ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成27年12月17日

評価年月日:平成27年12月8日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治

1 案件概要

(1)供与国名

バングラデシュ人民共和国

(2)案件名

西部バングラデシュ橋梁改良計画

(3)目的・事業内容

 主にバングラデシュ西部地域において橋梁の架け替え及び新設を行うことにより,道路ネットワークの安全性及び効率性の向上を図り,もって全国民が受益可能な経済成長の加速化に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 対象橋梁(約60橋)の架け替え・新設及びアプローチ道路の建設
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    293.40億円 0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア EIA(環境影響評価):本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる道路,橋梁セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないためカテゴリBに該当する。本計画は,バングラデシュ国内法上,対象橋梁毎の環境影響評価(EIA)報告書の作成,承認及び環境応諾書(Environmental Clearance Certificate: ECC)の取得が義務付けられており,61橋について環境局(Department of Environment)よりECCを取得済みである。
  • イ 汚染対策:工事中の排ガス・粉塵・水質汚染・騒音等の影響については,散水,浸出水処理,作業時間の制限,工資材類の飛散防止カバー被覆,工事用重機の適正管理等の対策が取られる。また,工事中に発生する建設廃土については,指定の最終処分場にて処分される。供用後の騒音については,国内基準等を満たす見込みである。
  • ウ 自然環境面:本計画において,対象となる橋梁は国立公園等の影響を受けやすい地域又はその周辺に該当せず,自然環境への望ましくない影響は最小限と想定される。
  • エ 社会環境面:本計画では,61橋総計で約125haの用地取得及び385世帯(1,818人)の住民移転が発生する見込みのため,同国国内法及び実施機関作成の住民移転計画に基づいて手続きが進められる。また,実施機関は現状想定される橋梁及びアプローチ道路の位置を基に対象地域住民への用地取得・住民移転に係る説明会を実施しており,全ての対象橋梁について,住民移転計画に対する住民合意を得ている。
  • オ その他・モニタリング:本計画においては,工事中は施工業者が大気質,騒音,水質等について,供用後は実施機関が騒音及び交通事故について,モニタリングを行う。また,用地取得・住民移転の実施状況及び生計回復状況等については,実施機関が,コンサルタント及び現地NGOの支援を得てモニタリングを行い,加えて,第三者機関への委託による外部モニタリングも実施する。
  • カ 外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
     バングラデシュでは,近年の堅調な経済発展に伴い,1975年から2005年までの過去30年間で貨物取扱量が約8倍,旅客数が約6.5倍に増加しており,今後も年率6%程度の増加が見込まれている。また,道路輸送への依存度が高く,全運輸モードの8割を占める。当国の道路ネットワークは,国内のみならず,周辺の内陸国・地域にとっても,重要な流通ルートとして認識されているが,全国の国道,主要地方道,県道に位置する約3,800橋のうち約4割については,老朽化,維持管理不足,初期欠陥等により,通行不能なほどの構造的欠陥もしくは主要な損傷があるとされている。実際に,雨季の期間(約2か月間)に通行不能となる損傷橋梁や,大型・重量貨物車両の通行が困難な橋梁もあり,流通のボトルネックとなっている。
     同国政府が策定した「第6次五か年計画」(2011/12~2015/16年度),「国土交通政策」(2004年),「道路マスタープラン」(2009年)等の道路セクターに係る各種政策では,共通して,地方部及び近隣諸国とのアクセス向上に資する道路ネットワーク(橋梁を含む。)の整備,老朽化及び構造上の問題を抱えた橋梁の架け替え,維持管理能力の向上及び財源確保等が重視されている。本計画は,維持管理を考慮した設計・施工方法を用いて同国西部地域の道路ネットワークを構成する中・小規模橋梁の架け替え・新設を行うものであり,これら方針・目標に合致するものである。
     このため,本件計画を実施することは,バングラデシュにおける当該開発政策とも高い整合性を有しており,本計画のニーズは大きい。なお,東部地域の中・小規模橋梁については,先行案件である「東部バングラデシュ橋梁改修計画」にて改修済み。
  • イ 我が国の基本政策との関係
     バングラデシュの人口の約3割が依然として貧困状態にあり,運輸等の基礎的な経済インフラが絶対的に不足していること等の開発ニーズを踏まえ,2012年6月に策定された「国別援助方針」においては,今後の対バングラデシュODAの重点目標として,(ア)中所得国化に向けた,全国民が受益可能な経済成長の加速化,(イ)社会脆弱性の克服を掲げている。本計画は,運輸交通ネットワーク整備による経済インフラ整備という観点から上記(ア)に合致した支援となっている。

(2)効率性

 過去の類似案件の教訓から,実施機関の十分な維持管理能力を確保するために,実施機関に対する必要な意思決定権限の付与,及び長期的かつ持続的な専門職員・現場担当者の育成が必要であると指摘されている。また,広域での複数サイト型修復事業の場合,各地に分散するサブ・プロジェクトに密着した実施管理の重要性が指摘されている。本計画においても,橋梁の維持管理に関する専門能力を維持させる必要があるため,先行円借款案件及び技術協力案件を通じて,実施機関職員の維持管理能力の強化を図ることとしている。また,広域かつ複数のサイトにて工事が行われることから,コンサルティング・サービスを通じて広域分散型のサブ・プロジェクト管理のあり方の提言・指導を行う予定である。

(3)有効性

 本計画の実施により,対象地域の地域経済発展の促進及び道路ネットワークの安全性・効率性の向上に寄与することが期待される。具体的には,2023年(事業完成2年後)には,年平均交通量が2014年の13,074PCU(乗用車換算台数)/日から19,989PCU/日に,走行費の節減が2014年に比べ114,428,000タカ/年(1タカ=約1.58円)に,それぞれ増加することが見込まれる。また,対象橋梁の交通障害発生確率が2014年の24%から,2023年(事業完成2年後)には0%に減少することが見込まれる。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 バングラデシュ政府の要請書,バングラデシュ国別評価報告書(2009年度),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。

 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。

 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。