ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成28年4月7日

評価年月日:平成28年3月31日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治

1 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

マディヤ・プラデシュ州送電網増強計画

(3)目的・事業内容

 インド中央部マディヤ・プラデシュ州全域において,送電線及び変電所の新増設等を行うことにより,同州の系統の安定化及び発電容量の増加に即した追加電力の安定供給の達成を図り,もって同州の電力需給状況の改善を通じた経済成長の促進に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)送電線(400kV,220kV,132kV)の敷設に向けた資機材の調達,土木工事,据付等
    • (イ)変電所の新設・増強に向けた資機材の調達,土木工事,据付等
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    154.57億円 0.80% 20(6)年 一般アンタイド
  • (4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

    • ア EIA(環境影響評価)
       本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げるカテゴリBに該当する。本計画の用地(全体約87.5ha)のうち,森林約66.4haに関しては,2016年12月を目途に森林承認が取得される見込み。
       なお,インド国内法上は,EIA作成義務対象外である。
    • イ 用地取得及び住民移転
       本計画に必要な用地約87.5haについては,全て州政府から譲渡を受ける予定である。本計画において,住民移転は発生しない。
    • ウ 外部要因リスク:特になし。

    2 資金協力案件の評価

    (1)必要性

    • ア 開発ニーズ
       インドでは,近年の急速な経済成長に伴いエネルギー消費が増加を続けており,世界第4 位の電力消費国となっている(2012 年)。他方,深刻な電力の需給逼迫が続いており,2014 年度は,需要に対して供給量が5.1%の不足である。関連して,第12 次5か年計画(2012 年4 月~2017 年3 月)では,第11 次5か年計画に引き続き,新電力法に基づく電力セクター改革,特に超臨界圧以上の石炭火力発電に重点を置いた電源開発,送配電設備増強及び地方電化を国内の重要課題としている。
       インド中央部に位置するマディヤ・プラデシュ州は,日印政府のイニシアティブにより進められているデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(Delhi-Mumbai Industrial Corridor: DMIC)の対象州であり,インドール空港近辺の経済特区開発,デワス市付近の物流拠点の開発及びピタムプール工業地域開発等の積極的な産業開発が計画されている。また,同州は,今後増大する電力需要に対応するため,第13次5か年計画の対象期間である2021年度までに,複数の独立系電力発電事業者(IPP)による発電も含め,合計約7,000MWの新規発電所建設を計画している。このような発電容量増分は,都市部のみならず,地方部にも供給されることが期待されており,安定した電力系統を保ち,送電ロスを低水準に保つためには,増大する電力潮流に対応するための送変電網の増強が喫緊の課題である。
        このため,本計画を実施することは,インド中央部マディヤ・プラデシュ州全域において,送電線及び変電所の新増設等を行うことにより,同州の系統の安定化及び発電容量の増加に即した追加電力の安定供給の達成を図り,もって同州の電力需給状況の改善を通じた経済成長の促進に寄与するものであり,インドの開発政策とも高い整合性を有しており,本計画のニーズは大きい。
    • イ 我が国の基本政策との関係
       2006年5月に策定された「対インド国別援助計画」においては,対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進,(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大を掲げている。本計画は,送配電網整備という観点から,上記(a)に合致するものである。

    (2)効率性

     本計画は,マディヤ・プラデシュ州送電公社(MPPTCL)にとって新技術となる屋外GIS変電設備及び低ロス送電線が導入されることから,右技術を導入するパッケージについては,別途有償勘定技術支援等を通じた基本設計,調達監理及び施工等への支援を検討する。また,許認可手続面では,森林伐採について,MPPTCLが速やかに森林クリアランスを取得するよう,JICAが進捗を確認していく予定。

    (3)有効性

     本計画の実施により,インド中央部マディヤ・プラデシュ州全域において,送電 線及び変電所の新増設等を行うことにより,同州の系統の安定化及び発電容量の増加に即した追加電力の安定供給の達成を図り,同州の電力需給状況の改善を通じた経済成長の促進に寄与することが期待される。運用・効果指標(いずれも事業完成2年後(2022年)見込み)として,変電容量(14,705MVA(400/200kV):2015年推計値7,350MVA,29,270MVA(220/132kV):2015年推計値20,750MVA,27,289kV(132/33kV):2015年推計値22,163.50MVA),平均設備稼働率(98%),送電端電力量(115,180GWh),送電損失率(3%未満)等を設定している。

    3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

     要請書,インド国別評価報告書国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。
     案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
     なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。(了)