ODA(政府開発援助)

令和8年7月14日

評価年月日:令和8年7月3日
評価責任者:国別開発協力第一課長 加藤 要太

1 案件概要

供与国名

 カンボジア王国(Kingdom of Cambodia

案件名、実施機関、供与限度額、供与条件

案件名 実施機関 供与限度額 金利(注) 償還(うち据置)期間 調達条件
シハヌークビル港新コンテナターミナル整備計画(第二期)
Sihanoukville Port New Container Terminal Development Project (II)
シハヌークビル港湾公社(Port Authority of Sihanoukville: PAS 177.76億円 TORF+45bp 30(10)年 アンタイド
  • (注)一般条件(変動・基準)を適用。
  • (注)コンサルティング・サービス部分は金利1.1%とし、償還期間及び据置期間並びに調達条件は本体部分と同様とする。

目的・事業概要

 本計画は、カンボジア唯一の大水深港であるシハヌークビル港において、新コンテナターミナル整備を通じて本港の貨物取扱能力を向上させることにより、物流機能の強化を図り、もってカンボジアにおける貿易促進及び経済社会発展に寄与することを目的とする。シハヌークビル港新コンテナターミナル整備計画(第一期)」において、物価上昇や急激な為替変動等により総事業費が52,598百万円に増加したことを受け、17,776百万円の追加借款で対応するもの。

2 資金協力案件の評価

(1)外交的意義

 カンボジアはメコン地域の中心に位置し、タイ湾に面したシハヌークビル港(以下、「本港」という。)はカンボジア唯一の大水深港でありカンボジアの輸出入コンテナ貨物(重量ベース)の約7割を取扱っている。2022年3月に発表された日カンボジア共同声明では、シハヌークビル港をカンボジア、ひいてはメコンそしてより広い地域における主要な港の中核港として機能させるべく最大限協力していくことで一致しているほか、令和7年度までの数次にわたる日カンボジア首脳会談でも、フン・セン首相(当時)やフン・マネット首相から「大型船舶を直接カンボジアに入港できるようにしたい」といった港の支援に関する言及があり、貿易の円滑化、投資の促進についても度々言及がなされるなどカンボジア政府の本事業に対する関心は非常に高く、本事業の外交的意義は大きい。
 また、本港は太平洋とインド洋を結ぶ結節点に位置していることから、地政学的に重要な本港の整備を促進することは、「自由で開かれたインド太平洋」における法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着、連結性に資する。

(2)開発ニーズ/有効性

ア 開発ニーズ

 カンボジアは急速に経済成長しており、日本が過去の円借款事業で修復、拡張を支援してきた本港におけるコンテナ貨物の取扱量は、カンボジアの経済成長に伴い過去10年間で年平均14.4%増加している。2016年時点では年間40万TEU(コンテナ貨物取扱量)(2016年実績値)であったが、カンボジア側で拡張工事等を行ったことにより年間134万TEU(2025年実績値)まで上昇した。既に本事業(第一期)の当初目標値を上回る需要が確認できている一方で、既存ターミナルの取扱容量は既に限界に達している状況である。
 運営を担うPASは貨物取扱の効率化に向けた短期的な対策を実施するとともに、円借款「シハヌークビル港新コンテナターミナル整備計画」(2017年8月交換公文の署名・交換)及び円借款「シハヌークビル港新コンテナターミナル拡張計画(第一期)」(2022年8月交換公文の署名・交換)により、新たに3つのコンテナターミナル(New Container Terminal 1, 2, 3。以下、「NCT1, 2, 3」という。)の整備を進めている。加えて、コンテナ海上輸送の基幹である北米・欧州航路で就航する大型船の寄港には本港の既存港湾施設の水深及び岸壁延長は不足しており、NCT1, 2, 3の整備(港の水深拡張や岸壁延長工事を含む)により、当国の貿易促進及び投資環境の向上を図ることが期待される。

イ 有効性
  1. 定量的評価
    • コンテナ貨物取扱量(TEU)は392,000(2015年実績値)から1,790,000(2029年:事業完成2年後)に増加する。
    • バース占有率(%)は45(2015年実績値)から60~70(2029年:事業完成2年後)に増加する。
    • 入港船舶の最大載荷重量トン数(DWT)が30,000(2015年実績値)から50,000(2029年:事業完成2年後)に増加する。
  2. 定性的評価
     港湾サービスの向上、カンボジアにおける貿易促進及び経済社会発展。

(3)我が国の基本政策との関係等

 我が国は、対カンボジア王国国別開発協力方針(2024年4月)において「経済成長をもたらす産業の変革と発展」を重点分野に位置付け、産業振興や投資促進に向けた基盤整備のために物流の円滑化による連結性強化の支援に取り組むとしており、本計画は当該方針に合致するものである。また、日本政府がカンボジアの持続的発展と社会的価値の共創に向け打ち出した「3つの新たな協力アプローチ」(2024年7月)においてシハヌークビル港を「海の連結性」のハブとして発展させることとしており、本計画を完遂することは外交的意義が大きい。さらに、本事業は、物流機能の強化及び気候変動対策に資するものとしてSDGsゴール8(持続的、包摂的で持続可能な経済成長)、ゴール9(強靭なインフラの構築)、及びゴール13(気候変動に具体的な対策を)に貢献すると考えられることから、事業の実施を支援する必要性は高い。

3 環境社会配慮、外部要因リスク等留意すべき点

 本計画は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため、カテゴリBに該当する。
 工事中は待機室、水質、騒音・振動等を伴うが、工事車両等のメンテナンス、散水、シルトフェンスの使用、工事時間の制限等の対策が取られ、また供用後の大気質等については機材のメンテナンス等の対策が取られることから、重大な負の影響は想定されない。

4 事前評価作成に用いた資料、有識者の知見等

 要請書、カンボジア国別評価報告書(2017年度)、南部回廊を中心としたメコン地域の連結性の評価(2017年度)、ASEAN地域別評価(2024年度)、平成28年度対カンボジア無償資金協力(事業・運営権対応型)「コンポントム上水道拡張計画」の評価及び令和2年度対カンボジア無償資金協力「経済社会開発計画」の評価(2025年度)、JICAガイドライン、その他JICAから提出された資料等。

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