ODA(政府開発援助)

令和8年9月1日

評価年月日:令和8年6月18日
評価責任者:国別開発協力第三課長 松浦 直子

1 案件名

1-1 供与国名

 モザンビーク共和国(以下、「モザンビーク」という。)

1-2 案件名

 ナテテ橋梁架け替え計画

1-3 目的・事業内容

 ナカラ回廊上のナテテ川において、激甚化する洪水に対して洗堀による損傷が生じない強靭な橋梁等を整備することにより、同回廊の気候変動に対する強靱性及び利便性の向上を図り、もって同回廊沿線地域の経済社会開発に寄与する。
 供与限度額は、16.91億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2022年1月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  1. モザンビーク(一人当たり国民総所得(GNI)590ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  2. モザンビーク北部には、ナカラ港からマラウイ、ザンビアへと続くナカラ回廊がある。独立当時から開発が遅れている同国北部は石炭や天然ガス等のエネルギー資源、農業に適した広大な土地を有し、開発のポテンシャルが高く、同回廊上の輸送インフラの整備により生産物の流通が促進され、地域統合がさらに進展することが期待されている。
     ナテテ橋は、同回廊上の国道13号線上のナテテ川に架かる橋長約30メートルの橋梁である。我が国は、無償資金協力「第二次幹線道路橋梁再建計画」(2000年交換公文(E/N)署名・交換)で本橋を含む14橋梁の再建を支援したものの、同橋については、架橋位置がいくつかの支流が合流する地点に近いため、洪水時には流水の影響を大きく受け、特に、2020年~2021年にかけて発生した想定外の大雨に起因する洪水により河川中央部の橋脚基礎の洗堀が発生し、橋脚の沈下とそれに伴う上部工の変形が生じた。現在は仮設橋により暫定的に通行が可能であるが、幅の狭い仮設橋への衝突事故や、許容荷重を超えた大型車の通行による損傷及び両橋台周辺の護岸侵食も起こっている。近隣には迂回路が無く、同橋が不通となった場合にナカラ回廊の通行を妨げる要因となるため、架け替えが急務である。
  3. モザンビーク政府は「政府5カ年計画(2025~2029年)」の戦略分野として「経済社会インフラ」を設定し、質の高い道路等のインフラの整備により経済活動を促進し国内各地域の統合を進めることとしている。また、「新道路セクター戦略」(2015年11月)では、道路開発における重要戦略として道路網強化を上げており、ナカラ回廊は国家基幹道路網の主要幹線の一つとなっているため、ナカラ回廊上のナテテ川に架かる橋梁を整備する本計画は、「政府5カ年計画」及び「新道路セクター戦略」においても優先度の高い事業として位置付けられている。
  4. ナカラ回廊上のナテテ川において、激甚化する洪水に対して洗堀による損傷が生じない強靭な橋梁等を整備する本計画は、こうしたモザンビーク政府の方針に沿うものである。また、我が国は対モザンビーク国別開発協力方針(2020年9月)において、モザンビークの有する豊富な鉱物・エネルギー資源の輸送路として重要であるナカラ回廊一帯の包括的な開発を重視した支援を実施する方針としており、本計画はこうした我が国の方針にも沿うものである。さらに、SDGsゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」及びゴール11「住み続けられるまちづくりを」にも貢献する。
  5. 本計画は、2025年8月のTICAD 9にて我が国が立ち上げを表明した広域オファー型協力「ナカラ回廊開発によるグローバル・サプライチェーンの強靭化」の一環として実施するものである。ナテテ橋の強靱性及び利便性の向上は、ナカラ港の安定的な利活用に資するものであり、本計画はこのオファー型協力の目的の観点からも重要である。また、インド洋に面するナカラ港は自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現においても重要な要衝であり、本計画は外交的観点からもその意義は大きい。

2-2 効率性

 我が国は、有償資金協力「ナカラ港開発計画(I)(II)」(2013年、2015年E/N署名・交換)、同「モンテプエス-リシンガ間道路計画」(2007年E/N署名・交換)や無償資金協力「ナカラ港緊急改修計画」(2012年E/N署名・交換)、同「イレ-クアンバ間道路橋梁整備計画」(2012年E/N署名・交換)を通じて、ナカラ回廊の起点となるナカラ港の改修・整備及び同港から内陸を繋ぐナカラ回廊沿道上の国道や橋梁の改良・新設を支援しているが、本計画は、ナカラ回廊開発においてこれらの計画と相互補完的に寄与するものである。
 なお、今次計画においては、より強靭性の高い設計・施工を行うことを念頭に、橋梁前後の縦断計画を緩やかにし、急ブレーキや速度低下に起因する舗装への影響を最小化する計画とした。また、平均気温の上昇によるサイクロンや強雨、洪水のより一層の激甚化も想定した橋梁の設計を実施し、気候変動による降雨量増加を考慮した100年確率降雨が生じる際の流況を解析し、計画高水流量、計画河道幅及び計画高水位を決定した。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2025年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2032年の目標値と比較すると、主に以下のような成果が期待される。

  1. 定量的効果
    • 大型車(44トン以上)のクアンバ-ナンプラ間の所要時間(分)が、507分から106分短縮し、401分となる。
    • 平均交通量(台/日)が、584(台/日)から118(台/日)増加し、702(台/日)となる。
    • 旅客数(万人/年)が、113.33(万人/年)から20.86(万人/年)増加し、134.19(万人/年)となる。
    • 貨物量(万トン/年)が、169.67(万トン/年)から39.82(万トン/年)増加し、209.49(万トン/年)となる。
  2. 定性的効果:貨物車両の過積率の向上による物流の効率化、経済活動の活性化、歩行者の交通安全性向上、洪水の被災リスクの減少

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  1. モザンビーク政府からの要請書
  2. JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  3. 「平成29年度モザンビークに対する経済社会開発計画の評価」(第三者評価)(2020年度(令和2年度))
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