年、世界保健機関)、多様化する課題を抱えている。
  3. 医療資源が量・質ともに不十分である同国では、重篤な患者に医療サービスを提供する三次医療機関が首都ビエンチャンに集中しており、首都から約700km離れた南部地域では、制度上は二次医療機関であるチャンパサック県病院が県内の下位医療施設及び近隣県(アタプー県、サラワン県及びセコン県)からの患者搬送に対応している。
  4. 他方、同病院では、施設・機材の老朽化が進み、機器不足による検査や治療の制約・遅延、病床不足による衛生環境の悪化などの問題を抱えている。このような中、心疾患や脳血管疾患、重症外傷等、生命に関わる処置を必要とする多くの患者が首都ビエンチャンや隣国タイへの搬送を余儀なくされている。
  5. また、同病院は、県内外の保健人材養成機関の臨床実習を受け入れ、南部地域での現任教育においても指導的役割を担うが、施設・機材の不足により効果的な臨床実習環境を提供することができていない。
  6. 本計画では、南部地域の中核病院と位置づけられる同病院において、救急、手術部門、集中治療室を備えた中央診療棟などの施設や必要な機材の整備を行うことにより、地域全体の医療サービスの質を向上させ、もって南部4県の地域医療システム強化に寄与するものである。
  7. 本計画は、ラオス政府の「第9次国家開発計画(2021-2025)」において、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のため優先度の高い事業として位置付けられている。我が国の「対ラオス国別開発協力方針(2024年3月)」では、重点課題(中目標)として「包摂的で安定した社会基盤の強化」のもと、ラオス保健省が掲げる持続可能な開発目標達成に向けた「保健人材及び保健医療サービスの質向上に資する協力」が挙げられており、我が国の協力方針にも合致する。またSDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」にも貢献する。本計画は気候変動に伴う大雨・洪水等の異常気象の頻発リスクへの対応として公共保健インフラの強靭化に貢献する観点から、同国のパリ協定に基づく「自国が決定する貢献(NDC)」における目標と合致する。この取り組みは、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」にも貢献する。
  8. 保健分野は、外交関係樹立70周年に当たる2025年に両国首脳間で発出した日ラオス共同声明が掲げる協力分野の1つでもある。本計画はこうした両国間のイニシアティブを着実に具体化するものでもあり、実施することの外交的意義は大きい。

2-2 効率性

 ラオス政府及びアジア開発銀行(ADB)との間で適切な業務分担や維持・管理体制につき協議し、開発目標の達成に必要不可欠なスコープの絞り込みを行った上で、過不足ない規模/グレードの施設計画とし、コストの縮減に努めた。
 また、事業費積算における見積り単価は、現地施工業者等から徴収した建設工事単価を、本邦公共工事案件と同様に三社で比較し、その中の最低価格を採用することで価格抑制に努めた。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2023/2024年の実績値を基準値として、事業完成3年後である2031年の目標値と比較すると、以下のような成果が期待される。

(1)定量的効果
  1. 救急外来患者受入数(人/年)が、38,381人(2024年)から46,057人となる。
  2. メジャー手術(注)件数(件/年)が、2,201件(2023年)から2,866件となる。
  3. ICU入院患者数(人/年)が、699人(2023年)から1,563人となる。
  4. 県外医療施設からの入院患者数(人/年)が4,467(2024年)から5,311人となる。

(注)メジャー手術とは、主に麻酔をかけて手術室で行われる手術を指し、同病院では虫垂炎、胆石、脳出血の血腫除去等が含まれる。

(2)定性的効果
  1. 救急サービスの質及び病院全体の医療サービスの質が向上する。
  2. 南部4県の住民の適切な医療へのアクセスが改善することにより、首都ビエンチャンや隣国タイに搬送することなく診断・治療が完結し、患者の身体的・経済的負担が減少する。
  3. 提携している保健科学短期大学や近隣県の保健学校の医学生や看護学生等への卒前・卒後における臨床実習環境が改善し、実習満足度が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  1. ラオス政府からの要請書
  2. JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  3. ラオス国別評価報告書(2022年度・第三者評価)
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