ODA(政府開発援助)

平成28年5月30日

評価年月日:平成28年3月14日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

ベトナム社会主義共和国

(2)案件名

ホーチミン市都市鉄道建設計画(ベンタイン-スオイティエン間(1号線))(第三期)

(3)目的・事業内容

 ベトナム最大の都市であるホーチミン市において,都市鉄道(約20キロメートル)及びその関連施設の整備を行うことにより,ホーチミン都市圏の交通渋滞及び大気汚染の緩和を図り,もって地域経済の発展及び都市環境の改善を通じた成長と競争力強化に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事(地下区間,高架区間の鉄道土木工事,車両基地工事)
    • 車輌調達,電気・通信・信号システム,開業後5年間のメンテナンス
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    901.75億円 年0.1% 40(10)年 日本タイド

    (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア 環境影響評価(EIA)

     本計画は「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(2002年4月公示)に掲げる鉄道セクター及び影響を及ぼしやすい特性に該当するため,カテゴリーAに該当する。また,環境影響評価(EIA)報告書は,2006年11月にベトナム天然資源環境省により承認済み。

  • イ 用地取得及び住民移転

     約31ヘクタールの用地取得,140世帯の非自発的住民移転を伴い,ベトナム国内法及び住民移転計画に沿って用地取得済み。

  • ウ 外部要因リスク

     特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ

     ホーチミン都市圏の人口は1995年の659万人から2011年には1,065万人に増加しており,バイクおよび自動車の登録台数も大幅な増加が見られ,市内道路交通量の増加が著しい。この結果,交通渋滞の深刻化,交通事故の増加,大気汚染の悪化,都市サービスへのアクセス困難等の問題が生じており,効率的な経済社会活動を阻害する要因となっている。既存の公共交通(バス等)の輸送能力及び道路網の大幅な拡充が困難な状況から,ホーチミン市では都市鉄道を軸とした新たな大量都市交通システム整備が計画されている。
    ホーチミン市においては,現在8路線の事業計画が掲げられており,本計画の対象である1号線に最も高い優先度が付されており,本計画のニーズは大きい。

  • イ 我が国の基本政策との関係

     2012年12月に策定された対ベトナム社会主義共和国国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点分野に掲げており,「経済成長に伴い増大している経済インフラ需要に対応するため,幹線交通及び都市交通網の整備」に係る支援を重点的に取り組むとしている。都市交通網の整備を目的とする本計画は右方針に整合している。

(2)効率性

 本計画の中心部側のターミナル駅であるベンタイン駅を中心とした区域を対象とするPPPプロジェクトの計画があり,同計画に合わせた施工及び進捗管理を行うことにより,本案件の効率性の確保を検討する。

(3)有効性

 本計画によって,事業完成2年後の2022年には,都市鉄道の1日当たりの乗客数が約3,400,000人となると見込まれる等,ホーチミン市都市圏の渋滞緩和及び大気環境の緩和を図り,もって地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与する。また,ベトナムの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,ベトナム都市交通セクターへの支援の評価,その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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