ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和8年6月11日
評価年月日:令和8年3月26日
評価責任者:国別開発協力第二課長 廣瀬 愛子
1 案件概要
供与国名
ウズベキスタン共和国(The Republic of Uzbekistan)
案件名、実施機関、供与限度額、供与条件
| 案件名 | 実施機関 | 供与限度額 | 金利(注) | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公共施設における省エネルギー推進計画 (Project for Promotion of Energy Efficiency in Public Buildings) |
省エネルギー庁 (NAEE, National Agency for Energy Efficiency) |
217.88億円 | 2.40% | 25(7)年 | アンタイド |
- (注)優先条件(固定・オプション1)を適用。
- (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.80%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。
目的・事業概要
本計画は、公共施設において省エネルギー設備の導入や改修を実施することで、省エネルギーの推進を図り、もって同国のグリーン・エコノミー・トランジションの実現、エネルギー安全保障、及び気候変動対策に寄与するもの。
2 実施意義/資金協力案件の評価
(1)外交的意義
- ウズベキスタンを含む中央アジアは、東アジアとコーカサス、欧州を結ぶ回廊として地政学的な要衝である。また、近年、欧米、中国、中東を含む各国がウズベキスタンを含む中央アジア地域との関係強化や、同地域への進出を強める傾向がみられる。
- こうした中、我が国は、この地域の安定的な発展が地域のみならず国際の平和と安定にとり重要であるとの認識の下、2004年、中央アジアの域内協力を後押しする枠組みとして中央アジア5か国との間で「中央アジア+日本」対話を他国に先駆けて立ち上げ、2025年12月には「中央アジア+日本」対話(CA+JAD、Central Asia plus Japan Dialogue)/カジャッド)・首脳会合を初めて開催した。日本は、同会合において、中央アジア5か国の産業高度化・多角化を後押し、日本と中央アジアの互恵関係強化をするための「CA+JAD(カジャッド)東京イニシアティブ」を立上げ、「グリーン・強靱化」、「コネクティビティ」、「人づくり」を新たに重点協力3分野として特定する旨を表明した。本計画は「グリーン・強靱化」を具現化するものである。
- また、ウズベキスタンとの二国間関係も多くの要人往来が実施される等良好であり、2025年12月のCA+JAD首脳会合の機会に行われた日・ウズベキスタン首脳会談の成果である首脳共同声明においても、「グリーン・強靱化」分野における協力の推進について一致している。
- このように、国際情勢を踏まえつつ、CA+JAD首脳会合及び二国間首脳会談のフォローアップとして、ウズベキスタン政府の省エネ分野における取組みを後押しする本支援を実施することは両国関係の一層の強化に極めて有効である。
(2)開発ニーズ/有効性
- ウズベキスタンでは、エネルギー供給の約99%を化石燃料に依存している中、GDP当たりのエネルギー消費量及び温室効果ガス排出量は世界平均と比較し極めて高い水準にある。今後の経済成長に合わせたエネルギー需要も増加が見込まれる中、同国の天然ガスの産出は約20年で枯渇するという予測もあり、この状況で同国政府は、国家開発計画(Uzbekistan Strategy 2030)の中で持続的な経済成長のために省エネの推進等の資源の有効活用も含めたグリーン・エコノミー・トランジション(GX)を目指し、産業部門において20%の省エネを達成することやGDP当たりのGHG排出量を2010年比で30%削減すること等を目標として掲げている。
- 同国では、公共施設、商業施設及び住宅等の建物部門がエネルギー消費全体の50%を占めるが、政府が所有する46,000棟の建物のうち、学校・幼稚園、病院・クリニックは約20,000棟を占め、これらの公共施設では、エネルギー消費の70%以上が暖房や給湯などの熱利用に集中する一方、多くがソ連時代に建設された建物であり、旧式のボイラーの使用や断熱性の不足などにより、エネルギー効率が低い。
- 本計画は、こうした状況を踏まえ、公共施設にヒートポンプや断熱材などの省エネルギー設備の導入を促進し、エネルギー消費量及びGHG排出量の削減を図るもので、SDGsゴール13「気候変動」に貢献することから、事業の実施を支援する必要性は高い。
- 定量的評価
- エネルギー消費削減量(一次エネルギー換算・GJ/年):0から690,000
- GHG排出削減量(CO2換算・tCO2/年):0から48,172
- 本事業における省エネ設備導入施設数(件):0から132
- 本事業におけるエネルギー監査実施施設数(件):0から132
- 省エネ設備を導入した学校及び幼稚園での省エネ意識向上セミナーの実施回数(回):0から110
- ジェンダー対応チェックリストを用いて現場確認を行ったサブプロジェクトの数(件):0から132
- 定性的評価
関係者の省エネ技術にかかる能力強化(NAEE、関連省庁、公共施設利用者、現地コントラクター)、国民の省エネ意識の向上、エネルギー需給の安定
(3)我が国の基本政策との関係等
我が国の対ウズベキスタン共和国国別開発協力方針(2022年9月)では「持続的な経済成長の促進と格差の是正」を基本方針とし、「公平かつ持続可能な社会の構築」を目指し気候変動など地球規模課題の解決に向けた支援を実施するとしている。2025年12月の「中央アジア+日本」対話(CA+JAD)の第1回首脳会合で採択された東京宣言では、「グリーン・強靭化」が重点分野とされ、「経済成長、エネルギー安全保障及び脱炭素を同時に達成し、多様な道筋を通じてネット・ゼロ/カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行の実施を目指す」としている。
3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点
本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2022年1月公布)上、セクター特性、事業特性および地域特性に鑑みて、環境への望ましくない影響が重大でないと判断されるため、カテゴリBに該当する。
4 事前評価に用いた資料、有識者の知見等
要請書、JICAから提出された資料等。
