ODA(政府開発援助)

令和5年12月22日

評価年月日:令和5年10月31日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井土 和志

1 案件名

1-1 供与国名

 ブルキナファソ

1-2 案件名

 道路維持管理機材整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、道路維持管理機材を整備することにより、首都のワガドゥグ市内及び全国の道路を対象とした維持管理体制の改善を図り、もってブルキナファソにおける交通の改善・効率的な物流の実現を通じ、域内経済統合の促進に寄与するもの。
 供与限度額は、10.06億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2022年1月制定)におけるカテゴリーCであり、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
  • (2)クーデターなど不安定な政治情勢により行政機能が停止しないこと。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ブルキナファソ(一人当たり国民総所得(GNI)840ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類されている。
  • (2)ブルキナファソは、周辺を6か国に囲まれる内陸国であり、首都ワガドゥグ市及び同国の道路網は、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナンのような沿岸国とニジェール、マリのような内陸国を繋ぐ物流の結節点としての役割を担っている。物流の80%以上が道路輸送である同国においては、道路輸送量は過去5年間で毎年約10%以上増加しており、2017年と比較し2018年は15%増になる等、結節点としての役割や道路輸送の重要性は拡大している。そうした中、同国政府は、国家計画「国家経済社会開発計画」(2021年~2025年)の重点戦略の1つとして「経済成長と雇用促進に資するセクターの活性化」を掲げ、輸送交通インフラ整備と維持管理を推進し、年間を通じて道路網を適切な状態に保つことを目指している。
  • (3)同国と沿岸国を結ぶ国際回廊の整備が、同国及び周辺地域の最優先開発課題の1つとなっている一方で、実際の道路状況に関しては、2014年から2016年にかけての社会経済状況、及び2016年以降の悪化した治安状況により、定期的かつ一貫性のある道路網の維持管理が行われてこなかったため、道路網の大部分は劣悪な状態にある。また例年、全国において雨季に10~100か所程度の損傷が発生し、2022年には通行止めとなる道路損傷が約50件発生している等の状況も加わり、各地での道路交通に大きな支障が生じている。
  • (4)全国の規格道路を管轄しているインフラ開発省道路維持管理総局は、定期的な維持管理作業に加え、道路損傷が発見された際に補修を行う整備作業(日常維持管理作業)を民間へ外注しているが、業者選定から工事開始まで1年程度を要するため、時宜を得た日常維持管理作業が実施できない状況にある。これにより、道路が補修されないまま劣化が進行し、その結果、大規模な改修が必要となり維持管理費用の増加につながっている。こうした状況を踏まえ、同国政府は、調達法規や契約手続きの早期化に関する取組を進める予定であるほか、緊急を要する整備作業に関しては即時の対応ができるよう、インフラ開発省傘下に直営の道路維持管理作業班を増強すべく準備を進めている。作業班の運用に係る人員配置や予算措置はインフラ開発省が対応するものの、作業に用いる道路維持管理機材の調達予算は不足しており、同班による道路維持管理を実施するには至っていない。
  • (5)我が国は、対ブルキナファソ国別開発協力方針において、「域内経済統合の促進」を重点分野の1つとして定めており、広域インフラ整備・維持管理に資する本計画は同方針に合致する。また、本計画は道路維持管理機材の整備を通じて、都市道路の維持管理体制強化に資するものであり、SDGsゴール9で推進されている「産業と技術革新の基盤構築」及びゴール11「住み続けられるまちづくりを目指す」にも貢献する。
  • (6)我が国は、2022年8月の第8回アフリカ開発会議(TICAD8)において、西アフリカ「成長の環」を始めとする三重点回廊のインフラ整備等による物流の改善を表明しており、また、2023年5月、岸田総理大臣のガーナ訪問において、サヘル地域とギニア湾沿岸諸国の平和と安定に寄与し、持続可能な成長を促進することを目的として、今後3年間で、約5億米ドルの支援を行っていくことを表明している。本計画はこうした我が国の重要政策を具体化するものである。

2-2 効率性

 当初要請されていた路上路盤再生工法に用いるスタビライザー等の機材(定期維持管理に使用)については、令和元年度経済社会開発計画(新型コロナウイルスの感染拡大等の影響で一部遅延)で一編成が整備されることから本事業の計画には含めず、双方の案件で役割分担することとした。また、第1次現地調査時よりも円安傾向にあり事業費が当初想定額を超過する見込みとなったことから、一部機材数量の見直しを行った。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2023年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2028年の目標値と比較すると、以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    • ア 直営作業班により、緊急を要する洪水等で損傷した道路を年間48か所補修できるようになる。
    • イ 直営作業班により、緊急を要する未舗装道路を年間38.4キロメートル補修できるようになる。
    • ウ 直営作業班により、緊急を要するポットホール(路面に発生するくぼみやへこみ等)・クラック(ひび割れ)を年間1,920平方メートル補修できるようになる。
  • (2)定性的効果
    • ア 洪水等で遮断された国際幹線道路等が早期に復旧する。
    • イ ブルキナファソ全土で円滑な交通が確保される。
    • ウ 社会サービスへのアクセスが改善される(病人・妊産婦の医療施設への車両での通院、緊急移送等が安定的に実施できる)。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ブルキナファソ政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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