ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
評価年月日:令和8年3月26日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子
1 案件概要
供与国名
ウズベキスタン共和国(The Republic of Uzbekistan)
案件名、実施機関、供与限度額、供与条件
| 案件名 | 実施機関 | 供与限度額 | 金利(注) | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 産業分野における省エネルギー推進計画 (Project for Promotion of Energy Efficiency in Industries) |
省エネルギー庁 (NAEE, National Agency for Energy Efficiency) |
149.69億円 | 2.40% | 25(7)年 | アンタイド |
- (注)優先条件(固定・オプション1)を適用。
- (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.80%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。
目的・事業概要
本計画は、ウズベキスタン共和国において、ツーステップローンによる譲許的融資を通じて、産業・商業施設における省エネルギー機材の導入を促進することで、省エネルギーの推進を図り、もって同国のグリーン・エコノミー・トランジションの実現、エネルギー安全保障及び気候変動対策に寄与するもの。
2 実施意義/資金協力案件の評価
(1)外交的意義
- ウズベキスタンを含む中央アジアは、東アジアとコーカサス、欧州を結ぶ回廊として地政学的な要衝である。また、近年、欧米、中国、中東を含む各国がウズベキスタンを含む中央アジア地域との関係強化や、同地域への進出を強める傾向がみられる。
- こうした中、我が国は、この地域の安定的な発展が地域のみならず国際の平和と安定にとり重要であるとの認識の下、2004年、中央アジアの域内協力を後押しする枠組みとして中央アジア5か国との間で「中央アジア+日本」対話を他国に先駆けて立ち上げ、2025年12月には「中央アジア+日本」対話(CA+JAD、Central Asia plus Japan Dialogue)/カジャッド)・首脳会合を初めて開催した。日本は、同会合において、中央アジア5か国の産業高度化・多角化を後押し、日本と中央アジアの互恵関係強化をするための「CA+JAD(カジャッド)東京イニシアティブ」を立上げ、「グリーン・強靱化」、「コネクティビティ」、「人づくり」を新たに重点協力3分野として特定する旨表明した。本計画は「グリーン・強靱化」を具現化するものである。
- また、ウズベキスタンとの二国間関係も多くの要人往来が実施される等良好であり、2025年12月のCA+JAD首脳会合の機会に行われた日・ウズベキスタン首脳会談の成果である首脳共同声明においても、「グリーン・強靱化」分野における協力の推進について一致している。
- このように、国際情勢を踏まえつつ、CA+JAD首脳会合及び二国間首脳会談のフォローアップとして、ウズベキスタン政府の省エネ分野における取組みを後押しする本支援を実施することは両国関係の一層の強化に極めて有効である。
(2)開発ニーズ/有効性
- ウズベキスタンでは、エネルギー供給の約99%を化石燃料に依存している中、GDP当たりのエネルギー消費量及び温室効果ガス排出量は世界平均と比較し極めて高い水準にある。今後の経済成長に合わせたエネルギー需要も増加が見込まれる中、同国の天然ガスの産出は約20年で枯渇するという予測もあり、この状況で同国政府は、国家開発計画(Uzbekistan Strategy 2030)の中で持続的な経済成長のために省エネの推進等の資源の有効活用も含めたグリーン・エコノミー・トランジション(GX)を目指し、産業部門において20%の省エネを達成することやGDP当たりのGHG排出量を2010年比で30%削減すること等を目標として掲げている。
- 同国のエネルギー消費のうち、産業及び商業部門は大きな割合を占めており、同部門における省エネ対策が喫緊の課題となっている。特に、エネルギー多消費産業である非金属鉱物製品製造業、化学薬品製造業、繊維産業、食品・飲料産業等におけるボイラー、ポンプ、モーター等の設備更新や工場エネルギー管理システム(FEMS)の導入等によりエネルギー効率の改善が期待される。また、ホテルやショッピング・センター等の商業施設においても空調・暖房設備の更新やビルエネルギー管理システム(BEMS)の導入により省エネ効果を得られることが期待される。
- 本計画は、こうした状況を踏まえ、ツーステップローンによる譲許的融資等を通じて、産業・商業部門における省エネルギー機材・設備の導入を促進し、エネルギー消費量及びGHG排出量の削減を図るものである。また、産業部門における省エネの推進を図るものであり、SDGsゴール13(気候変動)に貢献することから、事業の実施を支援する必要性は高い。
- 定量的評価
- サブローンを受けて省エネ化したサブボロワー数(社):0から40~50
- サブローンの承諾・貸付総額(億円):0から148
- エネルギー効率向上・省エネ率(%):0から10
- エネルギー消費削減量(一次エネルギー換算・GJ/年):0から2,600,000
- 融資を行った企業の年間GHG排出削減量(CO2換算・tCO2/年):0から120,000
- NAEE、PFI、サブボロワー向けジェンダー平等にかかる研修(人数):0から50~60
- サブボロワーに対する省エネ効果測定の技術指導(人数):0から60~90
- 一般企業への省エネ啓発活動(企業数):0から140
- PFIに対する省エネ効果の測定支援(技術指導を受けた人数):0から12~20
- 定性的評価
関係機関(NAEE、PFIs、融資先)における省エネに対する理解深化、産業部門における省エネ意識の向上、関係機関におけるジェンダー平等意識の向上、エネルギー需給の安定。
(3)我が国の基本政策との関係等
我が国の対ウズベキスタン共和国国別開発協力方針(2022年9月)では「持続的な経済成長の促進と格差の是正」を基本方針とし、「公平かつ持続可能な社会の構築」を目指し気候変動など地球規模課題の解決に向けた支援を実施するとしている。2025年12月の「中央アジア+日本」対話(CA+JAD)の第1回首脳会合で採択された東京宣言では、「グリーン・強靭化」が重点分野とされ、「経済成長、エネルギー安全保障及び脱炭素を同時に達成し、多様な道筋を通じてネット・ゼロ/カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行の実施を目指す」としている。
対ウズベキスタン共和国JICA国別分析ペーパー(2023年3月)では「省エネ・低炭素化プログラム」を重点協力分野の1つとしており、本事業はこれら方針・分析に合致する。
3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点
本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2022年1月公布)上、カテゴリFIに該当する。
なお、本事業では、仲介金融機関/実施機関が、本事業で雇用されるコンサルタントの支援を受けつつ、ウズベキスタン国内法制度及び「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に基づき、各サブプロジェクトについてカテゴリ分類を行い、該当するカテゴリに必要な対応策が取られることとなっている。なお、サブプロジェクトにカテゴリA案件は含まれない。
4 事前評価作成に用いた資料、有識者の知見等
要請書、JICAから提出された資料等。
