ODA(政府開発援助)

令和2年12月21日

評価年月日:令和2年10月15日

評価責任者:国別開発協力第三課長 黒宮 貴義

1 案件名

1-1 供与国名

 スーダン共和国(以下「スーダン」という。)

1-2 案件名

 上水道施設運営維持管理改善計画

1-3 目的・事業内容

 スーダンの給水システムの運営・維持管理に必要な機材(井戸洗浄機材、水質分析機、超音波流量計等)等を整備することにより、安全かつ安定的な水供給の改善を図り、もって対象地域住民の生活環境の向上を通じたスーダンの基礎生活分野支援に寄与するもの。
 供与限度額は10.04億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)におけるカテゴリCであり、環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)スーダン(一人当たり国民総所得590ドル(2019年、世銀))は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
  • (2)同国における安全な水へのアクセス率は60.3%(2019年)であり、一層の改善が望まれている。また、全国平均2.4%(2019年)の高い人口増加率を背景に、今後同国における給水需要はより一層増大していくと見込まれる。
  • (3)しかし、同国では、都市部及びその周辺地域において給水事業を担う組織の能力や機材の不足により、井戸の検査・修繕や給配水管修繕等、給水システムの維持管理が不十分な状態にある。また、給水量等の給水事業に係る基本データの把握・管理が不十分であり、現状のままでは、増大する給水需要に適切に対応して安全な水へのアクセス率を高めていくことは困難と考えられる。
  • (4)こうした中、同国政府は、「国家25か年給水計画」(2007-2031年)において、安全な水へのアクセス率を2031年までに100%とする目標を掲げており、また、「給水・衛生分野国家戦略」(2018-2022年)において、給水事業におけるモニタリング及び維持管理の強化を重要課題と位置づけている。
  • (5)我が国は、対スーダン国別開発協力方針において、「基礎生活分野支援」を重点分野の一つとし、持続的な水利用、施設整備、維持管理能力強化等を内容とする「水・衛生支援プログラム」を実施していく方針としており、本計画は同方針に合致するものである。また、SDGsゴール6「万人の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理の確保」にも貢献するものであり、本計画を実施する意義は高い。
  • (6)同国においては、2019年の政変により30年続いた独裁体制が崩壊し、現在は国際社会からの支援の下で暫定政府が民政移管プロセスを進めているところである。我が国はこれまで同国に対する支援を継続して実施してきており、今後も同国に対する開発協力を通じて二国間関係を強化していくことが重要である。

2-2 効率性

 スーダン政府の要請を踏まえつつ、現地調査において対象地域の水公社との協議から得られた情報及びコスト・施工効率を考慮した上で、各水公社の能力(技術力・維持管理予算・人員等)に合わせた供与機材の絞り込みを実施し、必要かつ適切な事業規模とした。

2-3 有効性

 本計画の実施により、事業完成3年後(2025年)には、2018年比で以下の成果が得られることが期待される。

  • (1)調達機材を使用した新設又は改修されたウォーターヤードによる1年あたりの給水裨益人口が、0人から996,800人に増加する。
  • (2)調達機材を使用した1年あたりの累計漏水削減量が、0立方メートルから1,581,850立方メートルに増加する。
  • (3)調達機材を使用した管路の新設・更新延長距離が、1年あたり0キロメートルから1,310キロメートルに増加する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)スーダン政府からの要請書
  • (2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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