ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成27年6月23日

評価年月日:平成27年6月18日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1.案件概要

(1)供与国名

スリランカ民主社会主義共和国

(2)案件名

全国送配電網整備・効率化計画

(3)目的・事業内容

 大コロンボ圏を含む全国の送・配電網の整備を行うことにより,安定した電力供給体制の構築を図り,もって経済成長の促進に寄与するもの。本計画では,本邦企業が比較優位を有する低損失送電線を導入することで,送電損失率の改善を図る。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)送電設備新設・更新・増設及び変電所等の新設・増強
    • (イ)配電線増強・改良及び変電所新設
    • (ウ)コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    249.30億円 0.3% 40(10)年 一般アンタイド

    コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • ア EIA(環境影響評価)
    • (ア)本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に掲げられる影響を及ぼしやすいセクター,特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため,カテゴリBに該当する。環境影響評価(EIA)報告書は,同国国内法上作成が義務付けられていないが,実施機関は初期環境評価(IEE)報告書を中央環境庁に提出し,同庁の承認を取得予定。
    • (イ)汚染等対策:大気質,水質及び騒音等について,国内の排出基準及び環境基準を満たすよう,工事中の対策が講じられる予定。また,廃棄物(植皮及び材木)については,工事中,供用後を通して適切に管理され,廃棄する対策が採られる予定。
    • (ウ)自然環境面:事業対象地域は,国立公園や世界遺産等の影響を受けやすい地域又はその周辺に該当せず,自然環境への望ましくない影響は最小限であると想定される。なお,一部,同国森林局により登録されている森林保護区(タムビクラマ,アヌグナウェラペレッサ及びカラウィラヘナ地区)を通過するが,本計画による送電線が通過する地域は,既存の送電線が存在するプランテーション地域等であり,森林保護区内の森林への影響は最小限である。加えて,本計画の実施について森林局の承認を取得予定である。
  • イ 用地取得及び住民移転
     本計画では, 配電及び変電施設建設に伴う用地取得が必要となるが,同用地取得は,セイロン電力庁が国内ガイドライン及び手続きに従って進める予定。
  • ウ 外部要因リスク
     特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
     スリランカでは,近年の年平均7%の経済成長に伴い,エネルギー需要が増加しており,電力需要の増加に対応した新規電源の開発及び送・配電網の整備が課題となっている。電力エネルギー省は,国家エネルギー政策(2006年)の中で,電力の安定供給とエネルギー効率化を重要政策の一つとして挙げており,需要増に対応するために送・配電設備の新設・増強を進めている。送電線については低損失送電線の導入による損失率削減を進めており,送・配電損失率は改善傾向(2009年:13.90%,2013年:10.79%)にある一方で,先進国や東南アジア諸国等(2011年:タイ6.9%,マレーシア6.4%)と比較すると依然として高い水準にあり,更なる損失率の改善が課題となっている。
  • イ 我が国の基本政策との関係
     我が国の「対スリランカ国別援助方針(2012年6月)」では,援助重点分野として,「経済成長の促進」を掲げており,そのために必要な電力等のインフラ等の整備を重視している。本計画は右重点分野に合致するもの。

(2)効率性

 施設の運営・維持管理に関し,本計画のコンサルティング・サービスなどを通じて担当機関であるセイロン電力庁に対する研修を実施し能力向上を図る予定。

(3)有効性

 本計画は,大コロンボ圏を含む全国の送・配電網の整備を行うことにより,安定した電力供給体制の構築を図り,もって経済成長の促進に寄与するもの。本計画では,本邦企業が比較優位を有する低損失送電線を導入することで,送電損失率の改善を図る。2021年(事業完成2年後)目標値として,(ア)送電線設備稼働率を46%(2014年実績値なし),(イ)変圧器設備稼働率を34%(2014年実績値なし),(ウ)送電損失率を0.55%(2014年実績値なし),(エ)配電変圧器設備稼働容量を38.7MVA(2014年実績:8.1MVA)とし,また,配電損失率を配電事業対象地区3(バッタラムラ)について0.65%(2014年実績:2.06),配電事業対象地区4(デヒワラ・マウント・ラビニア)について1.62%(2014年実績:1.70)とすることを目標としている。

3.事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,スリランカ国別評価報告書(2013年度)国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構より提出された資料。

 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。

 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。