ODA(政府開発援助)

令和8年9月24日

評価年月日:令和8年6月3日
評価責任者:国別開発協力第一課長 加藤 要太

1 案件名

1-1 供与国名

 パプアニューギニア独立国(以下、「パプアニューギニア」という。)

1-2 案件名

 ココポ・ラバウル沿岸幹線道路土砂災害リスク軽減計画

1-3 目的・事業内容

 ココポ・ラバウル沿岸幹線道路のココポ周辺の土砂災害多発区間において土砂流出対策を実施することで通年の通行確保を図り、もって同地域の物流の安定を通じた、経済成長基盤の強化に寄与するもの。供与限度額は41.80億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2022年1月制定)におけるカテゴリBであり、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  1. パプアニューギニア(一人当たり国民総所得(GNI)2,940米ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、低中所得国に分類されている。
  2. パプアニューギニアの北東部に位置するニューブリテン島はニューギニア本島に次ぐ第二の面積を持ち、東ニューブリテン州(以下、「ENB州」という。)と西ニューブリテン州により構成される。マグロ・カツオ、パームオイル、カカオ、バルサ材など農林水産物輸出や戦跡を活用した観光業が主要産業であるENB州北部地域は、周辺の島嶼州への主要な移動及び燃料を含む物資輸送の重要なハブとなっている。
  3. ココポ・ラバウル沿岸幹線道路は、ラバウル港とENB州都ココポの間を結ぶ全線24キロメートルの国道で、大型トラックが走行可能な主要幹線道路である。しかし、降雨時には山側斜面に堆積した火山灰が土砂となって流入することで通行止めが発生し、経済活動や公共サービスに影響を及ぼしている。特に、ココポから西4キロメートル付近のカラビ~ラングナ間2.4キロメートルは交通量の多い地域であるが、土砂災害の多発により、既設橋梁が埋没しており、3日程度の通行止めが年に数回発生している。2019年の大規模な土砂災害では、道路上に堆積した瓦礫などの除去に州政府が300万パプアニューギニア・キナ(以下、「PGK」という。)(約1.2億円)を費やしたほか、通行止めの解消まで3週間を要するなど、本道路の土砂災害対策が喫緊の課題となっている。
  4. 本事業は、ココポ・ラバウル沿岸幹線道路のココポ周辺の土砂災害多発区間において斜面・排水等の土砂流出対策を講じ、交通及び物流の安定に資するものである。
  5. パプアニューギニアでは、災害による経済的損失と主要インフラの損害削減を目標に含めた「国家災害リスク削減枠組み2017‐2030」を策定したほか、「中期開発計画IV 2023-2027」でも気候変動や防災を優先分野に掲げ、産業維持・拡大に欠かせないインフラの災害耐久性向上を重要視している。
  6. 2024年の第10回太平洋・島サミット(PALM10)において、我が国が表明した重点分野のうち、「資源と経済開発」、「気候変動と災害」及び「技術と連結性」に合致し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の「多層的な連結性」、2026年5月に発表された「進化版FOIP」の「連結性の強化」に資する案件である。また、我が国の対パプアニューギニア国別開発協力方針(2024年4月)の重点分野「経済成長基盤の強化」に合致する。さらに、SDGsゴール9「強靭なインフラの構築、包摂的で持続可能な工業化の促進とイノベーションの育成」及びゴール13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策」に貢献する。
  7. パプアニューギニアの所得水準は相対的に高いことから、2014年4月外務省国際協力局策定「所得水準が相対的に高い国に対する無償資金協力の効果的な活用について」に基づき、無償資金協力の供与の適否について精査が必要である。山岳地帯を背景にした海岸沿いの限られた平地に道路を建設せざるを得ないパプアニューギニアは自然環境の変化に脆弱であり(「環境的脆弱性」)、天然資源が輸出の大部分を占めることから、安定的な資源生産・輸出が阻害される自然災害の発生や資源価格の変動に経済が左右されやすい(「経済的脆弱性」)。そのような中、ココポ・ラバウル沿岸幹線道路においては、豪雨時に火山性堆積物が山側斜面から流出して土砂災害が頻発しており、年に複数回の通行止めにより、物流停滞や公共サービスへのアクセス疎外といった深刻な影響が生じており、迅速な対策が求められている(「緊急性・迅速性」)。更に、本邦技術を活用した我が国による協力がパプアニューギニア政府より強く希望されており、日本のプレゼンス強化に寄与することから(「外交的観点」)、無償資金協力として本計画を実施する意義は高い。

2-2 効率性

 太平洋島嶼国では、建設資機材の数量に限りがあり費用が高騰していることから、鉄筋及び現場で使用するダンプ等の重機を日本で調達する予定としている。これにより海上輸送費や輸送期間中の損料がかかるものの、パプアニューギニアで調達するよりも費用が低減する。このように、効率的・合理的な施設建設を確保しながらも、コスト縮減を目指した。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2023年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2032年の目標値を比べて、以下のような成果が期待される。

  1. 定量的効果
    1. 対象区間の土砂災害による通行止めの日数が、6日/年から0日/年となる。
    2. 対象区間の土砂災害発生時の政府による復旧費用が、857,000PGK/年(注)から0PGK/年になる。
      (注)85.7万PGKは約3千万円
  2. 定性的効果
    1. 災害による住民の生命・財産への脅威が低減する。
    2. 海上への土砂流出が低減する。
    3. 住民の基本的な公共サービス(教育・医療・市場)や観光資源へのアクセスが恒常的に確保される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  1. パプアニューギニア政府からの要請書
  2. JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  3. 太平洋島嶼国のODA案件に関わる日本の取組の評価(2015年度・第三者評価)
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