ODA(政府開発援助)

令和7年12月2日

評価年月日:令和7年11月5日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子

1 案件概要

供与国名

 パラグアイ共和国(Republic of Paraguay

案件名、実施機関、供与限度額、供与条件

案件名 実施機関 供与限度額 金利(注) 償還(うち据置)期間 調達条件
南西部における統合社会経済開発回廊整備計画
Project for Integration and Socioeconomic Development Corridor in the Southwestern Region
公共事業・通信省(Ministerio de Obras Públicas y Comunicaciones 363.80億円 2.45% 25(7)年 アンタイド
  • (注)一般条件(固定・オプション1)を適用。
  • (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.65%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。

目的・事業概要

 本計画は、パラグアイ南西部の国道本線と地域間のアクセス道路を整備することにより、同国の物流の連結性の改善及び輸送効率の向上を図り、もって農産物の生産拡大及び同地域の社会経済開発に寄与することを目的とする。

2 資金協力案件の評価

(1)外交的意義

  1. パラグアイ共和国は我が国と100年を超える外交関係を有し、約1万人の日系人が在住する伝統的親日国。要人往来も活発で、近年は2023年に林外務大臣(当時)、2024年に岸田総理(当時)がパラグアイを訪問した。2025年5月にはペニャ大統領が訪日し、この機会に両国関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げした。
  2. パラグアイ共和国は、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)実現に対する支持を表明しているところ、本計画は、我が国が掲げるFOIPの新たなプランの柱3「多層的な連携性」に資するものであり、中長期的な視点では、本案件は、現在、パラグアイ政府が近隣諸国と連携して進める両大洋横断回廊計画との相乗効果も期待され、メルコスール市場における物流機能の強化に貢献し得ることから、南米地域で操業する日系企業にも裨益し得るものである。また、パラグアイ共和国の国家開発計画「パラグアイ国家開発計画2030」や国家目標「すべての国民のための生活改善」にも合致するため、本計画を通じ、両国関係の更なる強化・発展が期待される。また、SDGsのゴール1(貧困撲滅)、ゴール8(経済成長)、ゴール9(インフラ・産業振興)、及びゴール11(持続的な都市)に貢献すると考えられる。
  3. パラグアイ共和国は、世界有数の大豆生産量・輸出量を誇っているが、日系移住者がその発展に大きく寄与したと言われており、我が国への輸出も多い。こうした両国間の重要な二国間関係の一端を担う農業生産の基盤となる本件事業は外交的意義が高い。

(2)開発ニーズ/有効性

  1. 内陸国であるパラグアイ共和国は、物流手段を道路輸送及び河川輸送に依存しているが、道路はその総延長の85%が未舗装の土砂道であり、悪路のため低速走行が強いられるほか、降雨時には冠水により通行自体が困難となり、物流の遮断や地域住民の公共サービスへのアクセス阻害が大きな問題となっている。
  2. 本計画は、道路を整備することにより地方物流や連結性の改善、輸送効率の拡大、地域住民の生活環境の改善を図るもの。パラグアイ共和国の国家目標「すべての国民のための生活改善」を実現するための実施すべき案件として位置付けられている。
    1. 定量的評価
      • 対象区間(国道本線)の平均日交通量が131台から802台となる。
      • 対象区間(国道本線)の平均所要時間が6.1時間から2.3時間となる。
    2. 定性的評価
       対象区間の移動快適性・交通安全性・輸送効率の向上、周辺地域の経済発展の促進

(3)我が国の基本政策との関係等

 我が国は、対パラグアイ共和国国別開発協力方針(2021年6月)において、「持続的経済開発」を重点分野に位置付け、輸送インフラや地域住民の生活インフラの整備支援に取り組むとしており、本計画は当該方針に合致するものである。

3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点

 本計画は「国際協力機構(JICA)環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる道路セクターのうち大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され、かつ、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため、カテゴリBに該当する。本計画に係る環境影響評価報告書は2026年2月に環境・持続的開発省により承認予定である。
 本計画は400万平方メートルの用地取得、69世帯、122人の非自発的住民移転が想定され、パラグアイ共和国の国内手続及びJICAガイドラインに沿って作成された用地取得・住民移転計画に基づいて補償及び住民移転手続が実施されることとなっており、本計画に対する特段の反対意見は表明されていない。
 施工中の汚染対策及び自然環境のモニタリングはコントラクターが行い、用地取得のモニタリングは実施機関が行う。なお、供用時のモニタリングは完成後2年間とし、道路の廃棄物のモニタリングは各自治体が行い、その他事項のモニタリングは実施機関が行う。
 外部要因リスクは特段想定されていない。

4 事前評価作成に用いた資料、有識者の知見等

 要請書、パラグアイ国別評価報告書(2016年度・第三者評価)、JICAから提出された資料等。

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