ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成27年12月21日

評価年月日:平成27年10月23日
評価責任者:国別開発協力第二課アフガニスタン支援室長 森安 克美

1 案件名

(1)供与国名

アフガニスタン・イスラム共和国

(2)案件名

灌漑システム改善及び組織能力強化を通じた農業生産性向上計画(FAO連携)

(3)目的・事業内容

 本計画は,国連食糧農業機関(FAO)を事業実施主体とし,灌漑施設改修における灌漑設備の拡大・灌漑事業の改善,優良品種種イモの普及及び農業灌漑牧畜省(MAIL)職員の能力向上を行うことにより対象地域の農業生産量・生産性向上を図り,もって同国の農業・農村開発を通じた持続的・自立的発展に寄与するもの。供与額は14億8,700万円である。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 考慮すべき留意点としては以下の事項が挙げられる。

  • ア 円滑な事業実施のため,今後アフガニスタンの治安状況が著しく悪化しないこと。
  • イ 案件実施に際し,アフガニスタン側負担事項が適切に実施され,案件完了後もアフガニスタン側で適切な維持管理がなされること。

2 無償資金協力の必要性

(1)必要性

  • ア アフガニスタンの基幹産業は畜産業を含む農業であり,GDPにおいて農業分野の占める割合は31%に上り,人口の約8割が農業に従事している。同国は乾燥した気候である上,国土に占める耕作可能地は12%のみであり,農業生産量・生産性の向上には灌漑設備の整備が不可欠である。しかし,20年以上に及ぶ内戦による混乱の結果,灌漑施設を始めとする基本的な農業インフラは荒廃し,現在,耕作可能地約961万haに対し,灌漑施設を有する農地は約209万haのみである。かかる状況から灌漑設備の拡大及び改修は喫緊の課題である。
  • イ また,同国第二(第一はコムギ)の主要穀物であるコメは年間約46万トンが国内で生産されているが,国内需要を満たすことはできず,周辺国から年間16万トンのコメを輸入し,外貨流出の一因となっている。また,人口増加によりコメの需要増が想定される一方,コムギと比べ,コメ生産農家に対する行政支援や国際社会からの支援は限定的であることから,行政による技術開発・普及体制は遅れている。加えて,第三の主要穀物であるジャガイモについては,高品質の種イモが市場において供給されておらず,近隣国における水準に比べて生産性が著しく低くなっている。
  • ウ かかる背景から,これまでアフガニスタンにおける農業・農村開発に対し,継続的に支援を行ってきた我が国に対し,アフガニスタン政府及びFAOから,本件計画に対する支援要請がなされた。

(2)効率性

 FAOは同国における灌漑復旧・水資源関連支援の実績,技術及び実施体制を有しており,現地の治安状況にも鑑みれば事業実施にはFAOとの連携が効率的である。

(3)有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • ア 既存の灌漑施設7,000haを改修するとともに,新たに2,000haの灌漑施設を整備することで,2021年までに約9,000世帯の農家の農業生産性が向上する。
  • イ コメの単位収量が3.0t/ha(2015年:基準値)から3.75t/ha(2021年:目標値)に増加するとともに,優良種イモが普及することで,食糧安全保障の改善に資する。
  • ウ 灌漑モデルの技術体系の普及が図られるとともに,将来的に同国内で同モデルを展開するための基礎が構築される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)アフガニスタン政府からの要請書